悠久の都の幽かな微動を感じ取り
あけすけに遠のいて行く木霊は
その重い足取りに戸惑っている旅人に
一抹の不安の感情を起させる
屈辱の情緒が、更なる不幸の連続へと
道楽者を導いて行くのだろう
錆び付いた鉄棒に映える影の黒さは
その粗暴な現実に色濃い絶望の犇きを反映している
少女の眼に映る狂々としたあらゆる
感情は、その刃を喉元に押し当てるように
尖鋭な痛みが全身を駆け巡って行く
湿潤した時計の針を見つめては
過ぎ行く憤怒の感情の行き着く先に
あなたが帰るのを、老婆はひたすら待っている
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犇めき→ひしめき