世の中には凄い人が居るというのを改めて感じさせてくれるのが今回紹介する映画マネー・ショート 華麗なる大逆転。世界中を大不況に陥らさせたリーマン・ショックによって、多くの人が貧困に叩き落とされた。アメリカの金融システムだけに止まらず、グローバリズム経済の欠点をモロに痛感したのはアメリカ人だけでなく、世界中の人が痛感した。しかし、そんな金融システムを逆手にとって大儲けをした人間が居る。彼らは多くの人がどん底に陥ってしまった中で、どのような手段を使ったのか。
ちなみに本作は経済をテーマにした映画だから、経済用語がこれでもかと容赦なく出てくる。所々で重要な経済用語についての説明はセレブな登場人物達が分かり易く説明してくれるのだが、経済に詳しくない人は1回説明されただけでは理解できない。よって、本作を観る前にリーマンショックにおける基本的な経済用語は事前に勉強してから臨む必要がある。
例えば超基本的なところではサブプライムローン、そしてショート(空売り)、MBS(モーゲージ債)、CDO(債務担保証書)、CDS(クレジッド・デフォルト・スワップ)ぐらいの経済用語を抑えておけば良いだろう。
ちなみに空売りについて少々説明しておこう。俺は株をしないので知らなかったのだが、株で利益を出すためにはその銘柄を安く買って、高値で売るしか方法がないと思っていた。しかし、本作を観て知ったのだが、高い時に買って、安くなった時に買い戻した時の差額が利益になる方法が空売り(厳密には違うかもしれないが)。俺が思っていたのと逆の発想で、株価が下がった時に利益が出るなんて全く知らなかった。しかしながら、この方法のデメリットは株価が下がらずに上がってしまった場合は、保険料を支払わなければならないこと。本作でも空売りを実行した主人公がこの保険料で苦しむシーンが出てくる。
早速だが、テンポ良く、ポップなシーンを散りばめられるストーリーの紹介を。
身なりが証券マンとは程遠いようなTシャツ、短パン、裸足の姿で出社している金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)。彼は信頼度の格付けが最高のAAAランクの金融商品の中に極めて信頼度の低いサブプライムローンが紛れこんでいることを見抜き、多額の金を使って空売りを仕掛ける。周囲はそんなマイケルを変人扱いするが、彼の動きを察知した者の中にはごく少数だが、なるほど~と!同じく空売りを仕掛ける者もいた。彼らのモチベーションは金持ちになることもあるが、歪な構造における金融システムへの挑戦でもあったのだが・・・
副題に『華麗なる逆転』とあるので痛快なラストシーンを想像する人が多いかもしれないが、観る前から誰もが金融危機を描いていることを知っているので喜べないし、その憂き目にあった当事者は複雑な気持ちになるだろう。金融崩壊をかぎ取る主な登場人物がマイケル(クリスチャン・ベイル)、大手投資会社の傘下に入っている会社のトレーダーであるマーク(スティーヴ・カレル)、銀行員のジャレッド(ライアン・ゴズリング)、元トレーダーのベン(ブラッド・ピット)、主にこの4人。よく考えたらこの4人は職柄的には金融崩壊が起きれば自分が困ったり、どこか心に傷を抱えていたりするのが、本作を少しばかり深みのある作品にしている。
この中でも俺はスティーヴ・カレル演じるマークに興味が惹かれた。マークには兄が居たのだが、カネのせいで自殺してしまっている。彼は清廉にしてピュアな人間であり、兄の死から立ち直れないでいるし、また自分の仕事にも懐疑的であり、しかも貧乏な人や返済能力がない人に対しても、どんどん住宅ローンを組ます金融関係の人間に怒りを感じている。そのお陰で彼の毒舌、怒鳴り声を挙げる等は日常茶飯事。しかし、彼もいざという時に苦悩する。実は俺も生き馬の目を抜くような人間と同じではないか?。祖国アメリカの崩壊を願っている自分は間違っているのではないか?。このあたりのジレンマに悩む姿は爽快感は無いが、バブルでやりたい放題の浮かれた人間との温度差を感じられ、人間ドラマ的な要素を感じられる。
