奇抜なアイデアの映画というのは希少価値なだけにそれほど多くないのだが、そんな中でも今回紹介する映画マルコヴィッチの穴は奇抜なストーリー展開が繰り広げられる。『ミクロの決死圏』という映画では人間が人体の中に入り込んでいたが、本作で入り込むのは人体の中でも脳味噌の中。少しばかり他人が何を考えているか想像してみたくなるが、そんな願いを少しばかり叶えてくれる作品だ。しかし、本作のストーリー展開はそれどころではすまない。本作は少しばかり古い映画ではあるが、今観ると現在に通じる問題にも手を延ばして笑わせ、少しばかり考えさせる。
早速だが奇想天外なストーリーを出来るだけネタバレ無しで。
人形師であるクレイグ(ジョン・キューザック)はまるで売れない日々をダラダラ過ごし、妻のロッテ(キャメロン・ディアズ)はペットショップ店員であり、家の中にはチンパンジーなど動物で囲まれている。
クレイグは妻の勧めもあり職探しを始めるが、そこのオフィスはなんとビルの7と1/2階。その階は天井が低くて立ち上がると頭が当たってしまう。クレイグは手先の器用さを活かして就職することになるが、あるオフィスの壁に扉があることを発見する。その扉をこっそり開けて侵入すると、なんとそれは名優ジョン・マルコヴィッチ(本人が演じています)の頭の中に通じる穴だった。
クレイグは同じ階のオフィスの美女で好意を持ってしまったマキシン(キャサリン・キーナー)と、これを利用して商売を始めることにするのだが、クレイグとロッテの夫妻の関係はとんでもない運命に導かれてしまい・・・
マルコヴィッチの頭の中に居ることができるのは最初のうちはたったの15分間。15分経った時にどうなるのか?その時のシーンはかなり笑えた。しかし、もっとマルコヴィッチの頭の中に居られる方法を見つけ出してからが、本作の真骨頂。とんでもない人間関係が引き起こされるのだが、ここでネタバレは止めとこう。
他人の頭の中に入って、その人が何をしているのか、何を考えているのか興味が惹かれる時もあるが、本作ではマルコヴィッチ自身が自分の頭の中に入ってしまうシーンがある。この描写が凄いし、とにかく「マルコヴィッチ、マルコヴィッチ・・・」ばかりで笑える。
ジョン・キューザックなんかは本作では髪の毛ボウボウ、無精ひげ姿で冴えない身なりで演じているが、キャメロン・ディアズに至ってはスッピンに髪の毛ボサボサ。いつもの超美人を隠して演じている。そしてジョン・マルコヴィッチの演技が凄い。本作においても名演技を見せつける。そして、さらに有名人が他にも実名で登場しているのも楽しい。二枚目俳優がとんでもない姿でカメオ的出演しているのも驚きと笑いを提供している。
個人的にはオチが不満だったりするが、観る人によっては「なるほどね~」と納得したり、笑える人も居るだろう。ありきたりなストーリーの映画に見飽きた人、奇想天外なストーリーの映画が観たくなった人等に今回はマルコヴィッチの穴をお勧めに挙げておこう
監督はスパイク・ジョーンズ。監督作品は少ないですが本作のような奇抜なストーリー展開の映画が多い。本作と同じくチャーリー・カウフマン脚本のアダプテーションがお勧め
早速だが奇想天外なストーリーを出来るだけネタバレ無しで。
人形師であるクレイグ(ジョン・キューザック)はまるで売れない日々をダラダラ過ごし、妻のロッテ(キャメロン・ディアズ)はペットショップ店員であり、家の中にはチンパンジーなど動物で囲まれている。
クレイグは妻の勧めもあり職探しを始めるが、そこのオフィスはなんとビルの7と1/2階。その階は天井が低くて立ち上がると頭が当たってしまう。クレイグは手先の器用さを活かして就職することになるが、あるオフィスの壁に扉があることを発見する。その扉をこっそり開けて侵入すると、なんとそれは名優ジョン・マルコヴィッチ(本人が演じています)の頭の中に通じる穴だった。
クレイグは同じ階のオフィスの美女で好意を持ってしまったマキシン(キャサリン・キーナー)と、これを利用して商売を始めることにするのだが、クレイグとロッテの夫妻の関係はとんでもない運命に導かれてしまい・・・
マルコヴィッチの頭の中に居ることができるのは最初のうちはたったの15分間。15分経った時にどうなるのか?その時のシーンはかなり笑えた。しかし、もっとマルコヴィッチの頭の中に居られる方法を見つけ出してからが、本作の真骨頂。とんでもない人間関係が引き起こされるのだが、ここでネタバレは止めとこう。
他人の頭の中に入って、その人が何をしているのか、何を考えているのか興味が惹かれる時もあるが、本作ではマルコヴィッチ自身が自分の頭の中に入ってしまうシーンがある。この描写が凄いし、とにかく「マルコヴィッチ、マルコヴィッチ・・・」ばかりで笑える。
ジョン・キューザックなんかは本作では髪の毛ボウボウ、無精ひげ姿で冴えない身なりで演じているが、キャメロン・ディアズに至ってはスッピンに髪の毛ボサボサ。いつもの超美人を隠して演じている。そしてジョン・マルコヴィッチの演技が凄い。本作においても名演技を見せつける。そして、さらに有名人が他にも実名で登場しているのも楽しい。二枚目俳優がとんでもない姿でカメオ的出演しているのも驚きと笑いを提供している。
