一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

体制移行のわな

2012-05-24 | よしなしごと

本日の日経新聞「経済教室」の記事

・・・精華大学の社会学者からなる研究グループは最近発表した論文の中で・・・「体制移行のわな」という概念を提起し、中国がそれから逃れるための方策を示している。  
 ここでいう「体制移行のわな」とは、計画経済から市場経済への移行過程でつくり出された国有企業などの既得権益集団が、より一層の変革を阻止し、移行期の混合型体制」をそのまま定着させようとする結果、経済社会の発展がゆがめられ、格差の拡大や環境破壊など、それに伴う問題が深刻化しているということだ。

考えてみると、日本の高度経済成長をささえたのも政府による産業のコントロールを前提とした「移行期の混合型体制」であって、今日本が陥っているのも「体制移行のわな」の結果なのかもしれません。  

たとえば電力会社は、松永安左エ門により民間会社の九電力体制は実現したものの、その後原子力発電や電力料金などで政府と協調して既得権益を維持する側に回って今に至るわけですし、官僚は古賀茂明氏の指摘によれば昔からの内輪の価値観による人事体制を墨守しています(参照)。  
また、『日本の雇用と労働法』 によると、現在の日本の労働法制や雇用制度には労働組合側の事情による取捨選択の結果も反映しているわけで、既存(従来型)の労働組合自身も非正規雇用問題などの遠因になっていたりもします。  日本は低成長、少子・高齢化などで「課題先進国」としてそのノウハウを世界に、などと言われていますが、実はその前の時点の課題も解決できずにいるのかもしれません。  


「体制移行のわな」の解決を中国に先を越されてしまったりしたら、それこそシャレにならないと思った次第。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 東京スカイツリー | トップ | 「復興の現状と取り組み」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

よしなしごと」カテゴリの最新記事