汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

眠りに就くまでは

2017年03月25日 | 奇想の詩
さざめきの聴こえる 波打ち際で
寄せては返し 星の煌めく夜に あの聲が響いている

滑らかな素肌に 映る仕草
甘い香りのする髪に 振り撒く 砂の結晶
その輝く瞳が 夜風を寂しい色に染める

流れる水脈の奥深くに 吸い込まれるような
深い眠りへと 融けて行く

ねぇ... 此処は何処?

波間に打ち上がる 萎びた樹木
そっと触れても 静かに壊れてしまう
ぼろぼろと零れ落ちる 破片
それはあの頃の記憶のような 儚さを描く

眠りに就くまで 一緒に居て
触れては 脆くも崩れてしまうもの
記憶の片隅に沈殿する 想い出
さざ波に揺れて ただ ゆらゆらと浮いているから

甘い香りの髪に 仄かな夢の気配がした
眠りに就くまでは ずっと一緒に居て お願いだから...
けれど触れても すぐに崩れてしまう

ねぇ... 此処は何処?

記憶の片隅に降り積もる もの
ぼろぼろと零れては 崩れ去る 枯れた樹木のように
この眼に映る景色も 何もかもが いずれ......

眠りに就くまでは 一緒に居て
滑らかな素肌に 伝う 夜風 寄せては返す波

此処は何処? ねぇ どうして...

甘く香る髪が 夜風に揺れて
まるで夢の気配のように 沈黙している
ねぇ... 一緒に居て?
この瞳が やがて深い眠りに就くまでは
ずっと... このまま......
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赤く灯る海

2017年03月23日 | 悲哀の詩
何も無い この道の奥には
忍び寄る 気配に心怯え 鬱ぎ込んだ 人影がある

侵食されて行く 身体の稜線が恐怖に震えて
皆 ばらばらに裂けてしまった
此処は何処? 塞がれた眼に 滴る甘い声音

何処までも果の無い 煌々と輝く海原
覆い被さる波に呑まれ 潰えて行く

どうして? 涙が止まらない
流されて やがてこの肉体をも 引き裂かれて
赤く灯る海面に 月光の優しい眼差しが 写る

何処までも果の無い道
闇に煌々と揺れる海原は 甘くその聲を燈す
やがて見失う 意識が変性して
艶かしく躍り出す海原 さざ波が揚々と弾けて
引き裂かれていく肉体

どうして? 涙が溢れ出してくる
引き千切れ ばらばらになり 生き絶えた
赤く燈る海原に 浮く 無数の肉片
喪った声を求めて 彷徨う
行く宛ても無いまま 海底に沈殿して行くように

やがて見失い 変性した意識が 踊り出す
引き裂かれた肉体 それは鮮やかなる死の臭い
血に赤く染まった海原に纏う
漆黒の蒼穹には 星が雄大に煌めいている

どうして?
誰も居なくなったこの地で 泣いている
行く当ても無いままに 沈殿して行く命は
引き裂かれ ばらばらになって 跡形も無くなったのに

どうして?
忍び寄る気配に怯え 心が鬱ぎ込んでしまうのは

どうして?
もう 誰も居なくなってしまった この地で
忍び寄るあの気配に怯えて 心を閉ざしてしまうのは

「ねえ どうして?」

あの瞬間
波に拐われ 肉体の何もかもが 引き裂かれ
ばらばらになって 赤く海原を染めて
皆 跡形も亡くなってしまったのに

もはや誰も居ない この地上で
心を閉ざしてしまうのは

「ねえ、どうして?」

こっちにおいでよ
このままじゃ さみしいから...
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凍てついた夜に

2017年03月22日 | 妖艶の詩
凍てついた夜に 聴こえる 可憐な花の咲く聲が
闇に滲む 胡乱な唇を滴らせて 見つめられる

その指に触れられ 湿潤した身に 沁みる
深い海に沈むような 漆黒の瞳に 映る死の気配を

もっと この手に触れて そして握って
味気ない接吻に まだこの身体は満たされないまま
もっとその肉体の内奥へと 融けてしまいたい
だからもっと その指で この首を締め付けて欲しい

この心が張り裂けるまで 逝かないで
身体を流れる 赤く澱んだ徴 その唇で塞いで欲しい
いつしか感情が乱れて 悶えて 恐さも忘れて
もう何も 感じられなくなるくらいに

凍てついた夜に 聴こえる
まだ逝かないで欲しいと 震える瞳の聲が

心張り裂けるまで この肉体を掻き回して
ねえ もっと感じていたい 生きてる心地さえも忘れて
深く呑み込まれていたい だからもっと接吻して
赤く瑞々しい肉体の内奥に 蕩けてしまいたいから

愛らしく微笑む瞳に 囚われたまま
深く縛られた心 その蠱惑な瞳が 欲している
もっと感じていたい 生きている証さえも棄てて
もっと甘く呑み込まれて 逝ってしまいたいから

もう二度 生きてる心地を感じないくらいに
きつく縛られていたい
そして深く傷ついたこの身体を
その甘い唇で 優しく塞いで欲しい
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