個人的にはオチが不満だったりするが、観る人によっては「なるほどね~」と納得したり、笑える人も居るだろう。ありきたりなストーリーの映画に見飽きた人、奇想天外なストーリーの映画が観たくなった人等に今回はマルコヴィッチの穴をお勧めに挙げておこう
監督はスパイク・ジョーンズ。監督作品は少ないですが本作のような奇抜なストーリー展開の映画が多い。本作と同じくチャーリー・カウフマン脚本のアダプテーションがお勧め
特にジョン・マルコヴィッチがあの穴に入ったあとのくだりは最高でした。
ちなみにこの映画の製作裏をセルフパロディにした『アダプテーション』も無茶苦茶ですので、ご機会あれば是非。
おかしいなぁと思い、ノートを紐解きますと、「風変わりで難解な映画。不死がテーマは判るけど。」とだけメモしていました。ブログに発表していないわけが判明しました。(笑)
ディープインパクトさんのレビューを今読ませて頂きますと、果たして不死がテーマだったのか?との疑問も生じて来ました。機会があれば見直したいです。
ほんとうに、奇想天外という言葉だけは、ピッタリ似合う映画だったことだけは確かですね。
私は社会派映画が好きですが、映画というのはジャンルに捉われずに面白い映画は面白いところが良いですね。
スパイク・ジョーンズ監督は今回の『マルコヴィッチの穴』で興味を持ちましたので、近いうちに『アダプテーション』も観ます。
しかし、この映画の脚本も元々マルコヴィッチを想定されて書いたとは
貴重な情報ありがとうございました
だけど、映画は本当に色々な表現方法があって面白いと改めて思います。
その7と1/2階で発見された小さな”穴”。
そこは何と俳優ジョン・マルコヴィッチの頭の中に通じていた!!
奇想天外なストーリー、独創的なプロットが、私の心を混乱と不条理な感覚に陥らせた、これは稀にみる凄い映画だ。
監督のスパイク・ジョーンズは、CMやミュージックビデオの世界では、既に名だたるユニークな存在。
無限の想像力を感じさせる天才クリエイターの記念すべき映画デビュー作品なのです。
まずは、7と1/2階のオフィスが極めて異質な雰囲気を漂わせる。
背をかがめて行き交う人々、会話の成り立たない受付。
都会の喧騒に潜むゆがんだ空間は、悪夢を予感させます。
そして、いよいよ、マルコヴィッチの登場。
まるで、悪夢への入り口さながらだ。
最初、のぞきの快感が興味をそそり、私もこんな穴があったら入りたいという好奇心が湧いてくる。
しかし、次第に人間の頭をもたげてくるのは、邪悪な知恵なのだ。
他人になってみたいという、人間の潜在的な願望が、”予測不能な悲喜劇”を引き起こしてしまう。
クレイグ(ジョン・キューザック)は、マルコヴィッチに入ることでマキシン(キャスリーン・キーナー)への片思いを叶えようとする。
クレイグの妻ロッテ(キャメロン・ディアス)は、マルコヴィッチに入ることで自分の中に眠っていた「男性」を自覚し、マキシンとの恋愛に溺れていく。
このマキシンを巡って、マルコヴィッチに入ったクレイグ、マルコヴイッチに入ったロッテと、ただでさえややこしい三角関係が益々ややこしくなっていく。
すっかり器と化してしまったマルコヴイッチが、実にかわいそうだ。
そして、奇抜なブラック・ユーモアに彩られた人間の姿は、おかしくも哀れでさえある。
この映画の中でも、特に傑作な爆笑場面は、マルコヴィッチ自身がマルコヴィッチに入るくだり。
何が起こるかは観てのお楽しみだ。
一つのオチを迎えるこの場面で、観ている我々は正気に返り、一方、映画の中のキャラクターたちは、未だ覚めぬ悪夢の中にいるというわけだ。
人間を客観的に見る目を取り戻した、観ている我々にとって、強烈なインパクトを与えるのが、人間の変身願望の器となったマルコヴィッチが、操られた人形のごとく踊る場面だ。
中を支配するクレイグの特技は人形使い。
そして、この人形使いが転じて人間使いになってしまう着想は、抜群にうまいと思う。
そして、人間に内在する欲望が外へ放出された時の狂気には、笑いを通り越して、恐怖すら感じてしまうのだ。
ただ、「どうしてマルコヴィッチでなければいけなかったのか?」というのは、観ている誰しもが感じる疑問だと思う。
そもそも、ジョン・マルコヴィッチとは、メジャーな役者であるにも関わらず、どんな作品に出演しているかが思い出せないといった”不思議なカルト性”を備えた存在。
そのように考えた時、他人に侵入されてしまうなんて役は、実はうってつけなのかもしれない。
この作品での、クレイグが入ったマルコヴィッチ、ロッテが入ったマルコヴィッチを演じ分ける怪演も絶妙であったと思う。
最終的に、秘密の穴の先には、「人間の存在とは何なのか?」という哲学的なテーマが横たわっているのだと思う。
時間、空間、恋愛、性といった様々な概念を倒錯させる「マルコヴィッチの穴」とは、”現代の人間社会の混迷”を象徴する不可思議なキーワードとして、いつまでも脳裏に深く刻み込まれるのかも知れません。