どうも鰻づいているようだが、まぁそんな時もあるさ。
夏痩せに良いと、平賀源内だかが仕掛けて「土用の丑」で定評があるが、実は夏枯れに一考を案じた営業戦略であって、本来は秋からが脂が乗って美味くなる鰻。むなぎとは鰻の古語。
さて今回は、今年、南森町界隈にできた鰻屋。
さぁ、まずは冷たいビールで始めよう。
うざく
こちらは青口うなぎという名称で、国内産の鰻に限定して出している。
この日は愛知県産(もちろん養殖)。
胡瓜のザクザクした歯触りが楽しい、上々の滑り出し。
鰻の山椒煮 この色、姿がいいねっ!
これ旨い。お茶漬けでもいいな。
鰻のシーザーズサラダ
トマトソースとか、ジェノバソースなど、ここはいろんな隠し球も
あるらしいが・・・。
鰻を本当に旨いと思ったのは、住友病院の帰りに母に食わせてもらった中之島竹葉亭のうな丼。家では小さな切り身が二つ乗ってるぐらいなのでその切り身の大きさに目を見張った。一回きり、なんでそんな店に連れて行ってくれたのかはさだかではない。宝くじ…まさか。
その後は東京に出てから、小遣い貯めては江戸焼きの真髄に触れることになった。思い出すだけでも、尾花、野田岩、田川、秋本、前川、小柳、小満津…いい店ほど時間がかかり、40分から1時間待ちだ。お新香で酒ちびちびやりながら、じっと待った。
客が来てから鰻を割き、串打ち、白焼きして、蒸しにかけて、たれに浸けながら何度も焼くのだから、そりゃ時間がかかる。
昔は風呂付きの鰻屋があり、風呂から上がった頃に焼き上がるなんて店もあったという。実にゆったりしたものだった。
中之島竹葉亭の最後にも行っている。魯山人ゆかりの粋な黒塀の、あの佇まいが大阪から消えたのは残念至極。
鰻の肝煮 これも美味。ビタミンA補給になる。
大阪では昔から屋号に「菱●●」と付く店が多く、古くは「ひし又」という鰻屋があったそうな。その名残から鰻という漢字は魚へんに日、四、又…と書くようになったという上方噺がある。
八幡巻
京都南部の八幡市辺りは、かつてゴボウの名産地だったことからこの名がある。
う巻き
とろりとしたアツアツのだし巻き
上等上等!
鰻の骨せんべい
つなぎに心地よし。和製グリッシーニ。
ちがうか…。
鰻の湯びき
こいつはちょっと皮の内側にぬめりがあり一寸した癖がある。
同じ長モノでも鱧のようにはいかないわけだ。
白焼き カリッと香ばしく焼き上げてある。
白焼きを山葵と醤油でやるのは、蒲焼とは違うもう一つの旨さ。
淡彩の中にじわっとした滋味がある。
ここでは山葵、天然塩、マスタードビネガーで食す。
ワインが欲しくなった。
ラストは鰻重か白焼丼、おひつまぶしを選べる。
うな重を頼んだ者はこれ、一匹分。きれいな焼き目だ。
仕事がなかなか丁寧なのは好感が持てる。
僕が選んだのは、ひつまぶし。
わさびに刻み海苔、ネギ、あられをかけて、
だしを満たす。 さら、さらさらさら・・・
あっさりとして、これは仕上げにゃぴったりだなぁ。
天神橋筋商店街から二本ほど東へ入ったビル群の中にある。
東京と比べて、驚くほど安くお値打ち価格で楽しめる。
のんびりと鰻をゆっくり楽しみたい人はぜひ。
うな次郎 大阪市北区紅梅町3