そしてベン(ブラッド・ピット)の出番は多くないが、ウォール街に嫌気がさし大手の投資会社を辞めた元トレーダーにも興味が惹かれる。ベンは金融業界に興味を持った若い二人を手助けをする役回りを演じる。ベンが若い二人が喜んでいるのを一喝するシーンがあるが、この男もまたマークと同じことを考えていたことが分かる。そして、若い二人が不安に悩まされながらも最後に大金持ちになった時に、ベンに対して疑問をぶつける。「どうして僕たちの手伝いをしてくれたんですか」。それに対するベンの答えが格好良い。「金持ちになりたいんだろ」。色々と印象的な台詞が多いが映画だが、俺はこの台詞が一番心に染みた。
本作は色々なことを観ている者に示唆してくれる。どんどんバブルが膨れ上がることに気付かずに浮かれまくっている人間の馬鹿さの空気を感じられるし、あの時の反省を今こそしなければならないと思わさせられる。そして、マイケル(クリスチャン・ベイル)からは我慢強さもそうだが、それ以上にいつバブルが弾けるかのタイミングをある程度は見抜いていたこと。これが凄い。どんどん住宅の価格が上昇している時代にいずれバブルが弾けることを予想し、それが近い将来だということに気付いた点。それでも予想に反する株価の動きがあったりで苦しむこともあるが、彼の揺るぎない信念が大儲けをもたらす。
他にも色々と金融業界を他の業界に変えて考えさせられたり、先行き不透明な世界において私は20年後のことを考えているなんていい加減なことを言うことの罪の深さを感じたり、机上の論理と現実の世界におけるギャップを感じることの大切さを考えさせられたり、人間は同じことの過ちを繰り返す生き物だと改めて教えられたり・・・等など、色々と感じられる。
経済に詳しい人、経済にそれほど詳しくなくても難しい用語を気にせずに見れる人(これが一番適した本作の見方かな?)、アメリカのジョークに造詣が深い人、金持ちになりたい野心を持っている人、リーマンショックから未だに抜け出せない人・・・等などに今回は映画マネー・ショート 華麗なる大逆転をお勧め映画として挙げておこう
監督は社会派的な作品でもコメディに作り変えてしまうのが得意なアダム・マッケイ。俺たちニュースキャスター、元アメリカ副大統領のディック・チェイニーを描いたバイスがお勧め
ちなみに本作は経済をテーマにした映画だから、経済用語がこれでもかと容赦なく出てくる。所々で重要な経済用語についての説明はセレブな登場人物達が分かり易く説明してくれるのだが、経済に詳しくない人は1回説明されただけでは理解できない。よって、本作を観る前にリーマンショックにおける基本的な経済用語は事前に勉強してから臨む必要がある。
例えば超基本的なところではサブプライムローン、そしてショート(空売り)、MBS(モーゲージ債)、CDO(債務担保証書)、CDS(クレジッド・デフォルト・スワップ)ぐらいの経済用語を抑えておけば良いだろう。
ちなみに空売りについて少々説明しておこう。俺は株をしないので知らなかったのだが、株で利益を出すためにはその銘柄を安く買って、高値で売るしか方法がないと思っていた。しかし、本作を観て知ったのだが、高い時に買って、安くなった時に買い戻した時の差額が利益になる方法が空売り(厳密には違うかもしれないが)。俺が思っていたのと逆の発想で、株価が下がった時に利益が出るなんて全く知らなかった。しかしながら、この方法のデメリットは株価が下がらずに上がってしまった場合は、保険料を支払わなければならないこと。本作でも空売りを実行した主人公がこの保険料で苦しむシーンが出てくる。
早速だが、テンポ良く、ポップなシーンを散りばめられるストーリーの紹介を。
身なりが証券マンとは程遠いようなTシャツ、短パン、裸足の姿で出社している金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)。彼は信頼度の格付けが最高のAAAランクの金融商品の中に極めて信頼度の低いサブプライムローンが紛れこんでいることを見抜き、多額の金を使って空売りを仕掛ける。周囲はそんなマイケルを変人扱いするが、彼の動きを察知した者の中にはごく少数だが、なるほど~と!同じく空売りを仕掛ける者もいた。彼らのモチベーションは金持ちになることもあるが、歪な構造における金融システムへの挑戦でもあったのだが・・・
