汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

みやすけの詩 冷たい季節に

2009年09月30日 | 初期中期の詩
雨に打たれ
泡沫に消えていく幻を目で追って
心の傷が
まるで不感症に陥った娘のように
朧で素っ気なくて、ただ寂しく
雨粒に打たれては疼いている
気温の変調は、勇まい雄姿を遠くの世界へと旅立たせる

雨に打たれ
身体の密度は無情に離散していき
そして後に残されたのは
永遠の概念に縛られた哀れな霊魂
私は行くのだろう
あなたの華奢な手を取る事なく
柔らかな温もりを見捨てて

雨に打たれ
心が疲弊に流れていく
浅ましい時間の流れを祝う事なく
呪いは浮き沈みの激しい灯籠に照らされて
なす術もなく浮世に流されていく

混沌としたものが私に覆いかぶさり
さり気無い慈しみをあなたの肩に感じる
水滴が何気ない微笑みを包み込み
私は深い眠りに落ちていく

雨に打たれ
哀しみは思い出したかのように反芻する
そして私達は再び出会うのだろう
雨に季節
また、悦びに飢えて
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みやすけの詩 窓辺の憂鬱

2009年09月29日 | 初期中期の詩
湿り切った思い出の中で
鮮やかな苦い記憶の胞子が
空中を艶やかに光を反射して漂い
ダストの光沢が
閉め切った部屋の中で煌めいて
箪笥の上のアルバムのように
忘れ去られた感情が
居場所を失った子供の哀しい瞳に似て
この部屋は輝かしい寂しさに包まれている
今はもう何もない過去の陰影を仄かに映し出す
幾重にも重なった想いが
机に溜まった埃のように
寂しく幻影を映し出し
音もない、温もりも消えうせた
今の世界の中で
鋭敏な刃物だけが輝いている
蝋燭の焔は消えて
光が奪われた部屋
窓際にうずくまるようにして息絶えた虫
蓆に跪き
瞬きの一瞬に光る涙は頬を伝い
沈黙は更なる憂鬱を招き入れる

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蓆→むしろ (竹や、わらなどで編んだ敷き物の事)
跪く→ひざまずく
瞬き→まばたき
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みやすけの詩 紺碧の海

2009年09月28日 | 初期中期の詩
言葉に出来ない気持ちが
霧の中へ溶けていって
不安な僕の幼い心が
沸き立つ苦しみにもがいて
あなたの頼りない存在が
僕には愛おしい程の感涙を浴びさせ
紅の海に堕ちていく
何処とない哀しみの渦に巻き込まれて
咽び、悲しみに歪んだ顔に
あなたは優しく愛撫するようにキスをする

僕は今までより強くなったのかな?

紺碧に染まる海原で
僕は一人、淋しさの糸を紡いでいく
あなたと二人
僕は空々しく
あなたの肩に寄り添ってみる
皮膚感覚で分かる愛の尊

僕はまた一人あなたの存在に溶けていく
銀箔に染められた風は頼りなく
打ち寄せられた淋しさは宙を舞い
あなたは何か、言葉を諳んじる

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尊→みこと
諳んじる→そらんじる
紺碧→紺碧
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みやすけの詩 会場の熱気

2009年09月28日 | 初期中期の詩
揺れる熱気に朽ちていくリズム
人々が快活に叫び声を上げて
怒涛の会場が唸りを上げて振動する
音楽は果てしない快感に溺れさせ
鳴り止まぬビートは
絶え間ない旋律の躍動に震え戦く
アルペシオに打ちひしがれて
乱立する言葉の心地良い混乱に
錯乱した人々の発する叫び
仄暗い底から這い出してきては
上界を物珍しそうに眺めている
小人のように
私はただ立ち尽くしている
千切り取られた写真の顔
雰囲気の飲み込まれる畏怖の感情
全てが混乱に打ち震えていて
私は轟く旋律に
身を預けている
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みやすけの詩 風に揺られて

