高槻の鶏肉屋「つるや」。やはり「かしわ」と呼びたい。ビルとビルに挟まれて、この佇まいを保っている。たぶん家屋は戦前のもの。店主はそういうことには全く頓着なく、だから残ってきたともいえるのではないか。コツコツと鶏を掃除して俎板は磨り減り、包丁はちびりまくり、今も昔ながらの対面販売。「これまだ硬いから二日ぐらい置いてからお食べ」なんてことを教わる。
朝コケッコと元気な鶏がトラックで運ばれてきて、そいつを裏でつぶして、新鮮なところをさばき、これも昔ながら竹の皮に包んで売る。竹の皮は肉の不要な水分を吸ってくれるのだという。
高槻の街の真ん中で、裏にニワトリのケージがあるかしわ屋なんて在ること自体、信じ難い。裏に回ると3種類の鶏が扇風機にあたっていた。ヤツら暑がりらしい。
「ちょっと食べてみるかぇ」と主人。
生でイケるのがうちの自慢という。左は胸肉のタタキ。さっと皮をバーナーで炙ってある。右はモモ肉、こっちは山葵醤油で。生肝は塩胡麻油。
なるほど造りでも結構なもんだ。
「唐揚げより、こっちの方がウマイから」と主人が勧める鶏天ぷら。
塩胡椒で。あ~ビールが欲しい。
名古屋の親戚の家がかしわ屋で、ガキの時分、どうにもあの匂いに馴染めなかったものだが、あの匂いを35年ぶりぐらいに匂った。これこそが正しいかしわ屋というものなんだな。
そういえば米屋には米屋の、乾物屋には乾物屋の、文房具屋には文房具屋の匂いというものがあった。
スーパーはことごとくあのラップで覆い隠し、匂いをなきものにしてしまう。それは実に我々の五感の一つ嗅覚を退化させることにつながりはしないか。
ってなことで茨木へ移動。茨木の旧トポス側の路地にある韓国料理の「鎮玉(チノ)」。光州出身のオモニの名前。
「酸っぱいかも」と言われたが、適度な乳酸発酵。快適な辛さ。
青唐辛子のチヂミ。味がついているのでこのまんま。
パリッとしてモチモチ。で、じんわり辛い。
生鯖の煮付け テンジャンで煮てあるのだがピリッと辛い。これでメシを何杯でも食える。
ピビンパは女将がカウンターから出てきてグワッと混ぜてくれた。
一心不乱に混ぜる!これでこそピビンパ(混ぜるメシ)なり。
日本人は概してこのスッカラで徹底して混ぜるのがヘタクソ。
かしわ「つるや」 高槻センター街をず~っと進んで、右折
韓国料理「鎮玉」 茨木旧トポス側 商店街左折