汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

降り止まぬ空

2017年01月28日 | 奇想の詩
吹き抜ける 風に手を当てる
仄かに香る 花の鼓動
触れれば消えてしまう
花の文様に掛けた 想い

あなたの背中に 掛けた唐傘
見果てぬ空へ 滴る花弁は 微かに鼓動して 震えている
雨露に写る 無数の影 花の色彩に 揺れて
この掌に交差する 感情の色に惑う

あなたの背中に 掛けた唐傘
降り止まぬ空 仄かに薫る 花の胎動
咲き誇る瞬間を 待って あなたを呼ぶ
止まる時間 かすむ表情に 濡れた髪が冷たく 揺れて
この心誘う 紅い唇を象る

小さく頷いて 再び歩き出す
降り止まぬ空は 心拍を乱す鏡
この掌に滲む 感情をもてあそぶ
あなたは行く 雨脚の早る 空と共に




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また廻り逢える季節まで

2017年01月27日 | 奇想の詩
せせらぐ季節の風
花の目醒める頃 未明の空に 咲き誇る

夢現な静寂が 冷たく波及して 震える花弁
朝露に煌めき 花の命 鼓動を打つ 闇に灯る 旋律よ

闇を照らす 未明の空は 静寂を彩る
夜闇を染める花の繚乱 泡沫の波紋が 奏する命を湛えて
やがて 言の葉を生み出すのだろう

この耳に聞こえる 風の囁き
舞い上がれ 花弁の散る 無明の瞳が 欲している
この胸に色めく 季節の聲よ

夢現の最中に 聴こえた 在りし日の面影
朝露に震える 百花の影移ろう 絢爛の風が染み渡る

鼓動を打つ 確かな音
季節を廻り 一時の離別の後に 遺した言葉

「さよなら」

やがてあの聲も この掌に帰り着くのだろう
いつか時間の果てた その先で 待っているから

「さよなら」

もうこれ以上は この掌の温もりさえも 悲しいから
永遠にさよなら
在りし日の面影 聴こえた 愛しき季節の聲よ
もうそれ以上 その優しい瞳で見つめないで
季節は廻り 訪れし離別の時に 流した涙

「さよなら」
「さよなら...」

この耳に聴こえる 風の囁き
舞い上がる この花々も きっと散り散りになるのだろう
百花繚乱の夜明けは 朝露の明かりに震えている
ふと見上げた空 紺碧の闇に染まる

もうあの聲は聴こえない
永遠の離別 季節は廻り 枯れては咲き誇る 花々の影
あの聲は きっと この掌に帰り着くのだろう
この耳に聴こえた 季節の囁き
散った花々はきっと この掌に返り咲くのだろう

その時までは 永遠に
また廻り逢える季節まで
「さよなら」
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知られない居場所

2017年01月26日 | 奇想の詩
遠く声の響く砂浜に 彷徨う
打ち寄せる白い波が 音を立てて崩れる
揺らめく海 穏やかに心を掠める風

見上げれば あそこは 最果てを映す宇宙

安らぎは遥か ぼやけたあなたの表情が 海を移ろう
薄明の風は 風花を散らし この宙を優しく染めるだろう

海風の揺蕩う 悠久の路を見失わないように
ここから更に遠く この手を導いておくれ

揺れている 時間の刻む音が あの景色に溶け込んで
あなたの表情が 分からなくなる
判別するあらゆる隙間に
感情が滲み 跡形も無く 消してしまうから

もうすでに この手には何も残っては居ない
沈んで行く 舟にはもう 届かない光
再び包んでおくれ その優しい手で もう一度
きっと この波の行く先で あの声に出逢えるから

波に掻き消えた 文字
失った記憶を 手繰るように 来た道を引き返す
穏やかな空 波は寄せては返し 永久を唄う

ここまでおいで
振り乱した髪は 心に架かる螺旋模様

見果てぬ宇宙は 永遠を行く

あなたの心に 呑み込まれて
この海の奥深くに 沈んで行く

あなたはもうすでに居ない
拡がる紺碧の宙に
誰にも知られない 居場所を
見つけたの

だからもうさよなら
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