時に名作と呼ばれる映画は歴史上において英雄でもない人間にスポットを当てる時がある。例えばスタンリー・キューブリック監督の映画スパルタカス、メル・ギブソン監督の映画ブレイブ・ハート(ウィリアム・ウォレスが主人公)等がそう。両作品ともに暴政に苦しんだが故に反乱を起こす実在の人物であるスパルタカス、ウィリアム・ウォレスを描いているが結局は失敗に終わっているために、彼らには歴史上においては光を照らされていない。
そして今回紹介する映画アラビアのロレンスも今更ここで載せなくても有名すぎるぐらいの名作である。しかし、本作の歴史上の実在の人物であるトーマス・エドワード・ロレンスだが、実はこの人物も歴史上において確たる功績を挙げているわけではないので、歴史上においてこの人も光を照らされていない。前述したスパルタカス、ウィリアム・ウォレスの2人は反乱に失敗したが、その後の歴史を振り返れば決して彼らの反乱は無駄ではなかったことに気づく。歴史をひも解けば、一番初めに改革をしようとした者は失敗するものであり、その後に現れる同じ志を持った人間によって成し遂げられるのが普通だ。
さて、今回紹介する映画アラビアのロレンスの主人公であるトーマス・エドワード・ロレンスはどのように評価されるのだろうか?実は本作はいきなり主人公のトーマス・エドワード・ロレンスがバイク事故で亡くなるシーンから始まる珍しいパターン。その後に彼の葬式が行われた教会で多くの人が集まるのだが、彼らがロレンスを評価する言葉が次々に述べられるのだが賛否両論で極端に意見が分かれる。さて、彼は本当に英雄なのか、それとも偽善者なのか?
アラブに広がる砂漠を背景に名シーンが連発する映画の印象が強いが、実はロレンスの人間味溢れるストーリーの紹介を。
1916年、イギリス領エジプトのカイロの英国司令部において。何かと風変わりなことで知られているロレンス(ピーター・オトゥール)だったが、アラビア語に堪能だったことからアラブ方面へ行かされることになる。目的はオスマン帝国からの独立を目指して反乱を指揮しているファイサル王子(アレック・ギネス)と会い、現在のアラブ情勢の情報を得ること。アラブ人をガイドに付けて、ラクダものりこなせるようになるが、道中でアラブ民族同士が争うのに嫌気がさしてきた。
ロレンスがファイサル王子の基地に向かうと、そこはオスマン帝国の空軍による爆撃を食らっている最中でアラブ反乱軍は成す術もなかった。ロレンスはファイサル王子と会談し、イギリスはアラブの独立闘争を助けることを約束する。ロレンスは一人になっていると、ある考えが浮かぶ。それはオスマン帝国軍の港湾都市であるアカバを攻撃すること。熱い砂漠を何日もかけて歩き、敵の背後をつく奇襲作戦だったが、誰も成功するとは思っていなかったが、まんまと成功を収める。しかし、ロレンスはアカバ攻略に際して、多々あるアラブ民族をまとめる難しさを痛感する様々な出来事を目にする。
その後もロレンスはアラブの独立のために、アラブの民族衣装まで着てオスマン帝国軍と戦う。しかし、彼はアラブ独立の大義のために戦ってきたつもりが、そんな夢を打ち砕くことが裏では行われていたことを知ってしまい・・・
よくロレンスは変人と言われることがあるが、ここで描かれるロレンスは人情に厚い。しかし、いざ戦うとなると多くの犠牲者を出してしまうし、アカバ攻撃にしても上司に連絡もせずに彼の独断の行動。時々、アラブが好き過ぎて我を忘れてしまうこともある。彼はアラブのために戦ったが結果はどうだったのだろう?それは今の中東を見ればわかる。中東に色々な国が出来上がってしまい、アラブの国同士で争い、しかもアメリカやロシアやイギリスなどの大国の思惑が絡んでいる状態が今まで続いている。よく言われるイギリスの三枚舌外交に利用されたというべきだろう。
