焦点:薄氷のJAL、米航空大手と提携模索
(2009年 09月 14日 21:37 ロイター)
経営再建中の日本航空が航空業界で世界最大手の米デルタ航空(DAL.N: 株価, 企業情報, レポート)とともに、米アメリカン航空とも資本提携交渉を始めることが明らかになった。金融機関からの追加融資を受けるためには、その前提として抜本的なリストラ計画を今月中にまとめる必要がある。
ナショナルフラッグキャリアとして外資に出資を仰ぐのは異例だが、存続のために背に腹は変えられない状況だ。ただ、今週発足する民主党を中心にした新政権のJALへの姿勢が不透明な中、米大手が出資を急ぐ必要は少ないとみられ、交渉は難航も予想される。
JALは6月に日本政策投資銀行や三菱東京UFJ銀行などから合計1000億円の協調融資を受けたばかりだが、09年4―6月期連結決算は990億円という巨額赤字を計上。バランスシートに計上されないリース債務や退職給付債務の未認識債務を含めると、早急な資本増強とともに、機材更新などの設備投資のために1000億円単位で資金調達する必要がある。
このため国土交通省が8月20日、JALの経営改善を支援するため、監督官庁として異例の有識者会議(座長=杉山武彦・一橋大学長)を開催し、9月末までに抜本的な再建計画をまとめる方針を打ち出した。
タイムリミットを直前に控え、急浮上したのがデルタとアメリカンとの出資受け入れ交渉。特にデルタについては「JALのリストラ計画策定が遅々と進まないのに業を煮やした国交省主導の提携」(メガバンク関係者)との見方が多い。市場では「米国の航空大手の出資を呼び水に他社からの出資などを呼び込むのが当局の意図だろう」(新生証券の松本康宏クレジット・アナリスト)との見方も出る。
9月中に再建計画をまとめなければいけないのに、まだスポンサー候補が絞られていない、というあたりに苦境がしのばれます。
1000億円の協調融資のうち、政府保証は政投銀の危機対応融資670億円の8割の約540億円しかついていないようなので(参照)、倒産した場合は三菱東京UFJをはじめとしてけっこう痛手を蒙る銀行が多いのではないかと思います。
昨日はこんな話もありました。
ダヴィンチHD売り気配、棚卸資産の評価損を計上見通し
(2009年 09月 14日 09:01 ロイター)
ダヴィンチホールディングス売り気配。子会社が棚卸資産の評価損を計上する可能性があると11日に発表したことを嫌気している。
ダヴィンチの子会社が保有する主要不動産の一角、パシフィックセンチュリープレイス丸の内(PCP)の借入れについて、銀行との間で期限延長の合意ができない見込みとなったため。
計上する見込みの棚卸資産評価損は、2009年12月期第3・四半期の連結決算における売上原価として137億円。純損益への影響額は23億円の損失となる予定。業績予想の修正につながる場合は、速やかに開示するとしている。
ダヴィンチが開示している2009年12月期の連結業績予想は、当期利益が3億1500万円。
ダヴィンチは、PCPの売却を試みたが売却できず、ローンの期限延長を協議してきた。借入れはノンリコース・ローンのため、9月25日の期日までに最終的に合意できなかった場合、債権者がPCPの処理を進めることになる
ノンリコースローンなので、デフォルトさせてしまったほうが損が少ないということでしょうか(その後の資金調達を考えなければ)。
でも、もともとPCPの取得価格は2000億円くらいだったので、3年前のファンドバブルの頃から7%くらいの下落で済むとも思えないのですが・・・
ノンリコースローンの残高がどれくらいかはわかりませんが、銀行も物件を押さえて売却してもローンの元本回収は難しい感じがします(昔流行った仲良しにファイナンスをつけて債権が毀損しないように買わせるというのも今日び難しいでしょうし)。
「景気底打ち」とか言ってますが、もうひと波乱くるかもしれませんね。