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人間の狂気と破滅を描いた多くの傑作を撮り続ける現代アメリカ映画を代表する名匠マーティン・スコセッシ監督。そんな彼が珍しくも子供向きに比重をおいたファンタジー性あふれる3D映画が今回紹介するヒューゴの不思議な発明だ。
冒頭からの映像はダイナミックでワクワクさせるが、いかにも3Dを意識して作られた作品だということがよくわかる。それなのに俺は映画館では観ずに、今さらDVDでやっと観るという事態。恐らく映画館で観た半分の面白さも味わえなかった気がする。しかし、DVDで観たからつまらなかったわけでもなく、充分に楽しめた。もし映画館で観ていたらどれだけ面白かったんだろう。
3Dの映像の凄さはわかったが、肝心のストーリーは如何なるものか?1930年代のフランスはパリが舞台。パリの駅の屋根裏にある大きな時計台に父を失った孤児であるヒューゴ(エイサ・バターフィールド)が独りぼっちで暮らしていた。そんな彼の唯一の友達と言うべき存在が父が壊れたまま遺してしまった機械人形。
毎日、彼は駅の時計のネジを巻いて動かし、日常の生活品は駅構内のお店から盗んで暮らしていた。しかし、彼が最も盗みたかった物は玩具屋にある機械人形を修理するためのパーツ部品。ある日、こっそりとパーツ部品を盗み出そうとするが、玩具屋の老主人であるジョルジュ(ベン・キングズレー)に見つかってしまうのだが・・・
まだまだ小学生ぐらいに見えるヒューゴ少年はどうして盗人の罪を犯してまで機械人形を修理しようとするのか?そしてタイトルが表現しているようにヒューゴはいったい何を発明するのか?そんな疑問は早い時間帯に解決されてしまう。
実はこの映画の主題はヒューゴが機械人形を修理してからの展開にある。決してヒューゴ少年は好きで大きな時計台の中に住んでいるわけでもなく、他人に迷惑をかけようと思って物を盗んでいるわけでもない。あくまで悲惨な運命が重なった結果、ヒューゴは表立って誰ともしゃべることが出来ずに、しかも生きていくためにパンを盗んでいる。その姿を見ていると悪ガキだと思う人は少なく、むしろ一生懸命に生きているんだなあと思い、哀れさが漂ってくるはずだ。
そんな哀れなヒューゴが幸せを掴むストーリーかと思って観ていると、実はヒューゴ以外にも大なり小なり悩んでいる人たちがたくさん登場する。機械人形を修理したことを切っ掛けに、すっかりヒューゴは逞しく変身してしまい、逆にヒューゴは人助けをすることになるのだ。
特に先ほどまで哀れだと思っていたヒューゴが、読書好きで狭い世界しか知らない女の子にパリ全体の街並みを見せて『この世には無駄な物なんて一つもないんだ』と説教を始めるところは、一瞬盗人のお前が偉そうな事を言うなと思ったりしたが、よく考えたらまだ少年ながらも独りぼっちで逞しく生きてきたからこそ言える台詞なんだなあと大いに感心した。
ちなみにこの映画はフランスの映画の発明者であるリュミエール兄弟の名前が出たり、彼の作品が登場するなどフランス映画に対する畏敬の念が込められている。ちなみにベン・キングズレー演じるジョルジュ・メリエスも実在したフランス人映画監督であり、彼の作品である月世界旅行が本作において非常に重要なキーワードとして使われる。この辺はまさにマーティン・スコセッシ監督の映画愛がとにかく伝わってくる。
まあ、リュミエール兄弟なんて知らない人にとっては映画愛など伝わってこないと思うが。
映像は見応えがあり、家族の大切さを感じ、古き良き物を知り、主役以外の脇役もしっかり描かれ、ちょっとしたドキドキ感もあり・・・探せばまだまだ良いところがたくさんありそうなヒューゴの不思議な発明はぜひ観てください
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ついでにジョルジュ・メリエス監督作品も
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監督はディパーテッドでアカデミー監督賞に輝くなどの名匠マーティン・スコセッシ監督
タクシードライバー、レイジング・ブル、キング・オブ・コメディ、カジノなど名作多数。人間の狂気、暴力を描かせればこの監督の右に出る者がいません。他に睡眠不足になってしまいそうな悪夢が描かれたアフター・アワーズが彼にしては異色のコメディ映画。なかなか笑えるお勧め映画です。
玩具屋の老主人のジョルジュを演じたのが名優ベン・キングズレー。彼の代表作となるとアカデミー主演男優賞にも輝いたガンジー。個人的には伝記映画としても最高の映画だと思います。他にも多くの名作に出演していますが、後味は悪いですが見応え抜群の人間ドラマ砂と霧の家がお勧めです。
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