MOON-月亮心- | |
チェン・ミン | |
EMIミュージック・ジャパン |
そこにあるのは、透明な世界、そして寂寞。それは、この楽器自身が持っている生命力の強さの証しだと思った。
この楽器が音を奏でる空間、それは、音色という言葉が、実際の色を帯びているような感覚だ。
そこには、確かな音楽という生命があるように思える。
それぞれの音色というのは、それぞれ輪郭がぼやけている、というよりも果てが無いといったイメージの中で、
その重層感を持ち、確かな存在の光りを放っている。
それは、歴史の河を流れていく、人々の様々な感情のようにも見える。
この楽器が奏でる、それぞれの寂しさ、鷹揚さ、そして空虚さなどには、人が生きていく中で感じていく感情の根源があるように思えた。
人がこの旋律に触れたなら、そこには確かな生命力を感じることが出来ると思う。
その力が、彼女の謙虚でいて、うっとりするような甘い感性と、しっかりと呼応しているようにも感じました。