風に乗り 何処と無く 現れた
言葉が滴り 風穴の吹き抜ける あぜ道に
不穏な寂しさが 過る
声に成らない ありのままの姿で 待っている
此処はあなたの知らない 深い水の底
吹き出す泡の 幽遠なる孤独
それは意識の深淵に 流れる 鮮やかな花の芽吹き
何処までも 深く 沈む 枯れる事の無い 記憶の源
温もりを感じ 呼吸している
傷を抱えたままの あどけない 微笑みを浮かべた あなた
手から零れ落ちる 想い
紡いでは解ける 言葉の綾に 重なり合う 感情
息吹を始めた 花 開いた唇は 光の誘う場所へ 向かう
風にこの命を乗せて 飛来する運命の風下へ
融けた 心 不意に 瞳を逸らした
静けさの まだ冷たい 海の中で 射す光に眩み
身体を抱き締め 時間の流れる 最初の口づけを
胸に谺する 鼓動を聴きながら
涙は枯れる事無く 溢れ この海を困惑させる
失くした 生命が還る場所へ
羅列する言葉の 届かない想い
もう あなたは 何処にも存在しない