汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

花の弔い

2014年10月04日 | 妖艶の詩

重なり合う手の 冷ややかな感触

触れ合う柔肌の 優しさに惑う瞳は 群青の揺蕩い

抱き締め 感情を探るように 見つめて

拡がる静寂の余波に 身体を任せたまま 湖底へと沈む 

それは 吹き込む 生命の息吹きを 馳せた 旋律

 

恥じるように 顔を覆う 花は

この世に 咲き誇ろうとする 寵愛の徴

 

動揺する身体 不規則な心を描く 接吻の跡

愛撫の最中 その胡乱に融ける 眼差しは 

昏迷の意識に 揺れ 夢と静寂の境を見失う

 

溢れる声 瞳は逸らさないまま 身体を包み込み 

寂しさから 護るように その優しい手で 涙を拭う

やがて 時は凪がれ

湧き出す 水流から薫る 冷たい憂鬱に 想いは沈み

瞳を強ばらせ 離れないように 手を強く握り締めた

 

交わし合う言葉と共に 深く堕ち 

意識は 波のように 揺れる

陶酔した 表情に 薔薇の花弁は 降り掛かる 

鮮やかに薫る 死の瞬間 

咲き誇る 花々の艶美なる 弔いの中で

小さく震える瞳は あなたの唇を求めた

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薔薇の死相

2014年10月02日 | 妖艶の詩

冷ややかな風に吹かれ 塞ぎ込む

静寂のなよやかな心地を 肌に透かして

沁み込む寒さを 感じる

 

反響する硝子 やがて崩れ落ちる 瞬間

映し出す この表情が 醜く歪む

 

引き裂かれた肉体の 生温い残熱が揺れて

あなたの唇が 誘惑の色に 染まる

淡い色情 微笑みが滲む せせらぐ時間の 悦びの瞬間に

散り行く薔薇の 鮮やかな死相を 彩る 

流されて行く 一切の言葉をも 呑み込む 欲望の華

 

その穢れた 愛故に やがて見失う

見境の無い欲求に まるで応えるように 唇を開いた

瑞々しく 腐食して行く 紅い果実

甘い別れを惜しむように

握り締められた 手は離さないまま 

瞳を伏せ 忘れ去られた 過去を 辿る指先

 

身体の稜線に沿って 眺める

動かないあなたは 静寂の彼方で 思惑の裡を廻り

繰り返される 罪を この身体に刻み付けた 

赤い約束に 翻弄され 何処までも 朽ちて行く

枯れた生命の 冷たく閉ざされた 過去を抱き締めて

胡乱に沈む瞳の 冷たく 底の無い海に 心は動乱したままで

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