一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

映画あれこれ

2011-08-24 | キネマ

震災関係は一休みして、夏の間に見たDVDの感想をまとめて。
一部ネタバレありですのでご注意を


『デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断』

 副題があらすじを説明してくれているのは前作『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』と同じ。
『ハングオーバー』の製作陣が同作で怪演したザック・ガリフィアナキスと主演にロバート・ダウニーJr.を迎えて作ったコメディです。

2人のからみが見所の中心ですが、前作同様せりふや設定が細かいところまで遊んでいるのでいろいろと楽しめます。コーヒー缶に入った遺灰というのは『ビッグ・リボウスキ』の「本歌取り」なのでしょうが(さすがに散灰したときに風下にいたので遺灰をかぶってしまう、というところまでは真似てなかった)、似たような仕掛けがほかにもあったのかもしれませんがよくわからず。

普通に面白いが前作以上ではない。


 

 

『デート&ナイト』

 トム・クルーズとキャメロン・ディアスの共演『ナイト&デイ』の二番煎じだと思ったら、日本未公開なだけでもともと"Date Night"という原題でした。
DVDの配給元の小手先技だったようです。

倦怠期というか中だるみ状態の夫婦がひょんなことから事件に巻き込まれて・・・という小品。それなりに面白いんだけど日本ではヒットはしないだろうなという感じ。
これが劇場公開でそこそこ投資回収できるとするとアメリカでは日常の娯楽として映画館が定着しているんですね。

WebCGのコラムでカーチェイスがオススメとあったのですが、カーチェイスも最近は派手さ、ハンドルさばきというよりは発想の面白さ勝負になっているようで、カーチェイスだけに期待するとちょっとがっかりするかも。


 

『マチェーテ』

 『グラインドハウス』の劇中劇の予告編を監督のロバート・ロドリゲス自身が1本の作品にしたもの。
「よい子は見てはいけません」の超B級(形容矛盾?)アクションです。

登場人物のキャラ設定が単純明快で、それを主役のダニー・トレホ(居るだけでものすごい存在感)にくわえスティーブン・セガール、ロバート・デ・ニーロが「いかにも」という役回りを演じてます。
他にドン・ジョンソン(老けたよな~。還暦過ぎたんだね。TVシリーズ『マイアミ・バイス』が懐かしい)、ミシェル・ロドリゲス(相変わらず態度の悪い女の役ははまり役)、リンジー・ローハン(ひとりだけ子供が混じってるw)が固めてます。

マチェーテというのはナタのようなもので(「マシェーテ」って発音してたようだけど)、これでトレホが暴れまくるのが見所。
ストーリーは一応ありますけど、トレホの生命力の濃さと容赦ない殺戮てんこ盛りの映画です。

土用の丑の日に鰻を食べるのと同じような意味で夏場に見るのはいいかもしれません。


 


『バウンド』

 『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟の初監督・脚本作品(1996年)。
ストーリーの入り組んだクライム・ストーリー。

エロスも暴力も知恵比べもありで、どこかで見たような展開が続くのですが破綻なくまとまっています。

ウォシャウスキー兄弟のファンならもっといろんな楽しみ方があるのかも。




 

『ザ・タウン』

DVDの裏に「『ヒート』を超える銃撃戦」と書いてあって、その時点でだめじゃん(少なくともこのコピーは)、と思いました。

派手な銃撃戦という時点でギャング側としては追い詰められているわけで、『ヒート』もそこに至るまでのストーリーが大事だったんですけどね。

本作はボストンの犯罪多発地区のギャングの話。ベン・アフレックが主演、監督を努めていて、このギャングの町に生まれた若者の葛藤を描いています。
ただ、主人公は、女にはもてるし、警察より頭は切れるし、一般人を傷つけないことに気を使うしときれいに演じすぎて、「ザ・タウン」というタイトルが示す犯罪地区に生まれた若者の行き場のなさのようなものが感じ取れないのが残念。
ギャング仲間はそのへんを好演しているのですが、そうであるほど主人公が「正義の味方」に見えてきてしまいます。
義賊なわけでもないし(アメリカで義賊を名乗ると政治的主張を持った犯罪者=「テロリスト」になっちゃうのかな?)単なる犯罪者なんですけどね。

犯罪者(銀行強盗)を素材にしたアクション映画としてはよく出来ていますが、それ以上の深みがないのが残念。

あと、昨年亡くなったピート・ポスルスウェイトがいい味出しています。これが遺作になるのでしょうか。合掌。


 

 

  

『エクスペリメント』

1971年にスタンフォード監獄実験を題材にした映画としては、2001年に『es』というドイツ映画が製作されたのですがそれのハリウッドリメイクという、帰国子女みたいな経緯の作品。

舞台が現代のアメリカになっている以外は『es』同様基本的に史実に忠実なようです。
「事実は小説より・・・」の題材勝負の映画なので、素材の味を生かして丁寧に料理しています。

看守役を演じるフォレスト・ウィテカーは相変わらずいい雰囲気を出してます。
おどおどしている普通の人間が何かのきっかけで(いろんな方向に)変わるところを演じるのは上手。

実験が中止になったあと手に入れた報酬で主人公が先に渡航したガールフレンドを追ってインドを訪れます、こういうインドのイメージは1970年代と変わってないんでしょうか。


※ 実験を行なったフィリップ・ジンバルドーは"Stanford Prison Experiment"というサイトを作ってます。学術的な評価というよりはドキュメンタリー風なつくりなのがどうなのよ、という感じです。

 

 

 

 

『23年の沈黙』

ドイツ映画。
23年前に少女暴行殺人事件が起きた場所で同じ事件が繰り返されたかのように13歳の少女が失踪し自転車が発見される。この事件の伸展に23年前に犯行を傍観していた者、犯人を追い続けていた刑事らが巻き込まれていく、という話。

世界では、アメリカ(ハリウッド)流の感情表現でない生活がいっぱいあって当然だよね、というところでまずホッとします。
役者も感情表現が大げさでないかわりに、暗喩的な映像が多く使われるのはドイツ風。
それぞれの登場人物の屈折したり歪んだ内面がわかりやすい解説をされないまま投げ出されてくるのでずっしりと来ます。
しかもカタルシスのない終わり方。

たまにはこういう映画も見たいな、という人向けです。


 

『ミックマック』

『アメリ』や『デリカテッセン』の監督ジャン・ピエール・ジュネの作品。
最初の30分で荒唐無稽な設定とキャラのたった登場人物を並べ、残りの60分でそれを上手に料理する、というフランスのブラックユーモアあふれるコメディの典型のような作品。

なかなか面白いです。

珍妙な仲間が変な大活躍をするという点では『デリカテッセン』に近い感じ。
ストーリーの展開は予想できるのですが、それをどうやって面白く見せようかというサービス精神が旺盛で楽しめます。


 

 

  

  

  


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