永遠のプレイボーイと言えば俺のことだが、永遠の処女と呼ばれたのが、先日亡くなられた原節子さん。43歳という若さで引退してから一切表舞台に現われることが無かったが、黒澤明、小津安二郎等の名監督、名作に出演していた彼女はまさに戦後の日本を代表する女優だ。彼女の女優としての歩みこそが日本映画の名作及び傑作群だが、そんな中でも彼女の代表作にして世界的にも有名な作品が今回紹介する映画東京物語だろう。
モノクロの映像から描き出される映像は、どこか澄み切った美しさがあり、古き良き日本を感じさせる。そして本作に限らず小津映画全般に言えることだが、家族間の言葉遣いが非常に綺麗。まあ、俺なんかは両親に対して偉そうな口の聞き方をしているが、本作における家族同士の会話でも敬語や丁寧語が多く使われ、落ち着いた口調を聞いていると、日本語ってこんなに美しい言葉だったんだ、と気付かせてくれる。そして、通りすがりに出会う人同士がお辞儀をしながら挨拶をしているシーンなども見られ、礼儀正しい日本人が描かれていることが、本作が世界的にも評価の高い映画である理由の一つに挙げられるだろう。
しかしながら、本作は戦後の映画であるが、この時から既に日本の価値観、伝統が壊されていることにも気付かされる。現在の日本はすっかり核家族化が進んでしまい祖父母から孫の世代まで一緒に暮らしている大家族が珍しくなってしまった。三世代が一つ屋根に住むことによって、古き良き日本の伝統、道徳、マナーが継承されてきたのに、核家族化してしまった結果が伝統破壊、絆のほころび、協調性の欠いた個人主義の蔓延等などロクでも無いことだらけ。ア~、更に夫婦別姓なんてものが法律上においても認められたら、家族、地域社会のコミュニティーの崩壊が進み、日本の良さがますます無くなってしまう気がするのだが、そんなことだけは絶対に許さん。
さて、本作のテーマがまさに家族の断絶。そこから更に浮かびあがってくる問題が、親子の絆の喪失、老い、孤独、美しい日本の風景と精神の崩壊。まさに現在の日本が抱える問題を問いかけるストーリーとは如何なるものか。
尾道に住む周吉(笠 智衆)とその妻のとみ(東山 千栄子)の老夫婦は東京へ出発する。目的は東京で暮らしていて、それぞれ所帯を持っている子供達の家を訪れるため。ところが長男の幸一(山村 聰)も長女の志げ(杉村 春子)も仕事が忙しく、かまってくれない。そんな老夫婦を一番世話をしてくれたのが意外にも戦死してしまった次男の妻であり、血の繋がっていない紀子(原 節子)だった・・・
決してドラマチックなことが起こるわけでもなく、大変な事が起こっていてもワザと淡々と描いている雰囲気がある。登場人物たちは名優揃いのはずなのだが、けっこう台詞は棒読みに近い人がいたり、なんだか無表情な人もいる。そして小津監督の代名詞的なローアングルで固定されたカメラワーク(?)では派手な動きを見せることが出来るわけがなく、映画といえばアクション映画しか見ない人にとっては退屈感が漂うかもしれない。
そして肝心な原 節子さんだが、殆んどの出演シーンで、はにかんだ笑顔を見せるだけ。確かに綺麗な人であるのだが現代風の美人とは少しイメージが違う。しかしながら、上品なただずまい、控え目なしぐさ、心の中に秘めた感情の表現は、まさに日本の女性像というものを演じている。原節子さんが亡くなったニュースは世界を駆け巡ったが、世界は彼女の出演作品から日本女性を理解した。
前述したようにストーリーが淡々と進むために、観ている者に大きな感情が迫ってくることはないのだが、その丁寧かつ静かなタッチは心の奥底に訴えかけるものがある。家族が住む所がバラバラになってしまっているだけでなく、精神面の繋がりもすっかり無くなっている様子はけっこう悲しいモノがある。
しかし、本作を観ると改めて小津安二郎監督って凄いと思う。現在の世界の映画監督で名匠、奇才と呼ばれる監督達、特にヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュ、アキ・カウリスマキ、ウェス・アンダーソン等のような映画監督は小津作品の影響を受けまくり。今や日本においては名前を聞いても、オヅって誰?なんて日本人が多くなってしまったが、今でも小津監督は世界中で有名であり、特に本作の東京物語は世界映画史の部門においても名作と呼ばれており、日本が世界に対して誇るべき映画で日本人なら絶対に観ておくべき作品だ。
原節子さんという名前を今頃知った人、世界でも評価が高い日本の映画が観たいと思っている人、ウェス・アンダーソン監督の作品が好きな人(代表作は『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ダージリン急行』『グランド・ブダペスト・ホテル』など)等には映画東京物語をお勧めしておこう
監督は前述したとおり小津安二郎。彼の作品では本作と同じく笠智衆、原節子共演の晩春がお勧め、そして遺作の秋刀魚の味は個人的にはけっこう笑えた。

