古稀からの手習い 水彩ブログ

人生の第4コーナー、水彩画で楽しみたいと思います

白雪吟時・・・(藤原行成筆 「白氏詩巻」を臨書)

2024-06-10 06:59:36 | 書道
つい先日民放のケーブルテレビで「源氏物語」関連のドラマを何気なく見ていました。
劇中バックの画面に、この白氏詩巻と(勝手に)見えた書道の額がぼんやりと見え、
オオっと思い次の画面に注目してましたら、
明らかに「白氏・・・」と書かれた書物を読んでる画面がアップされていました。
当時の平安貴族の間では、白楽天(白居易)の詩歌が好まれ、
源氏物語にも白氏の長恨歌が引用されているとは聞いていました。
今回あらためて調べて見ましたら、
行成の白氏詩巻は源氏物語より約10年ほど後で成立したとありました。
約1000年前の約10年がどれほどのものかはともかく、
最初に見えたバックの画面の書は白氏詩巻ではなかったかもしれません。
しかしいずれにせよ私の中では、テレビから連想したのはこの行成の白氏詩巻で、
何やら嬉しくなり、早速硯を取り出し今回のこのアップとなった次第です。

覚えていただいている方もおられるかと思いますが、
三蹟の一人 藤原行成の「白氏詩巻」は、拙ブログ
集賢池・・・(2021.3.8付)
八月十五夜・・・(2021.3.15付)
をアップさせていただいており、今回はそれに続くものであります。

線や字の太細の変化、運筆の大胆さと繊細さが絶妙です。
また漢字でありながら転折部は丸めてあり、和様の一つの特徴なのでしょう。
また臨書しながら“オットリ感・ユットリ感”みたいなものを感じました。

白雪吟時鈴閤開
故情新興両徘徊
昔經勤苦照書巻
今助歡娯飄酒盃
楚客難詶郢中曲
呉公兼占洛陽才
銅街金谷春知否
又有詩人作尹來

小杉 卓様のサイト「KOSUGI TAKU」の解釈(意訳)を今回もお借りすれば、
白雪を詠むときに城の門は開き、
古いものと新しいものとに思いを巡らす
かって苦労しながら勉学に励み、
今は愉しく杯を交わしている
音楽・詩文の素晴らしさに敵味方もない
街、庭園に春が来たらすぐにまた詩を詠みに訪れよう

尚、私がこの書の元にしているのは「和様の書」ですが、その中のこの作品の解説には、
作品の1行目、時(詩カ)、閤(閣カ)
5行目、詶(酬カ)
との疑問符(カはカタカナ)の添え書きがありましたので、
詩の原本とおぼしき漢文のものを調べてみましたら、
上の( )の中の漢字が使われていました。
そういえば、同じ「国宝」扱いの高野切第一種にも
元の歌との違いは見られていました。
そもそも、この違いの原因など分かる訳もありませんし、
国宝クラスの作品では、書なら書としての価値こそが命ということなのでしょう。




コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 紫陽花を描きました(教室にて) | トップ | 穏やかなハーバー(展示会出... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (サガミの介)
2024-06-10 07:21:11
作者の書作品を拝見している中、今回の「行成の白氏詩巻」の書体は全体雰囲気が違うと感じます。
書道を極める努力は、様々な字体を練習し国宝級のお手本にも迫れる技術を身に着けていくものなのだと勝手に想像しています。
大河ドラマを見ながら歴史的な文化を感じ取れる識見に敬意を表したいです。
返信する
Unknown (mori)
2024-06-10 07:21:52
相変らずお見事です。
それと感心するのが、テレビ画面を見て、次から次へと探求が進むことです。
私も同じテレビ画面を見ていましたが、達筆だな~そう言えばブログアップしている方もそうだし羨ましいな~と思いはしましたが、そこで終わりです。
勿論持って生まれた才能に差があるのは良く承知していますが、それはそれとして物事に取り組む姿勢と、その中から多くの知識・言わんとする心情を得ている姿に感心すると共に教えられることが多いです。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

書道」カテゴリの最新記事