不意の口づけ 見果てぬ瞳の奥
潰えた舟の残骸 海底は冷たい熱情
あなたは人知れず 想い 揺れる花のよう
嵩張る記憶の写真が 絶えず溢れ出す涙に
艶やかな肌の色 あなたは優しく吹く風のよう
肌が触れ合う その度に 温もりは霧消していく
裸のままのあなたが 寂しげな瞳を揺らせ
灯火が揺れるように 消えていく その愛に
緩やかな坂道を超えた 夕映えを重ねる
それは静かな死のよう
あなたの肌に滑らせる指
冷たくなった身体は 面影が消える
白い雪が降る夜に 温もりを求めたこの身体が
色褪せた夢の中で 春風と共に揺れている
さり気ない笑み 伸ばした手
言葉をかける 古を廻る 星空に
二つの恒星が 静かに融け合う時
時雨に濡れた あなたの髪は 安らかに揺蕩う
すれ違いの多い 言葉は泡沫に
恥ずかしそうに微笑う あなたは夢現つ
見果てぬ夢の先に
咲き誇る花のように うららかな海鳴り
光る月の陰影が 愛の冷めた頃に
水面に映り込む あなたの顔
小さく沈む舟は 夕暮れの空のように 静かに
微笑む その横顔
あなたはさり気なく 私の手を取り 空を見上げる
儚さに揺れて 愛は宙を舞う枯れ葉のよう
咲いた花のように 朗らかに微笑む
心に空いた穴は 感情の総ての霧消に
虚ろな空に うろ覚えの詩を紡ぐ
乾涸びたノート 朝靄の中に 映る暁
総ては 夢想の中に
夜を駆ける星よ あなたへの想いは
海原に鳴る 汽笛の残響
霧消する言葉は 木漏れ日の中に
すれ違う人の心は 渦を巻く水流の静謐さ
あなたは私の頬を撫で 慰めてくれる
静まり返る 緑道
涼やかな風の流れる 静寂の道
あなたの声は 遠くから流れる 風のよう
海原に陰る 帆掛け舟の陰影
虚ろな夢は 黄昏時の涼しさ
私の頭を撫でる その手の温もりは
悠遠の空に架かる 鰯雲の棚引きのよう
光りの中へ 打ち拉がれた胸
温かい海の底へと 流れて行く
一滴 落ちる時間は 夕暮れの空
握り合った手
寒そうな瞳を震わせて
何かを伝えようとした 眠る夢の中で
疲れた心は 淋しげな瞳に映る
あなたの声色は 流れゆく星空のように
透き通る夢の光景に 薄れ行く
手を伸ばし 微笑みをくれた
夢は まだ静寂の中 あなたの姿を追いかけた
空しさの夜に まだ残る 温かさを探して
微かな息遣い
僅かな光りの視野の中で
気泡が揺れて 輝いている
ここは水の中
夢も現も一つになって揺れている
浮遊するクラゲ
包まれた生命の歌声
光りは乱反射を繰り返す
この孤独の中で 遥かを感じる
眠りは不意に訪れる
小さな命
いずれ終わる事を悟った その眼差し
水の中は 冷たく 静寂を生み出す
光と影 水は揺れ
夢と現の狭間で 愛する眼差し
樹木の囁き さえずる鳥
朝靄の霧消の中で 生きている
僅かばかりのパンを持って
この森の奥に脚を踏み入れれば
見失っていた 愛の鼓動が 息を潜める
孤独という 一つの優しさが
手を繋いだ時の感触に似ている
霧雨の漂う 植物は薫り
葉からは生まれたばかりの 雫が滴る
生命の息吹が 哀切さに包まれる
この森の奥に宿る 命の歌声を
微かに感じる あなたの肌の冷たさに重なる
覚束ない足取りで
歩む道のりは
氷雨の降る 冷たい冬のように
張りつめている
震える木々
遥か先の 霧消した夢
月明かりは 永久の悲壮の証
ゆらり揺られて 繰り返すおぼろ夜
睡蓮の咲く池に 射した光り
あなたの声音のする方へ
伸びる腕は 安らぎを求めた 情愛の欲
誇らしげな あなたの微笑み
雪の幽かな重みのように 眠りに落ちる
落葉の季節 繋いだ手
かじかむ指に絡まる あなたの吐息を
夢で会いましょう
夢の中で 愛は揺れて 咲き誇る
海の音のような 寂しい瞳
あなたの唇に 指をそっと押当てる
何も云わないで 何も壊さないで
夜に輝く星は あなたの淋しげな心のよう
身体を合わせ 心を一つにして
消えて行く 宇宙の未来を 想い描いた
それは 儚く揺れる花のように
命を終えた 恒星の見る夢のように
優しい愛を感じた
消えかけた文字に 滲む絵の具
手に持った筆 描く空には 星の瞬く藍の夢
総てを藍色の空の中で
揺れる灯火のように
消えていく身体は 愛を見失う
激しく時代は流れ
飛沫のように 透明な響きを感じる
身体は冷たく 皮膚は白く沈んでいる
蒼く壮麗な夜空を駆けるほうき星
雲は走馬灯のように 引き千切れ
星空はゆっくりと運行する
まるで時間の寸隙のように
冷たく流れる涙のように