適格退職年金の積立金を移換できるのは、厚生年金金基金、確定給付
企業年金、確定拠出年金・企業型、中小企業退職金共済(中退共)です。
現実的な移換先としては、確定給付企業年金、確定拠出年金・企業型、
中退共です。これら3制度に、適年から積立金(=年金資産)を移す場合
には、その方法に違いあります。
中退共への移行では、適年の積立金のみの移換になります。
適年が積立不足の場合、その不足額を穴埋めしてからという方法は
取れません。
積立不足にあたる金額については、中退共に移行後、掛金を増額する
などの方法で対処することになります。
確定給付企業年金の場合は、やはり適年の積立金のみの移換となります。
適年の積立不足は、一定年数で必ず償却していく必要があります。
確定拠出年金への移行については、いくつかの誤解があるように思います。
まず、適年が積立不足では、確定拠出年金への移行はできません。
ほとんどの適年は、積立不足となっています。
では、この積立不足を穴埋めしないと、確定拠出年金への移行はできないの
でしょうか?
そうではりません。適年から確定拠出年金への移行に関しては、上記2制度
と違い、積立不足は補填しても、しなくても移行が可能です。
積立不足とは、責任準備金に対して積立金が不足している状態です。
責任準備金とは、将来の給付のために現時点で必要と考えられる金額の
ことです。
責任準備金を積立金と同額まで減額し、積立不足がない状態として、
確定拠出年金に移行できるのです。あるいは、責任準備金と同額まで
不足額を補填する、不足額のうち一定額までを補填し、足りない部分は
責任準備金を減額する等も可能です。
気をつけたいのは、積立不足を補填するために、銀行から融資を受ける
ことです。不必要な融資がほとんどですので、注意してください。