汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

夕闇を知らせる刻に

2015年10月18日 | 奇想の詩
叫ぶ声が滲む 夕闇の刻を知らせる微風
燃える焔にたかる無数の蝶
それは煌びやかに舞う幻想の絵画
その周囲を人々の影が踊る
誘惑の熱情に心が揺れて 火の粉は飛び散る
その渦中を蝶が可憐に舞い
やがて熱を欲した 夕闇の刻が迫り来る

焔に焼かれ 爆ぜる蝶
美しきその舞いに 踊る人々の影が 妖しく盛る
噴き出す熱風が 闇を赤く染めて
匂い立つ焔に 人々の叫ぶ声が 硬く脈拍を打つ

茹だる肌の輝き その憂鬱なる蝶が舞う 焔の中で
人々の影は踊り 叫び声を上げている
それは底無しの魅惑
その瞳に取り憑かれた姿を 襲う 燃える蝶の群れ

人々の汗が匂い立つ この眼が眩む程に
盛る焔に映る影は踊り それは激しく揺れる
その渦中を 蝶の群れは 可憐に羽ばたき
やがて灰となって落ちて行く

夕闇の刻を知らせる微風がそよぐ
その冷たくなって行く 時間の最中に
人々の影は 尚も踊りながら
その姿は この刻の彼方に消えて行く

そしてすべてが燃え尽きた跡に
灰となった蝶は この風に消えて
やがて夕闇の刻を 知らせる
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アラベスクの躍り

2015年10月16日 | 妖艶の詩
降りしきる雨に その白い肌は打たれて
困惑する表情のあなたは
乱れる意識の細部に宿る 生命の傷跡を辿った

雨脚が速り 鬱蒼とする雑音が何処までも増長される
その最中に 痛みが閃光のように走り
全身の隅々にまで 硬く鼓動が満ちる

冷たい雨音に乱されて 光の混濁が蔓延する意識
やがてあなたの瞳に七色の夢が咲く瞬間
その艶やかなる華に呑まれるまでは
この手を離さないでいて

降りしきる雨の中で 身体を丸めるあなた
その虚ろな眼が 冷たくなった手を見つめる

咲き乱れた夢に 身体が埋もれて行く
全身に走る痛みに やがて狂い咲いた 生命の傷跡は
今 愛に飢えた その赤い唇を開く

入り乱れる色彩 細微の輝き
胎内で繁殖して行く身体が アラベスクな迷彩色に躍る
やがて咲き乱れる生命の息吹が 瞬く一瞬
その茹だるような夢が あなたの眼を蝕んで
やがて産まれ来る小さな身体が無数の花に 覆い尽くされる

それでも咲き誇るあなたの身体が
何処までも乱れて行く夢を求めて止まない
妖艶に開かれたあの傷跡が
あらゆる生命を生み出すから
あなたは いつまでもこの夢の中で生きられる

流れる雨水 それは美しく剥がれた表情に 降りしきる
乱れて行く意識は この赤い傷跡を執拗に弄り
その蕩けるような微笑みが 妖しく歪んで行くのに
やがて雨脚の速さに あなたは怯えて
未分なるこの景色は 全て灰色に染って行く

微細な彩光の中を躍るアラベスク
それはどこまでも終わりの無い 夢の華
そして永く降りしきる冷たい雨に
その総ての雑音が降り止むまでは
あなたを離しはしないから
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薔薇の血

2015年10月11日 | 妖艶の詩
仄暗いこの場所で 見つけたよ
両手に赤い薔薇を握り締めて 立ち尽くしてるあなたを
さあ今すぐに 始めようか
その涙を拭いてあげるから ねぇ 顔を上げてよ

この身体を縛るものは何だろう
食い込む度に あなたは冷や汗をかいて 苦しむ
ねぇ 何が欲しいの?
愛をねだる瞳は訴えかける
非情にも引き裂かれる 花弁から滴る血を飲み干す
あなたが憎いと

仄暗いこの場所で 見つけたものは
身体を縛られたあなただった
物言えぬその姿に 群がる魔の手
無数の枯れた薔薇できつく塞がれた口
それでも あなたの瞳は 愛をねだる

棘が身体に食い込む程に もがれて行く花弁
そこから滴る赤い血を飲ませてあげるから
ねぇ ずっと傍に居てよ
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眠ったままのあなた

2015年10月11日 | 奇想の詩
その果てには 一体何が視えるのか
月の輪郭 そこを辿る涙が 海原の闇へと 消えて行く
ここから観る眺めは 何処までも深い
走り回るさざ波 ほら夢が滲むよ
この何処までも深い闇は
何時でも あなたを待っているから

不思議だね 水面にただ揺れている
この身体の奥にまで 染み込んでくる
虚しい想いは 海水と冷たく混ざり合い 溶けて行く
海の漆黒と反響する鼓動
それは月の運行に沿って やがて沈む定め
全てを呑み込む 海原の夢
それは 今弾けて
迫り来る暁の光りと共に 終わってしまう

眠ったままのあなたは 風に吹かれて
何処までも広い この海原に取り残されている
輝く明星 細く欠けた月の輪郭が
夜空を紺碧に染めて行く
あの果てには 一体何があるのだろう
底知れぬ 海の暗黒に 墜ちて行く
何処までも広い この世界で

何時かは それに触れられるだろうか
視えない海の底を流れる わだかまりに
風に吹かれ 眠ったままのあなたが
海辺に散らばる 貝殻の足音で 目を醒ますまで
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