舞う風 弛緩する波の流れ
灯火に揺れる 影は 蝶の羽ばたく螺旋
引き潮に ただ揺れているだけの 記憶の海
桜の花が咲く 赤い振袖は揺れ
闇に浮かぶ 妖艶な その白い手に 重なる花弁
月の声が溢れ
その小さな 呼吸に
艶かしく彩られた 唇
その寂しげな唄は 彩りを添えて やがて散る定め
赤い花は 幻想的に 揺れ 闇に姿を隠す
鏡に映る 琥珀の月影は 水面に流れる 花弁の香り
紅い頬に 滴る涙 重ね合う手
虚ろな 眼差しの滲む 影は 御影の姿
朱に染まり行く 花は 移ろい行く 季節の寂れ