汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

漆黒の海原

2016年03月23日 | 奇想の詩
繰り返すさざ波に 心が砕かれてしまう
この身体を覆う稜線をなぞり その指に海辺の砂が絡まる

果てない流れの中で 愛する意味を探す
この場所には何時しか 花が咲く事も無くなってしまった
そびえ立つ海原が 轟々と呻く時化に狂い
その暗闇に流されて行く あなたへの唄は 今に愛を見失う

いずれこの瞳も 奈落の果てへと 消えて行く定めにある
轟々と白く荒れる海原に 果ててしまった あなたの眼差しは
その終焉の淵から もう二度と帰る事も無い 永久の宇宙を見上げた

茫漠と煌めく雄大な星雲の流れが あの昊に優しき清風を映す

無数に絡まり 幾重にももつれた感情
その虚しき根本を成す 膨大な数の時刻が
漆黒の夢に惑う海原の時化に呑み込まれて行く

この瞳の灯りが褪せる その瞬間まで
かじかむ指に絡まる海辺の砂は 何を灯すのか
宛ても無く彷徨う風が 海原に孤独の訳を探している

それは遠く流れて行く 雄大な宇宙が導いてくれる
拠り所の失った海原の時化が 行き場も無く荒れ狂って
その淵から際限も無く溢れ出す 暴風雨に呑み込まれ行く
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幽かに揺れる花々の香り

2016年03月22日 | 愛の詩
幽かに揺れる 花々の甘い香り
世界の空白を埋める この指の寂しさは
鮮やかな微笑に包まれてしまう

苦しみを湛えたその眼差しを どうか隠さないで
風に舞った 赤い花びら
その優しき姿が 重く火照った唇に重なる瞬間
この世は瑞々しく 甘い涙に 絆されて行くから

心の隅々にまで絡まった糸が 身体の自由をきつく奪う
その深い新緑の季節を見つめる瞳

まだ この温もりから醒めたくはない
だからねえ 離さないでいて

消えかけた花々の輝きに 何処までも自惚れて居たいから
星の輝く夜空に 抱き締めて欲しい
その指の奏でる 曖昧な心地も いずれ終わってしまわないように
この冷たい手を握ったままで居て

色褪せて行く景色の渦中で 小さく泣いていた
過ぎ去ってしまう時間の刹那に この身が消えて行くのが恐くて
流れて行く花びらの群れを ただ目で追っていた
時の果てに散って行く 小さな花々の影
それは甘く切ない香りに包まれながら 命果ててしまう

その冷たい指で そっと触れて欲しい
流れる星が この世界の空白を 優しい色彩に染めてくれるから
冷たく沈んで行く その身体を抱き締めた
それでもいずれ その手が離れて行くのを ただこの眼が見ている
命散り行く花びらの群れを背に
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血の臭いが充溢する月夜に

2016年03月22日 | 奇想の詩
今にも消えそうな街が 紅い炎に包まれて
蒼い月の輝く夜に沈んで行く 此処は明海への夢の淵

欠けて行く月 その影が延びて 焼け落ちる街を照らす
燃え盛る人々の身体が飛散して
蒼い月の輪郭を撹拌させる

朽ち果てた樹々が風に靡き まるで嗤うように揺れている
血の臭いが充溢する月夜

此処は明海への夢の淵
辺りを浮遊する琥珀の火の粉が 息絶えた眼差しにそっと降り掛かる
燃え盛る身体は 跳ねるように熱く踊り
まるで死んでいるかにように 眠りに着く

何もかもが流れてしまう
欠けて行く月が その嗤いを隠してしまうから
誰にも気付かれず 息絶えてしまう
消えそうな街が 紅い炎に包まれて
蒼い月の輝く夜に沈んで行く

さあ 何処までも一緒に朽ちて行こう
彼処は明海へと続く夢の扉
血の臭いが充溢する街が 紅い炎に包まれて
人々の身体を燃やし尽くしてしまうから

だからねえ 何処までもずっと堕ちて行こう
明海への夢の扉が 今 拓かれるから
蒼い月が欠けて行く
血の臭いが充溢する月夜に

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あなたを見つめる瞳

2016年03月04日 | 奇想の詩
滑り落ちる言葉が 音も無く消えて行く
振り向き様に そっと微笑んでいた あなた
身体の線が限り無く細い 薄明の眼が泣いている
その肌は鮮やかなる色彩に染まり
流れる涙の線が月の陰影を映している

脆く儚気な腕を伸ばし 抱き締める
此処から更に沈んで より深い安らぎの海へと
何処までも行こう
手を繋ぎ 握り締めた
拡がる漆黒の海原に 冷たき瞳は 揺れている
廻り巡る永久の途に 唇は重なり 時間を塞ぎ込む
未明の蒼空が あなたの身体を包み込む時
重なり合う唇から
光に満ちた感情が弾け飛ぶ

鮮やかなる色彩に染まる瞳
総てを包み入れる海原は
あなたが散って行った日の事を忘れない
弾け飛ぶ言葉の粒が 艶やかに降り注いで
何処までも深い この海を温かく染める


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