副題に『華麗なる逆転』とあるので痛快なラストシーンを想像する人が多いかもしれないが、観る前から誰もが金融危機を描いていることを知っているので喜べないし、その憂き目にあった当事者は複雑な気持ちになるだろう。金融崩壊をかぎ取る主な登場人物がマイケル(クリスチャン・ベイル)、大手投資会社の傘下に入っている会社のトレーダーであるマーク(スティーヴ・カレル)、銀行員のジャレッド(ライアン・ゴズリング)、元トレーダーのベン(ブラッド・ピット)、主にこの4人。よく考えたらこの4人は職柄的には金融崩壊が起きれば自分が困ったり、どこか心に傷を抱えていたりするのが、本作を少しばかり深みのある作品にしている。
この中でも俺はスティーヴ・カレル演じるマークに興味が惹かれた。マークには兄が居たのだが、カネのせいで自殺してしまっている。彼は清廉にしてピュアな人間であり、兄の死から立ち直れないでいるし、また自分の仕事にも懐疑的であり、しかも貧乏な人や返済能力がない人に対しても、どんどん住宅ローンを組ます金融関係の人間に怒りを感じている。そのお陰で彼の毒舌、怒鳴り声を挙げる等は日常茶飯事。しかし、彼もいざという時に苦悩する。実は俺も生き馬の目を抜くような人間と同じではないか?。祖国アメリカの崩壊を願っている自分は間違っているのではないか?。このあたりのジレンマに悩む姿は爽快感は無いが、バブルでやりたい放題の浮かれた人間との温度差を感じられ、人間ドラマ的な要素を感じられる。
そしてベン(ブラッド・ピット)の出番は多くないが、ウォール街に嫌気がさし大手の投資会社を辞めた元トレーダーにも興味が惹かれる。ベンは金融業界に興味を持った若い二人を手助けをする役回りを演じる。ベンが若い二人が喜んでいるのを一喝するシーンがあるが、この男もまたマークと同じことを考えていたことが分かる。そして、若い二人が不安に悩まされながらも最後に大金持ちになった時に、ベンに対して疑問をぶつける。「どうして僕たちの手伝いをしてくれたんですか」。それに対するベンの答えが格好良い。「金持ちになりたいんだろ」。色々と印象的な台詞が多いが映画だが、俺はこの台詞が一番心に染みた。
本作は色々なことを観ている者に示唆してくれる。どんどんバブルが膨れ上がることに気付かずに浮かれまくっている人間の馬鹿さの空気を感じられるし、あの時の反省を今こそしなければならないと思わさせられる。そして、マイケル(クリスチャン・ベイル)からは我慢強さもそうだが、それ以上にいつバブルが弾けるかのタイミングをある程度は見抜いていたこと。これが凄い。どんどん住宅の価格が上昇している時代にいずれバブルが弾けることを予想し、それが近い将来だということに気付いた点。それでも予想に反する株価の動きがあったりで苦しむこともあるが、彼の揺るぎない信念が大儲けをもたらす。
他にも色々と金融業界を他の業界に変えて考えさせられたり、先行き不透明な世界において私は20年後のことを考えているなんていい加減なことを言うことの罪の深さを感じたり、机上の論理と現実の世界におけるギャップを感じることの大切さを考えさせられたり、人間は同じことの過ちを繰り返す生き物だと改めて教えられたり・・・等など、色々と感じられる。
経済に詳しい人、経済にそれほど詳しくなくても難しい用語を気にせずに見れる人(これが一番適した本作の見方かな?)、アメリカのジョークに造詣が深い人、金持ちになりたい野心を持っている人、リーマンショックから未だに抜け出せない人・・・等などに今回は映画マネー・ショート 華麗なる大逆転をお勧め映画として挙げておこう
監督は社会派的な作品でもコメディに作り変えてしまうのが得意なアダム・マッケイ。俺たちニュースキャスター、元アメリカ副大統領のディック・チェイニーを描いたバイスがお勧め
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