一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

阪神電鉄はタヌキか天然か?(村上ファンドvs阪神電鉄 その2)

2006-05-06 | M&A

連休中にもかかわらず、村上ファンドvs阪神電鉄問題は話題を提供しています。

5/4には村上ファンドから「5月3日付けの阪神電気鉄道のプレスリリースについて」という反論が出ました。

特に話題になったのが

そもそも、阪急との統合案は、本年2 月以前から私どもから阪神電鉄に提案し、その際は阪神側はこの提案を拒絶したものであります。そして、4 月までは、ある企業との経営統合について盛んに当方に対し提案していました。

というくだり。

これは交渉当事者間の守秘義務契約との関係でどうなんだというろじゃぁさんの指摘や、M&Aの中で知りえた情報とインサイダー規制の問題についての47thさんの指摘(先の阪神電鉄のリリースで阪神側が皮肉っぽく突っ込んでいた大量保有報告書の「純投資」という保有目的と虚偽記載の問題にもふれています。ただ諸事情からこの辺の深堀りはできなそうであり残念)などが参考になります。


上の文章で、村上ファンド側は、阪神電鉄の取締役が阪急に交渉を委ねて何もやっていないと非難しています。
これは村上ファンドの提案でも取締役候補者になった現社外取締役の玉井氏も批判しているところです(日経新聞の記事等参照)

状況としては45%の株を持たれてしまっている阪神電鉄側としては、マウントポジションをとられてタコ殴りされているようなものなので、何を言われても亀のようにガードを固めるしか方法がないという事情もあると思います。

ただ、村上ファンドとしても経営権を握るのが本来の目的ではないようにも思えます。
投資効率を考えれば、経営権を握った上で世間の非難(や足元を見られること)を避けて短期間に資産を切り売りして所定の利回りを確保して投資回収をする(=たとえば阪神タイガースを上場させて不動産をREITにして、最後の「ポンカス」になった電鉄株もうまく売り抜けるというようなプラン)というのはかなり難易度が高いように思います。
保有ヴィークルも複数あるようですし、それぞれのファンドの求める投資期間や利回り、投資姿勢も違うでしょうから(そういう意味ではやはり保有目的は「純投資」なんだけど投資が過ぎたということなのでしょうか)。

ひょっとすると阪神電鉄側は、村上ファンドが取締役の選任議案の可決自体は望んでいないと読んで、「アホのふり」をしているのかもしれない、とふと思いました。
まあ、そうだとしても、村上ファンドが投資元本を確保できる程度の資金は確保(阪急にコミットしてもらう)していないと話が進まないでしょうが。


ほとんど調べもせずに勝手なことを書いていますが、村上ファンドに比べ動きが鈍いように見える阪神電鉄が実は「タヌキ」なのかやっぱり「天然」なのか、しばらく注目したいと思います。


最後に前回のエントリに引き続き重箱の隅コメント

上の村上ファンドのリリースで、引用部分の直前に

本来は、阪神電鉄取締役会は自社の株主にとって有利な条件となるように最善を尽くす役割を果たすべきであるにもかかわらず、4月に入ってから阪神から阪急に要請し一ヶ月も経たないうちに統合の方針を決めたとの経緯は、阪神の株主として大変遺憾であります。

とあり原文でもこの「4」だけゴシック体なのは嫌味が効いてますね。
ただ冒頭の

5月2日付の弊社のプレスリリースでもお伝えした通り

とここの「2」だけが全角なところ(これはミスタイプでしょう)が気になります。


世間の注目を集めているディールなんですからしっかり校正してほしいものです(ってホント余計なお世話ですよね・・・)


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