何を隠そう・・・。
鈴木すず子が一人で発注を取り始めたのは、8月初めのお盆前だったのである!!
ちょうど三年前の今の時期に相当する!
なんたる偶然!
今の時期、スーパーはいわゆる 「かきいれどき・・・」
年末とお盆前が一番忙しいのである。
すず子が一人で発注をし、乾物の定番商品が届いた。
通常発注よりは少し多目である。
しかし、この時期はピークなので、売れに売れる。
三年前は今よりもずっと顧客数も多く、強豪店も近くに一店舗程度しかなく、かなり忙しかった。
当然ラーメンも売れに売れた。
補充しても、補充しても、棚からラーメンが売れていくさまを現場で目撃し、うわ~凄いわっ! と、すず子は思ったようだった。
熱心に発注を取っている!
今、たくさん発注を上げても、入荷日はお盆の真っ只中なのだ。
その頃、売場は・・・・。
俺は ひとことアドバイスをしようか迷ったが、まあ、これも一つの勉強だろうとあえて何も言わなかったのだ。
お盆当日には長台車4台分(記憶によれば)のカップラーメンが、で~~~ん!と届いていた。いつもなら、2台分だが・・・これは倍の数だ!
お盆前の売れ方を観ていたすず子は、このくらい売れると見込んだのであろう。
年末に、「副店長!! まだ、29日なのに、欠品しそうな勢いで売れているんですけど・・・! 本当に、通常の1・2倍で良かったんですか?」
と、抗議しそうな勢いで俺の所へすっ飛んできたが・・・。
年明けも同じ調子で売れる! とすず子は思いこんでいるようだった。
あのときを連想させるような最初の出来事である。今、思うと・・・なぁ。
お盆当日。
俺のシフトはお休み。
どういうわけか、こういう究極の場面では、俺は すず子と顔を合わせることなく、対応するのは西村と相場が決まっていたのであった・・・。
ふっふっふっ・・・。
背中で笑う、俺。
「西村チーフ! お盆前に沢山売れていたから、お盆も当然売れるだろうと思って、いっぱい発注しましたが、売れません・・・。どうしよう、こんなに在庫を抱えてしまって・・・・」
優しい西村は言った。
「カップラーメンは常に動く商品だから、いいですよ。大丈夫です!」
しかし、優しい西村も稀に、おや? と思うことを言うものだ。真っ直ぐな性格の俺でも 「ん?」 と思うんだよなーこれがっ!
「もし、来年も鈴木さんが乾物の担当をされていたとしたら、来年 覚えておくといいですから。にこっ」
「・・・・・・・」
(来年・・・もし、担当を・・・? 私はすぐに辞めると思われているのだろうか? それともヘマをしてすぐに担当から外されるとでも・・・??? 来年のことを今言うと、カミナリさんにオヘソを取られちゃうんだよ~ん! ←すず、心のつぶやき・・・)
翌日、ラーメン売場ですず子に会った俺は、「どうですか_?」と声をかけた。
「お盆に売れると思って沢山発注しすぎました」
「お盆はですね~。帰省中の家族と一緒に、レストランで外食するんですよ~。ちょっとリッチにですねぇ~。
カップラーメンじゃなくてですね~」
「ほ~なるほど!!」
すず子は俺を賛美の眼差しで見た。
さすが、南副店長! と言いたげである。
「そして・・・。お盆明けは、商品の動きは、
特にカップラーメンはどうなるんでしたっけ?
分かる人は?
はい、鈴木さん!」
「お盆にピタッと動きが止まったラーメンは、再び動き出します。しかもお盆前と同じく とても良く売れます!」
「正解! では、理由は何ですか? これが自分で分かってこそ、売場担当者です!」
「もっちろ~ん! 経験したので、分かっていま~す! 観察力だけは・・・あるんです、わたくし」
過去に記事にしたから、分かるか・・・。特にこの辺りは・・・。
ここで続くといたしましょ~!