これはけっこう重要な試みかもしれない。
突っ走るエストニア、「電子居住」が可能に!
この国では、世界ではじめて「イー・レジデンシー(電子居住)」をできるようになった。選挙での投票や居住IDカードの取得はできないが、どこからでもエストニアの全ての電子サービスにアクセスできるようになる。これには銀行口座の開設や企業経営も含まれる。
移動・物理的な居住というハードルをなくすことで、その国の魅力、何が国際競争力があって何がないかが明らかになり、今まで議論されてきた「国際競争力強化のための方策」について有効な補助線を引くことができる。
外国人が他国に企業を設立しようとする際に、物理的な居住が不要であれば、魅力的な国内マーケット、安くて優秀な労働力、法人税の安さ、資金調達の容易さが選択の中心になる。
その一次選抜を通過したうえで、さらに居住を選択してもらうための魅力が問われる。
それは居住者への税金の安さ、治安の良さ、物価の安さ、子供の教育などだろう。
前者については最近法務省、外資系の登記規制を年内に廃止-日本居住の代表者がいなくても法人登記可能に などの取り組みが見られるが、「(東京の)国際競争力の強化」として取り上げられている項目はたいてい後者に属するものである。
たとえば以下をご参照
「『東京国際金融センター』構想に向けた取組」について
【課題①】海外の企業・人材が東京でビジネスをしやすい 環境づくり
BEPSの議論のように既に企業の所在と所得の発生場所はすでにバーチャルなものになっており、個人についても富裕層は税効果を考えて居住地を決めている人も多いなかで、今さらちょっとナイーブな議論のような気がする。
いたずらな減税競争では意味がないが、政策的な税優遇や制度優遇などをする代わりに日本国内で資金を回して雇用を生む「損して得とれ」という作戦を議論すべきではなかろうか。
電子居住はエストニアという小回りのきく国だからできる、という意見もあるかもしれないが、企業の盛衰においては小回りのきく方が強いということを忘れてはいけない。