泣きながら 夜を待っていた
独りぼっちの闇の中で 待っていた静けさを
何処までも深い眠りは 徒の心に
不思議な気持ち あなたの居ない夜には
輝く星の 壮麗な静けさが 息を潜めている
どれだけ愛しても 交わらない 僅かな隙間に
寒さの風が吹き込んでくる
擦れ違いの涙は 遠浅の海原に消えて行く
裸足のままの 無機質な感触の 荒い時間を歩んで行く
弾け飛ぶ 水滴に光る 素直な心を
胸の中でわだかまり続ける 愛し合う意味の
記号と感情の 涙の訳を
涙は流れ 腕の傷を癒す
甘い言葉を掛けられた この瞳は虚ろに
愛を奪い合う
契りを結んで 赤い実を落とした
その甘みに 身体は愛を求め
あなたの口元に 淡い悔恨を映す
瞳を閉じながら あなたの肌に伝う涙を舐める
今にも張り裂けそうな身体が その潤いを求めるように
涙は流れ この愛おしき想いの混じる 接吻を施す
夢幻に 交わる生命は やがて安らぎの場所へと向かう
差し出す手 この無量の空に 想いは果てる
眠りから目覚めた 深い覚醒へ 一輪の花
降り出した雨に 身体は濡れ
落ちて行く涙の冷たさを 感じている
裸足で駆けた砂浜 藍色の地表には
僅かな灯火が揺れる 不可思議はすぐそこに
彩られた花が揺れる 相思の涙が溢れ
あの地平線に 来光が差し込み出す
不意な出来事だった 艶やかな花は ふと
この両手で眠るように 息を引き取った
枯れた花は 星屑のように 光りを失う
見果てぬ空には 大輪の花が 息を潜める
遠い夢を想うように 枯れた花が 一つの星に変わる
美しい夜明けは そこまで来ているのに
光りは薄明の空 夜の沈黙にうずくまる
混迷に咲く 果てない夢を 噓の別れを
あなたとの最期の離別 さざ波の揺れる夜に
想いは通り過ぎた人影に浚われ
息を潜めた この地表に咲く 花のように
いつまでも 不安に包まれたままで
不遜な闇が連なるだけの世界の中で
あなたを捜した 見えないままの
この花の美しさのように 限りない愛に湧く
この地球の孤独のように
揺れる 花は逢い引きの負い目
僅かな言葉を交わし 闇に塗れる
燃える 花は枯れ行く あなたの面影
やがて見えなくなって 透明な空に 星を灯す
この夜は 穏やかな夢に
始まりと終りの間で 愛は揺れる
二人の涙は 夜空に馳せる 星のように
見えていた筈なのに 触れられない
消えて行く星の明かりは 仄暗い朝靄の陰に
揺れて 枯れて行く 始まりはいつもそう
結んだ手の温もりが 寂しげな瞳を映す
髪は揺れ 繋がった心と心が 幼気な笑みに過る
月明かりはさめざめと 凪いだ夜空の冷たさに
いつまでも夢の中で 続く愛の旋律を聴いている
微睡む赤い月 見渡す限りの星々
壮麗さの 見果てた海原を照らす
静寂は混沌とし 灯火は消える
交わる手が 愛おしさを欲して 震える
この夜空に 果てしない 幻想と共に
躁鬱に揺れる 花は情愛を醸し
薄れ行く意識の波に ただ揺れてるだけ
さり気ない その微笑みに 血の匂いが漂う
寂しさを感じ 切なさに馳せた
この世界は何処までも 愛に満ちる