本作でよく語られるのは砂漠をとらえた映像美。砂漠の地平線からラクダに乗った人物がやって来るシーンはよく覚えているし、マッチの炎を消すと砂漠が現れるシーンは映画好きには語り継がれている。奥行きをかんじさせるショットの凄さなら、あらゆる映画の中でもっとも優れているいえるだろう。
他にも戦闘シーンも印象に残るし、音楽も素晴らしい。しかし、個人的には冒頭のシーンを活かしたラストシーンに切なさと虚しさが湧き出てくる。そしてファイサル王子がロレンスに最後に出会ったときに語る台詞。これが世界の外交なんだということが理解できる。
なぜ今の中東はアラブ民族同士で争うのかを知りたい人、世界の外交の厳しさを知りたい人、約3時間半という長時間の映画に耐えることが出来る人、砂漠の美しさと残酷さの両方を知りたい人、人間の内面も砂漠と同じで善悪があるということを理解したい人・・・等に映画アラビアのロレンスを今回はお勧めしておこう。
監督はイギリス人のデビッド・リーン。彼の映画は本作も含めて大スクリーンで見たくなる雄大さが特徴。ベニスを舞台にした中年男女の恋を描いた旅情、戦争映画でありながら日英米の軍人の違いを描いた戦場にかける橋、ロシアの大地の自然の厳しさを余すことなく描いたドクトル・ジバゴ、アイルランド独立を背景にした不倫映画ライアンの娘などお勧め多数です。
そして今回紹介する映画アラビアのロレンスも今更ここで載せなくても有名すぎるぐらいの名作である。しかし、本作の歴史上の実在の人物であるトーマス・エドワード・ロレンスだが、実はこの人物も歴史上において確たる功績を挙げているわけではないので、歴史上においてこの人も光を照らされていない。前述したスパルタカス、ウィリアム・ウォレスの2人は反乱に失敗したが、その後の歴史を振り返れば決して彼らの反乱は無駄ではなかったことに気づく。歴史をひも解けば、一番初めに改革をしようとした者は失敗するものであり、その後に現れる同じ志を持った人間によって成し遂げられるのが普通だ。
さて、今回紹介する映画アラビアのロレンスの主人公であるトーマス・エドワード・ロレンスはどのように評価されるのだろうか?実は本作はいきなり主人公のトーマス・エドワード・ロレンスがバイク事故で亡くなるシーンから始まる珍しいパターン。その後に彼の葬式が行われた教会で多くの人が集まるのだが、彼らがロレンスを評価する言葉が次々に述べられるのだが賛否両論で極端に意見が分かれる。さて、彼は本当に英雄なのか、それとも偽善者なのか?
アラブに広がる砂漠を背景に名シーンが連発する映画の印象が強いが、実はロレンスの人間味溢れるストーリーの紹介を。
1916年、イギリス領エジプトのカイロの英国司令部において。何かと風変わりなことで知られているロレンス(ピーター・オトゥール)だったが、アラビア語に堪能だったことからアラブ方面へ行かされることになる。目的はオスマン帝国からの独立を目指して反乱を指揮しているファイサル王子(アレック・ギネス)と会い、現在のアラブ情勢の情報を得ること。アラブ人をガイドに付けて、ラクダものりこなせるようになるが、道中でアラブ民族同士が争うのに嫌気がさしてきた。
ロレンスがファイサル王子の基地に向かうと、そこはオスマン帝国の空軍による爆撃を食らっている最中でアラブ反乱軍は成す術もなかった。ロレンスはファイサル王子と会談し、イギリスはアラブの独立闘争を助けることを約束する。ロレンスは一人になっていると、ある考えが浮かぶ。それはオスマン帝国軍の港湾都市であるアカバを攻撃すること。熱い砂漠を何日もかけて歩き、敵の背後をつく奇襲作戦だったが、誰も成功するとは思っていなかったが、まんまと成功を収める。しかし、ロレンスはアカバ攻略に際して、多々あるアラブ民族をまとめる難しさを痛感する様々な出来事を目にする。
