振り向き際に さよならと云った
淋しげな瞳 雲間から差す 光のように
美しく見えた 遠浅を眺めるような 儚い景色
あなたの背中に 手を振って応えた
さよならの意味を 模索して
侘しさだけが こみ上げて さり気無く手を振りかえした
まるで小さな命が 大きな生命に抱き締められような
温かさを感じて 涙が溢れた
あなたの背中 温かだった海のような 静けさの中
粉雪は みぞれに変わり 髪を湿らせた
移り変わる景色の ほんの小さな残響
寄せては返し 再び戻っては来ない 時間を想う
風に揺れる 小さな花は 夢に咲く奇跡
熱くなる眼頭に ふいに差す光 何かが変わった
きつく抱擁し合った あの頃には戻らない
満開の花の 一瞬の切なさには
幾重もの悲しみが 埋まり 泣いている
あなたの誇らしさが 美しく見えた
背中に残る影を映して
物悲しい 風の響き