天津包子を豚饅頭と名付けて売り出した元祖、「老祥記」を頭目とする神戸の豚まん。
いやいや「三宮一貫楼」だ。「四興楼」だ「太平楼」だ…と集まれば意見が分かれる。
自分のひいきの豚まんがあるのが神戸たるゆえん。
大阪なんてほぼ、「551蓬莱」の一人勝ち。「二見」ファンもいるにはいるんだがね。
神戸豚まん西の雄!老祥記の次に古い歴史のあるのが新開地の「春陽軒」。
聚楽館(現ラウンドワン)を上がって商店街を北上。 落語席「喜楽亭」のまだ先。
こんなゲートがあるけども、明石焼きのたちばなはとっくに三宮に引っ越している。
元祖和風中華料理店の金文字がいいでしょう。
目の前の駐車場も全部春陽軒の店だったらしく、初代は日本人だし、日本人に合う中華料理を
やっていたようだ。火鍋が名物だったらしい。
だんだん人の流れが東へ移り、県庁が三宮に移り、映画も斜陽となるにつれ、
新開地は荒れて、昼間っから仕事にあぶれたオッサンが車座で酔っ払ってるような町へ。
春陽軒も一度は店を畳んだが、客にせがまれて豚まんだけを商っている。
豚まん、何で食べる?っていうのが巷のヒマねたになる。
私なら連続2個食べて、1個の半分はそのまま。半分は芥子を溶いた酢と醤油。
もう1個は芥子とウスターといきたい。
春陽軒の面白いのは、9割の客がウスターソースと味噌を混ぜるという。
豚まんは老祥記同様、小型。 なので6個7個と昼飯に食べる人がいるという。
いろいろ味噌の分量を試してみてください。と小皿を複数持ってきてくれた。
あんに味噌が使われている。
しっかり味が付いてるので、まずはそのまま食べてほしいが、
真似したソース+辛味噌は、味変にはもってこい。
常ならビールを頼んでしまうが、そうすると、皮がお腹の中で膨らむ。
そうするとツライので、お茶をガブガブが正しい姿。
食べっぷりがよかったのか…、持ち帰り専用で最近復活させたという焼売を
こちらも試してみて、と蒸し立てを出して頂いた。こちらは芥子とソースで。
どこの馬の骨かわからぬ者に親切に接していただくのは、ほんとに有難い。
ジューシーで結構な具合だった。
神戸の中華料理は、居留地の外側にあった在日華僑に向けた南京町市場周辺から広がった。
南京町にはすでに10年前の大正4年「老祥記」が天津包子を翻案した「豚まんじゅう」を売り出していた。
春陽軒初代は、老祥記で豚饅頭と出会い、これを新開地の客層、ベタベタな日本人庶民に向くようにと、
変えて行ったのではないだろうか。
大正14年というと、うちの親爺と同い年だ。 途方もない昔のようだが、まだ生きながらえてる親爺を見ると、
ついこないだという気もしてくる。
昔の新開地を辿るよすがとして、これからも長く続けて行ってもらいたい一軒である。
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