田舎の夜は怖い。正真正銘の真っ暗である。
闇から何かが出てきて襲われそうな恐怖感がある。
山の方でケーンと鹿が鳴いた。熊でも出てきたらどうしよう・・・とか考えてしまい、
夜気の中、ちょっと外へ出ただけでもゾゾゾとしてしまった。 根性なしか。
アタシ一人遅かったので、ちょいと寝不足だが、朝飯にはしっかり反応するのだ。
台所から、いい匂いが漂い出した。
宿のお嬢さん方が土間で、朝食の用意をしてくれている
トントントン…という音やら味噌の匂い立ちこめ、懐かしさを感じながら起きる
朝食のプロデュースは、ご近所の「ろあん松田」さん。
夕食を和にして、朝食をひなの蔵の洋にすることもできる。
丹波の自然薯のとろろが美味かった。
新米を羽釜で炊いたごはんがピカイチ。
朝から無反省に3杯も食ってしまった。
女将というには、若くチャーミングな女将さん
私らが泊ったのはお祖母ちゃんの家だったそう
ヤギがご近所のアイドル
街は篠山まつりだかで混雑していた
丹波の黒豆の解禁。豆でこんなに湧くものなんだ
黒豆の枝豆なんて言われ出して、まだ20年もたたないんぢゃないか?
そのまんま置いておけば、大きな黒大豆に育ち、年末おせち用に高く売れる
そいつを未熟のまま食ってしまうなんて、ゼイタクこの上なし
丹波の黒豆にブランドがあるなんて初めて知った
川北産は粒が大きく、波部黒産も味がいいという
こんな風に周辺農家が運んできた枝豆を、そこら中で販売していた。
メインの街道沿いで、ササヤマルシェ開催中。
いろんな出店があって、でもプロの露店はいなくて、楽しい。
ろあん松田のお嬢さん、鮎美さん発見。 かつて大正で蕎麦屋を開いていた。
コルビさん関係でフランスに行き、今、戻って実家を助ける
鹿のカスクート
ポテト・コーン・オニオンを練り込んだパンに、鹿肉のロースト
鹿は赤味でクセがない。アタシはもう少し焦がした方が好き。
さて、丹波篠山の名物に「箱寿司」がある。
澤藤という店を勧められていたのだが、そこから遠く離れてしまったので、
「三笠鮨」という店にあてずっぽうで入る。
のんびり篠山時間。
かなり待たされて、でも急ぐ旅でもないので、カリカリせず待つ。
期待が膨らんでパンパンになり、しぼみかけた頃、登場~~~
ジャジャ~~ン!!
これが箱寿司か… 鯛もしくはヒラメと玉子焼き、穴子のつけ焼きの2種類。
上からツメが思い切り塗られる。
この濃厚なツメがどうにも単調で、最後までに食べ飽きる。
バッテラ 鯖寿司も篠山名物らしく、あちこちの屋台で売っていた。
なんでこんな山国で鯖寿司かと思ったが、日本海から何本も通っていた鯖街道の一本は
篠山を通り、物資はここを経由して阪神へと向かったのだろう。
それにしても、この箱寿司には驚いたのだが、
冷静に考えれば、このスタイルの箱寿司はおそらく長い歴史があり、これを小鯛・海老・焼穴子・すり身を
入れた玉子焼き・椎茸などを使い、味のバラエティを持たせ、“二寸六分の懐石料理”といわれるご馳走に
仕立て上げたのは天保12年、大阪船場の「吉野鮨(鮨の字がちがう)」だ。
と考えると、篠山流に原型を見る方が妥当なのかもしれない。あるいは大阪寿司が逆に篠山へと
流れ着いたか。その辺りを考えたら面白いが、時間のかかったのには閉口した。
ま、ムリから「長閑な時間がおくれた…」と言えないこともないが。
土産にした栗と枝豆。
栗剥きをさせられた家人は腱鞘炎みたいになり、長く恨まれることになる…。