3日目の正午。
お客さんに、売場案内を頼まれ、あちこち探し回って困っている鈴子の様子が目についた。
お客さんは、お客さんで、新入りのエプロン姿の鈴子に
「あら? 新しい人? 頑張ってね!」
と声を掛けたかと思うと、
「あなた、新しい人でしょ? 今まで見かけなかったから。一緒に探してあげようか」
「あ・・・ども。ありがとうございます」
「あった?」
「いいえ・・・なかなか見つかりませんねぇ」
お客様と店員と・・・
二人で別方向へと手分けして探している辺り・・・
どっちが店員だか、分からない~~っ!(爆)
「 あ、あったわよ! ここ!ここ!」
ようやく見つけたのは、お客様の方だったりしてさぁ。
しかし、まぁ・・・
結構、お互い助け合っているようだ。
「ここのお客様は親切ですね~」
と、すず子の感動した様子に上司として俺も嬉しかったりする。
ピース!!
では、次なる仕事を与えよう。
「鈴木さん!」
俺は鈴子がバックへ戻ってきたところを 待ってましたぁ!とばかりに呼び止め、
「今から前出しをしながら、どの商品が何処にあるか、覚えて下さい」
と言った。
まずは、どの部門の どの商品が、どのあたりにあるのか、把握してもらわないと・・・。
分かりました、とバックから売場へ足が向きかけたすず子を
「あ、ちょっと待って!」
と、急いで呼び止めた。
とても大事なことを思い出したのだ。
とても大事なこと! と聞いて、君は恐らく俺がカンガルーの出没頻度について尋ねようとしているのだ!と確信を持ったことだろう。
だが、残念でしたぁ~!
心配には及ばねぇ。
俺はまだ、カンガルーを街中で見かける頻度については問わないつもりだ。
お楽しみは、後にとっておかないと・・・な!
俺は たまたま隣の長台車に乗っていた、コーヒーを掴んだ。
「え~っと・・・・。
例えばですね。
このネスカフェのゴールドブレンドが、何処の棚の上から何列目にあるか?という風に一個一個の商品の位置を覚えるのではなくてですね・・・・・
大体でいいから、おおざっぱに、
コーヒー類は、この列にあって、
椎茸、胡麻などは、この列にあって・・・
という風に店全体をまず、把握してもらえますか?」
まさかとは思うが・・・・・。
俺は昨日だったか、一昨日だったか、
英語表記の商品名が どの棚のどこにあるかを覚えるのに、シドニーのスーパーで約一年を費やした、
と、すず子が俺に語ったことを思い出したのだ。
今度は商品が日本語だから、その点はいいかも~とも。
まさかとは思うが、俺の意図することを勘違いし、いきなり こと細かく覚えようなどという野望を抱いてはいないか ちと心配になったのである。
すず子は、分かりましたぁ~と、去って行ったので、まぁ、いいだろう。
俺はゴールドブレンドを元の位置へ戻した。
前出しは、一時間もすれば、戻ってくれだろう。
次に すず子に与える仕事は・・・っと。
定番の荷出しが終われば、次はエンドだっ。
エンドっ!
俺は、ある商品を長台車いっぱいに積み上げた。
これでいこう・・・・!
続くよ~ 南副店長が歌っていたCMソング、何だったかどうしても思い出せない・・・うーーん。 おしりふきか、おしぼりか何かだったと思うんだけど???
ミナミ