褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 ウォール街(1987) 金融映画の金字塔

2020年01月07日 | 映画(あ行)
 ここ数年で少しばかり流行っているのが金融関係を舞台にした映画。そんな中でも今回紹介するウォール街はその分野において金字塔と言うべき存在を放っている名作だ。しかしながら経済をモチーフにした映画は多くの人が難解に感じてしまい避けてしまう傾向が多い。なぜなら経済用語についていけない人が多いし、経済の仕組みを理解していない人が多いからだろう。
 しかし、本作において注目したいのは金融についての勉強ではなくて、お金に取り付かれてすっかりモラルが崩壊してしまっているアメリカ人が見れること。ここに登場する強欲な投資家の姿にアメリカという国の本質が垣間見える。俺はカネなんかよりも義理や人情を大切にする人間だ、なんて大声を出して叫ぼうとしたのだが、自分のブログのタイトルを思い出してしまい吹いてしまった。
 
 今となっては1980年代の株式市場の記録映像みたいな側面を感じたりしてしまうが、世界の金融センターであるウォール街を舞台に男たちの飽くなき野望、弱肉強食の世界を描いたストーリーの紹介を。
 若き証券マンであるバド(チャーリー・シーン)はニューヨークで暮らしていたが、家賃、税金、ローンに苦しんでおり、航空会社の整備士である父親のカール(マーチン・シーン)から頻繁に借金をしていた。そんな貧乏生活を抜け出し、一攫千金の夢に賭けているバドが目をつけたのが、裸一貫から大金持ちに成り上がった投資家ゴードン(マイケル・ダグラス)。バドはやっとの思いでゴードンと面談する機会に恵まれ、父親の会社の内部情報をゴードンに漏らす。
 当初はゴードンはバドに大して興味を示さなかったのだが、彼の功名心を利用してゴードンのライバルであるラリー(テレンス・スタンプ)を蹴落とすためにバドに情報収集を命じる。すっかりゴードンの豪勢な生活ぶり及びそのカリスマ性に惹かれたバドは着実に成果を出し、やがてゴードンから紹介された美女ダリアン(ダリル・ハンナ)と高級マンションを手に入れるのだが・・・

 ひたすら自分のカネを増やすことしか考えていないマイケル・ダグラス演じるゴードン・ゲッコーのキャラクターが強烈。名セリフである『欲は善である』と演説で堂々と言い放つシーンがあるが、何だか嫌味なセリフに聞こえたりするが、確かに文明の進歩の源は人類の欲望がもたらしたよな~なんて言いくるめられて、妙に感心している自分がいた。ライバルを蹴落とし、身近にいる者を利用しまくり、弱り切った者を自らの欲望のために最後の止めを刺そうとする映画史に残る悪キャラはまさにアメリカ社会そのもの。勝つか負けるか、生きるか死ぬか。1%の富裕層と99%の貧乏人というイビツなあの国の社会構造は資本主義経済の成れの果てを表している。
 しかしながら俺がこの映画に共感するのが、ゴードンとは真逆のキャラであるバドの父親カールの台詞の数々。同じアメリカ人の台詞でもこのブルーカラーに属するお父さんの台詞は日本人にも古き良き時代を思い出させる。例えば『金は今日を生きていく分があれば良いんだ』『俺は財布の厚さで成功を測るような人間ではないんだ』『他人の売り買いでなく、自分で物を創れ』『金っていうのは後で悔やむことをさせるんだ』・・・等など。本当に中国の企業から賄賂を受け取ってしまう日本の政治家にも聞かせてやりたい台詞の数々だ。
 まあ、経済が絡む映画と言っても専門用語は、空売り、インサイダー取引ぐらいのことを知っていれば大丈夫。そもそも本作はなんだかんだ言ってもビジネススーツを身にまとった男たちの情け容赦ない戦いに熱くなれるストーリー。日本の株式市場が年始の初っ端から急落したなんてニュースが流れてきているが、今年一発目のお勧め映画としてウォール街を挙げておこう。

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 監督はアメリカ社会にメスを入れる社会派作品の傑作を続々と生みだすオリバー・ストーン。本作の続編にあたるウォール・ストリートは2010年の作品ですがリーマンショック後に制作された映画であり、時代背景を考えながら観ると面白い。その他にはラジオパーソナリティが過激な発言を繰り出すトーク・レディオをお勧めとして挙げておこう。



 
 
 
コメント (4)
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