三日ほどまえに Stan Getz の伝記 を読み終えた。
何にも残らないかと思っていたのだが・・・最終章手前で言い知れぬ感動を憶えた。
これが村上春樹氏が評価される理由の断片かもかもしれない。
善悪で言えばスタン・ゲッツは悪魔の部類かもしれない・・・悪魔側、魔の部類の音です。
弱い(時に強いが)悲しい それは悪魔の愛撫に等しい
自分の弱さも許されてしまう。
最近クラシックを聴くようになってからではあるが音楽も JAZZ や ポップス だけでは片手落ちのように感じてきている。
あらためてスタン・ゲッツを聴いてみてその感を強くしている。
村上春樹氏の手腕の秘めた部分かもしれないが
スタン・ゲッツの弱さ暗部もひたすら描いてきて突如(死を意識し出して)強さを見せる。
それを見せた時はもう手遅れかもしれないが・・・。
時に強烈な音をだすゲッツの音色のようにとても力強い意志を感じた。
ジャケットのアルバム「people time」は4,5年前に購入したCDです。
このアルバムはゲッツが肝臓がんで亡くなる少し前、デンマークでのライブ録音だと思いますが肝臓のガン組織が肥大して痛さを伴う状態での録音であったということを「伝記」で知った。
ゲッツの強さ、偉大さはそんな状態であっても微塵も感じさせない強さ、演奏の美しさです。
生活状態はどうあろうとも、こと演奏においては美しく力強い。
私は弱い・・・弱気になっていることさえ気付いていなかった。
強くならなければ まだ間に合う。