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モノクロの映像から描き出される映像は、どこか澄み切った美しさがあり、古き良き日本を感じさせる。そして本作に限らず小津映画全般に言えることだが、家族間の言葉遣いが非常に綺麗。まあ、俺なんかは両親に対して偉そうな口の聞き方をしているが、本作における家族同士の会話でも敬語や丁寧語が多く使われ、落ち着いた口調を聞いていると、日本語ってこんなに美しい言葉だったんだ、と気付かせてくれる。そして、通りすがりに出会う人同士がお辞儀をしながら挨拶をしているシーンなども見られ、礼儀正しい日本人が描かれていることが、本作が世界的にも評価の高い映画である理由の一つに挙げられるだろう。
しかしながら、本作は戦後の映画であるが、この時から既に日本の価値観、伝統が壊されていることにも気付かされる。現在の日本はすっかり核家族化が進んでしまい祖父母から孫の世代まで一緒に暮らしている大家族が珍しくなってしまった。三世代が一つ屋根に住むことによって、古き良き日本の伝統、道徳、マナーが継承されてきたのに、核家族化してしまった結果が伝統破壊、絆のほころび、協調性の欠いた個人主義の蔓延等などロクでも無いことだらけ。ア~、更に夫婦別姓なんてものが法律上においても認められたら、家族、地域社会のコミュニティーの崩壊が進み、日本の良さがますます無くなってしまう気がするのだが、そんなことだけは絶対に許さん。
さて、本作のテーマがまさに家族の断絶。そこから更に浮かびあがってくる問題が、親子の絆の喪失、老い、孤独、美しい日本の風景と精神の崩壊。まさに現在の日本が抱える問題を問いかけるストーリーとは如何なるものか。
尾道に住む周吉(笠 智衆)とその妻のとみ(東山 千栄子)の老夫婦は東京へ出発する。目的は東京で暮らしていて、それぞれ所帯を持っている子供達の家を訪れるため。ところが長男の幸一(山村 聰)も長女の志げ(杉村 春子)も仕事が忙しく、かまってくれない。そんな老夫婦を一番世話をしてくれたのが意外にも戦死してしまった次男の妻であり、血の繋がっていない紀子(原 節子)だった・・・

決してドラマチックなことが起こるわけでもなく、大変な事が起こっていてもワザと淡々と描いている雰囲気がある。登場人物たちは名優揃いのはずなのだが、けっこう台詞は棒読みに近い人がいたり、なんだか無表情な人もいる。そして小津監督の代名詞的なローアングルで固定されたカメラワーク(?)では派手な動きを見せることが出来るわけがなく、映画といえばアクション映画しか見ない人にとっては退屈感が漂うかもしれない。
そして肝心な原 節子さんだが、殆んどの出演シーンで、はにかんだ笑顔を見せるだけ。確かに綺麗な人であるのだが現代風の美人とは少しイメージが違う。しかしながら、上品なただずまい、控え目なしぐさ、心の中に秘めた感情の表現は、まさに日本の女性像というものを演じている。原節子さんが亡くなったニュースは世界を駆け巡ったが、世界は彼女の出演作品から日本女性を理解した。
前述したようにストーリーが淡々と進むために、観ている者に大きな感情が迫ってくることはないのだが、その丁寧かつ静かなタッチは心の奥底に訴えかけるものがある。家族が住む所がバラバラになってしまっているだけでなく、精神面の繋がりもすっかり無くなっている様子はけっこう悲しいモノがある。
しかし、本作を観ると改めて小津安二郎監督って凄いと思う。現在の世界の映画監督で名匠、奇才と呼ばれる監督達、特にヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュ、アキ・カウリスマキ、ウェス・アンダーソン等のような映画監督は小津作品の影響を受けまくり。今や日本においては名前を聞いても、オヅって誰?なんて日本人が多くなってしまったが、今でも小津監督は世界中で有名であり、特に本作の東京物語は世界映画史の部門においても名作と呼ばれており、日本が世界に対して誇るべき映画で日本人なら絶対に観ておくべき作品だ。
原節子さんという名前を今頃知った人、世界でも評価が高い日本の映画が観たいと思っている人、ウェス・アンダーソン監督の作品が好きな人(代表作は『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ダージリン急行』『グランド・ブダペスト・ホテル』など)等には映画東京物語をお勧めしておこう

![]() | 東京物語 [DVD] |
笠智衆,東山千栄子 | |
コスモコンテンツ |
監督は前述したとおり小津安二郎。彼の作品では本作と同じく笠智衆、原節子共演の晩春がお勧め、そして遺作の秋刀魚の味は個人的にはけっこう笑えた。

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