2009年09月27日 | 初期中期の詩
星空に祈りを込めて
絶え間ない流転の走馬灯に
ひっそりと流れ出る涙
漆黒の空に自身を飛び立たせ
深まる愛の旋律を
奏でるシンフォニーの
色鮮やかな音色に任せて
悠遠に響かせていく命の連鎖に一人
繋がりに咽ぶ感受性に感服し
慟哭の果てに
色鮮やかな虹の幻影がちらついている
限りの無い円熟に
色濃い星空の下で生きていて
安堵の溜息は漏れ出て
瞼に伏せる瞳は憂鬱に
冷酷な自然のリズムは今も
私を包み入れてくれる
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みやすけの詩 秋風に吹かれて

2009年09月26日 | 初期中期の詩
夜の風が吹いていく
冷めやらぬ凌辱の快感に
秋風が優しく裸体を愛撫し
仄かなしじまが
幽かな清涼に煽られて
萎れゆく花の儚き命のように
私の心を淫乱に駆け巡っていく
低落な爽やかさに身を隠して
私達はハニカミながら過ぎ行く旋律を
断ち切れない程、深めあった愛の鼓動を
この胸の中で木霊させ
震えるあなたの眼にそっとキスをする
戦きはたじろぎに見せた一瞬の隙
私は間髪を入れずその白く儚い柔肌を揉みしだく
霹靂の一発のように走る戦慄
開いた口からは、限りない祝福の喘ぎが迸り出る
天にも昇る快楽の怒涛が
この二人の間を限りのない淵へと切り開く
動転した視界に映るのは
退廃した街並みに崩れゆく幻想
私は刻一刻と迫る終焉の恐怖に
ただ震える事しか出来なかった
燃え盛る快楽
廃れゆく私の自我
耄碌と荒んだ私の精神は
まだ冷めやらぬ事を知らない

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耄碌→もうろく
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みやすけの詩 夏の幻

2009年09月25日 | 初期中期の詩
熱気の乱舞
茹だる精神の悄然とした錯覚
軋む温度計に
並々ならぬ灼熱の惨禍
熱した大地から立ち上る
醜悪な酸欠に酔いしれる
流動的な曲線美
生命が劣悪に狂酔し
私の周りで涎を垂らして乱舞し
胡蝶の夢の幻を
灼熱に燃える太陽か淫らに掻き乱した
蒸せる快感に身を捩じらせて
呻き声は天の清らかな場所で木霊し
神は我を忘れて時節に閉じ籠もり
季節の錆びゆく現の幻を
私に劣悪に見せつける

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茹だる→うだる
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みやすけの詩 時間の流れ

2009年09月24日 | 初期中期の詩
凄惨で
嵐の夜に
一人部屋の中で屈みこんで
黙想する
混沌とした湿潤の闇に
私はむやみに閉じ込められて
無残に暴れ回るが
どうにもならなくって
私の脆弱な心で
安楽な未来を見つめたって
砂嵐に塗れた脆い楼閣に佇む
一人の少女のように
涙に暮れて
微笑んだ顔には
哀れな虚像の影が蔓延っている
顔を上げ、宙に漂う不吉な調べを臭う
暗闇に蔓延する哀しみを
流れていく時間の無情さに
私はただ見つめているだけ

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脆弱→ぜいじゃく
脆い→もろい
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みやすけの詩 あなた

2009年09月23日 | 初期中期の詩
光が私を射て
突きぬける快感に身を捩じらせ
快楽の絶頂が身体中に轟き
光に包まれた精魂は
無限の錆びれた連鎖の
鎖に繋がれる
私は悦楽の海で溺れている
あなたの肌に触れ
あなたの皮膚の温度を感じ
あなたにひれ伏して
何処までも突き抜ける喜びを
何処までも果てぬ哀しみを
あなたの面影に感じている
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みやすけの詩 秋の空

2009年09月22日 | 初期中期の詩
季節変わりて
秋の夜長
散りゆく花弁に赴く死の香り
その香りに咲き誇る
孤独の桜花は
美しき季節の彩りに散っていく
畦道に通りゆく
風が運んだ憂愁は
空の垣根の途方に暮れた
あなたの顔を思い起こさせる
時の憂いを
心の奥底まで染み渡らせ
寂寞が秋の懊悩の惨禍のように
私の心の淵を彷徨っている
草原に漂う精霊の戯れ
枯れ草の匂い立ち塞ぐ
霧雨の向こうに
死の陰影に怯えた
私自身の姿が映っている

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桜花→おうか
畦道→あぜみち
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