1985年にMAPSが招聘したHOT RISEのリード・ボーカルと
マンドリンを弾いていたのがティム・オブライエン。
クレバーでクールなプレイヤーという印象だったが、強い個性があるでもなく、特にくだけもせず、僕の印象としてはそこまでしかなかった。
HOT RISEはブルーグラスの4人組でありながら、途中に扮装をガラリと替えてレッド・ナックルズ&ザ・トレイルブレイザーズというバンドに
早代わり。サングラスにテンガロン、ブーツでウェスタンスイングやレフティ・フリゼルを演った。なかなかシャレが効いていた。
そんな彼らも、帰国後、メジャーデビュー寸前で解散。その後ギターのチャールズ・ソウテルは故人となり、他にもMAPSがよんだジョン・ダッフィ、ボブ・ペイズリー、カーリー・レイ・クラインなど…何人もが鬼籍に入った。
一方で賞賛を受けるミュージシャンも多く出た。サム・ブッシュ、ベラ・フレック、そしてティムも05年にグラミー賞トラッド・フォーク部門に輝いた。そう、グラミー賞歌手なんだぜ。特に自分のルーツであるケルティック音楽の出会いが、彼の路線を明確にしたと見える。
とはいうものの、ホント長らくのご無沙汰。作品はほとんど聞いてもいなかった。今回は月一度の大阪ブルーグラスナイトに現れるかもしれない…との情報が寄せられて、行ってみたら本当に会えた。
21年ぶり。懐かしくて即座に名乗ったら、彼も覚えていて、MCで「まるでタイムマシンに乗った気分だ」なんてことを言ってた。フレンドリーな温かい性格がにじみ出るような、パフォーマンスを1時間近くもみせてくれた。
赤毛の少年のようなティムも52歳。ますます若々しい。唄も楽器もさすがで、左手の的確な運指、そのタッチの柔らかさ。相変わらず声も出ている。さすが現役バリバリだけのことはある。
ステージでは最後ジャムとなった。
それにしてもティムの英語はわかりにくいわぁ。相手に合わせて喋るテムポを落としたりしないし、口跡がいいとはいえないので、いい話をだいぶ聞き漏らしてしまったのは慙愧にたえぬ・・・。ああ会話の勉強しなきゃ、常にこう思い、そしてすぐに忘れてしまう。その繰り返しなりけり。