その後もロレンスはアラブの独立のために、アラブの民族衣装まで着てオスマン帝国軍と戦う。しかし、彼はアラブ独立の大義のために戦ってきたつもりが、そんな夢を打ち砕くことが裏では行われていたことを知ってしまい・・・
よくロレンスは変人と言われることがあるが、ここで描かれるロレンスは人情に厚い。しかし、いざ戦うとなると多くの犠牲者を出してしまうし、アカバ攻撃にしても上司に連絡もせずに彼の独断の行動。時々、アラブが好き過ぎて我を忘れてしまうこともある。彼はアラブのために戦ったが結果はどうだったのだろう?それは今の中東を見ればわかる。中東に色々な国が出来上がってしまい、アラブの国同士で争い、しかもアメリカやロシアやイギリスなどの大国の思惑が絡んでいる状態が今まで続いている。よく言われるイギリスの三枚舌外交に利用されたというべきだろう。
本作でよく語られるのは砂漠をとらえた映像美。砂漠の地平線からラクダに乗った人物がやって来るシーンはよく覚えているし、マッチの炎を消すと砂漠が現れるシーンは映画好きには語り継がれている。奥行きをかんじさせるショットの凄さなら、あらゆる映画の中でもっとも優れているいえるだろう。
他にも戦闘シーンも印象に残るし、音楽も素晴らしい。しかし、個人的には冒頭のシーンを活かしたラストシーンに切なさと虚しさが湧き出てくる。そしてファイサル王子がロレンスに最後に出会ったときに語る台詞。これが世界の外交なんだということが理解できる。
なぜ今の中東はアラブ民族同士で争うのかを知りたい人、世界の外交の厳しさを知りたい人、約3時間半という長時間の映画に耐えることが出来る人、砂漠の美しさと残酷さの両方を知りたい人、人間の内面も砂漠と同じで善悪があるということを理解したい人・・・等に映画アラビアのロレンスを今回はお勧めしておこう。
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監督はイギリス人のデビッド・リーン。彼の映画は本作も含めて大スクリーンで見たくなる雄大さが特徴。ベニスを舞台にした中年男女の恋を描いた旅情、戦争映画でありながら日英米の軍人の違いを描いた戦場にかける橋、ロシアの大地の自然の厳しさを余すことなく描いたドクトル・ジバゴ、アイルランド独立を背景にした不倫映画ライアンの娘などお勧め多数です。
この映画を始め、ディープインパクトさんが挙げられている数々の作品、ほんとうに素晴らしいと思います。
デヴィッド・リーンは、そのほかにも、「逢びき」のような、今で言う不倫ものも撮っていますし、「ホブスンの婿選び」のような、ウィットとユーモアに溢れた映画も撮っていますが、こんな一面からも、本当に多才な監督だと思います。
デヴィッド・リーン監督はディケンズの小説も映画化しているんですよね。本当に彼も多才な監督さんですね。
アラビアのロレンスですね。数回見ましたね(懐)
D.リーンの数ある名作の中でも紛れもない最高傑作ですよね。第一次大戦中のアラブでの砂漠の利権を狙うトルコ軍とアラブ。大英帝国の介入ets.
今日では絶対に撮影が不可能な・・・
戦闘部隊が村を壊滅させるシーンや疾走する列車の爆破シーン・・・
人間と自然や西欧文明と異文化の相克等のテーマも徹底してて感動しますよね。それに一番はロレンスを英雄として描かず、むしろ気分にムラがあり浮き沈みの激しいタイプの弱い人間で理想家(笑)それに引き換えアラブの首長の男の方が筋が通った人間って・・・
今後は映画のコメントもよろしくお願いします。
しかし、シュウさんはこの映画を数回見ているとは、どうやら映画をたくさん観られているような気がしますね