見果てぬ愛に 星は揺れ 眠りに誘う
微睡む夢 浅瀬の海 総ては静かに 消えていくのに
虚ろな星の声が この宇宙に谺していく
いつまでも 夢は夢のままで
行き交いの中で感じる 不意の寂しさに
胸は溜め息を吐き 空を見上げる
宇宙の静寂に 聴こえる 愛の言葉を 感じる為に
この空には 言いようの無い 孤独がある
水は穏やかに流れ 汽水に交わる
まるで この生命のように 燃える愛を 胸に秘めて
月明かりは 果てしない夢に誘う
今宵の寂しさを 胸に射す 月明かりに託す
歓びを知った 命は 虚しさを秘めた 暁の光り
寂しげな瞳が あなたの唇に映るとき
虚しさを知った星空は 悠遠を目指す 宇宙に溶けていく
交わす唇 灯火の揺れる 川の瀬
前髪の隙間から 流れる涙
光る星が 命を終えて 宇宙に還るとき
静寂に包まれた世界は より美しく見える
虚ろな瞳の 小さな孤独
静かに横たわるあなたの身体に 熱く接吻しながら
涙が溢れ 月が霞む記憶は 蘇る
まだ熱い目頭には 愛を想う故の 寂しさが募る
落ちかけの果実 割れた夜空には 星が囁き
小さく呼吸している まるで赤ん坊のように
寒空に走る星 祈りの言葉は いつでも零落する
短い命が 遥か先を目指すように
想いは交差し この生命は 果てしない宇宙に消えていく
涙 流れる生命のように
宙を舞う葉は 海原の彼方へと消えていく
優しさばかり求めて あなたを愛していたのか
本当に伝えたかった 淋しげな その瞳
夢は 潰えた船底に 小さな気泡を立てる
夜は思い通りにならない
哀しみは溢れ 傷をまた一つ作る
深い闇に揺れる 星のように 小さな意味を
あなたの心を見つけ出す事が
こんなにも 悲しい事だなんて
愛はうろ覚えのまま 星を残して 夜明けを迎える
この手に滲む 涙の訳を 知らせないままに
静かに横になると
瞼の裏には 傷ついた あなたの残像が揺れる
口ずさむ この夜の 淋しさを
胸に沁みる この愛を想うが故の 切なさを
愛を知って 愛を求めた
あなたは何処へ 夢はまだ醒めきらないままに
朝を迎えた この空に 明星の輝きが
無数の粒子が 訳も無く呟く
命を終えた その時に
満天の星空は 心地の良い夢に変わる
静寂を感じる 透明な生命が 耳元で囁くように
いつも怯えていた この惑星は 廻り
星は 永遠に揺れ 松明の焔は舞い上がる
無名なる存在を あなたの瞳の中で 見た時
星の光りは 瞬き
世界が何処までも 開いていくような気がした
揺れる花のように 儚い命は 永遠を目指す
まるで故郷を見る瞳のように
細い指から零れ落ちる 砂を見る その瞳に
何処までも深い 夢心地
刹那に咲く生命は 愛を欲する その手に変わる
窓には湿り気の霞が張り付いていた。空には鳥が、羽ばたきながら雨の雫に、微睡んでいる。憂鬱な空。形を失ってしまった蒼穹。あなたは眠ったまま、私の手を離さないでいる。
遠い空には、遥かを目指す、鳥の群れが羽ばたいている。私は、あなたの唇を奪う。あなたはよがり、私に懇願する。再び甘美な夢に浸るために。あなたは何処までも貪欲であった。私は、あなたの唇を奪い、そして包容する。
「愛してる」愛ははち切れそうな、豊潤さをそなえ、そして甘く湿潤していく。あなたは私の虜になって、何処までも深みにはまる。私は、あなたを抱きしめ、愛を囁く。
「何処までもいきたいんだ」
「そう」
私を見つめる瞳。底の見えない芳醇の漂う暗闇。あなたは、そこで私の身体を貪り、そして愛を確かめる。私は、あなたの唇に、唇を重ね、悦楽を感じた。
「深く…、もっと深く…」
崩れた塔の、瓦礫をよじ上り、人の残骸を、押し退けてひたすらに進む。ここは何処だろう。あなたは感じていた。私の恥部に滲む湿潤は、果ての無い闇だということを。瓦礫は、大小の肉片のように、蠢いていた。あなたは、小さく嗤って、私を見つめる。何処までも、見えない闇の中を、突き進む。愛は、凋落し、苦しみと、絶望に変わり、愛欲を滲ませる。まるで血液のように、たぎる想いと同時に。
あなたの口の周りには、私の舐めた舌の跡が残っている。私は、微笑みながら、あなたの潜める眉に、私の血を塗り拡げた。あなたは、愉悦に顔を遊ばせ、私に口づけを迫ろうとした。それでも、無くなりはしない、絶望の孤独をいやすには、足りなかった。私は、あなたの心を蹂躙する者。あなたは魅惑に染まる唇を、私の舌に挟んで弄んだ。私は、興奮して、あなたの乱れる髪を、救い上げて、揉んだ。
「何処までもいこう。宇宙の果てまで」
「何処までいっても、自分からは逃げられない」
「いじわる」
舌を這わせ、遊ぶ愉しみを味わう。あなたは、憂鬱そうに、顔をしかめ、確かめるように、私の恥部に、指を這わせた。
MOON-月亮心- | |
チェン・ミン | |
EMIミュージック・ジャパン |
そこにあるのは、透明な世界、そして寂寞。それは、この楽器自身が持っている生命力の強さの証しだと思った。
この楽器が音を奏でる空間、それは、音色という言葉が、実際の色を帯びているような感覚だ。
そこには、確かな音楽という生命があるように思える。
それぞれの音色というのは、それぞれ輪郭がぼやけている、というよりも果てが無いといったイメージの中で、
その重層感を持ち、確かな存在の光りを放っている。
それは、歴史の河を流れていく、人々の様々な感情のようにも見える。
この楽器が奏でる、それぞれの寂しさ、鷹揚さ、そして空虚さなどには、人が生きていく中で感じていく感情の根源があるように思えた。
人がこの旋律に触れたなら、そこには確かな生命力を感じることが出来ると思う。
その力が、彼女の謙虚でいて、うっとりするような甘い感性と、しっかりと呼応しているようにも感じました。
水の音 深く眠るように 流れる
真夜中の静けさ 浮沈を繰り返す 朧夜の夏
何処までも 深く 何処までも 祈りを
静寂に包まれた 眠りの中で
月明かりは煌煌と 流れるように 静かに
眠りは 悠遠 浮沈を繰り返す 月のように
気泡の揺れる 未知なる場所で 生きる意味を問う
触れ合う肌 白い首飾り ただ意味を求めて