汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

2011年06月13日 | 散文詩
太陽は壊れた。懐かしい情緒は、苦痛へと豹変する。魂は、ヘドロを吐き捨て、強固なまでの維持で、生きる事に専念している。魂は不浄を訴え、その訴えは退けられた。そして魂は、鬼の面の皮を剥ぎ始めた。苦痛に悶絶する鬼は、まるで甘美な心地に浸っているかのように思えた。鬼の面を肉の塊にしてしまうと、そこから、妖気が発し、彼を包み込んだ。彼はニヤけながら終止を見護っていた。彼はそこで至上の喜びを貪った。貪欲が鬼の涙を、滑稽にした。彼は、その定まらないままでいる視線を、鬼の死骸へと向けた。鬼は泣いていた。鬼は、目を真っ赤にしながら泣いていた。眼はしばらくの間放心状態を保ちながら、鬼の魂を徐々に奪い去っていく。鬼は、その瞳を、彼へと向けた。視線の上には、蟻が列を作って順序を保っていた。蟻は眼に溜まっている血を女王に捧げるために、ここまでやってきた。女王は、我がままな性格をしていて、蟻たちを困らせた。彼女が気に入らないものはことごとく排除されてきた。蟻たちはそれでも、女王のために、血を運ぶ事を忘れない。それが彼らの使命なのだから。鬼は、小さな声で、助けてといった。彼は、その小さく消えそうな声を、興味深く、嘲笑うような感じで、聴いていた。鬼の眼には、無数の、蟻の列が蠢いていた。蟻は、突拍子もない行動に出た。蟻は、女王に捧げる血の量が足りないとばかりに、鬼の眼に浅い穴をあけ、そこから、滲みだす、鮮血を、すすり始めたのだ。鬼は、狂気に駆られ、もがもがと口を動かし始めた。それでも、鬼の面は皮が剥がれているので、閃光が走るような地獄を味わう事になった。鬼は、もがき苦しみながら、生命の発しうる、限りなく上質な、叫び声をあげた。鬼の眼から涙が迸り出る。鬼は、形相を甚だしくしかめ、それでも、限りなく襲ってくる苦痛に耐え忍ばなければならなかった。鬼は、それでも死ぬ事さえも許されない。鬼は、必死に岩の上で嗤っている彼に助けを求めた。それでも、賢明に動こうとしない彼を見て、鬼は、腹立たしさの中に、快楽を見るようになっていた。脳髄が、途切れなく暴走を始める時、鬼の表情には、苦痛とも、快楽ともしれない相が、はっきりと、刻銘されていた。それだけではない、鬼の額からは、露わになった汗腺から、怒涛の汗の量が噴き出し始め、鬼の過敏になっている痛点を刺激し始めた。鬼は、たまらなく、身をよじって、この苦痛から逃れようと躍起になった。その根気が故に引き起こされる苦痛を知らずに、いや、でも、知っていたのかもしれない。彼は、ただ傍で、微笑みながら、この羞恥を見護っているばかり。彼の視線には、鬼の死骸の姿しか、入らなかった。いや、彼は、最初から鬼など見てはいなかった。鬼の発する、苦痛の韻律、汗の臭い、を感じて、愉しんでいるのである。鬼は、それでもなお、叫び声をあげて、彼の助けを直に待ち望んでいた。彼が、達しえる、限りなく無情な羞恥。この、韻文のたわみを、彼は、心の底から味わい、堪能していたのだ。彼は、それからゆっくりと、鬼に近づき、笑いながら、鬼の、喉元を断ちきった。残りの大量の鮮血が、噴水のように、噴き出した。鬼は、これで、苦痛が終わると想い、そのまま、命を絶ち終えた。
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みやすけの散文詩

2011年06月08日 | 散文詩
愛が交錯する時 あなたは眼を背けて、私から遠ざかる。沈黙の中に一縷(いちる)の光を見出すように、今まで連れ添った時間の流れを想い出している。私はそんなあなたの腕を取り、より戻そうと躍起になって涙を流してみる。色褪せたモノは心だけではない。私が培ってきた歓びも、麗しく揺れる想い出の端から、感情は止めどなく溢れて、それは、涙に変わる。遠い空を見上げるあなた、愛していた形跡も今は、流れ星のように、私の心を孤独へと誘って行く。萎れた花は二度と再起しないだろう。こうして愛の終わりを紡ぎ、天空を泳ぐ天使達の、さよならを告げるラッパは鳴り響く。寄せ合って、頬の温かみを感じた今年の冬。少し冷たいあなたの頬の感触を覚えている。まるで、色の無い背景のように佇んでいる。あなたが少し誇らしい笑顔を見せる。ふと、我に返った。私は、道の向こうへと消えて行くあなたを見つめていた。少し肌寒い夜の風。甘い香りのする住宅街。全てを闇へと誘う夜の空。欠けた三日月の輝き。私は、追いかけようと声を上げようとした。体中が、無意味に火照り出していた。熱くなる心を、冷めきった関係性を見直す事も、まだ、ままならないで。こうして、一夜は過ぎて行く。あなたは、いずれ遠くの世界で、手を振ってくれるのだろう。私が、今まで見てきたあなたの孤独は、決して一人では癒されるものではないから。それは二人の永遠の絆。未だ見えない傷を抱えたまま、あなたは此処から旅立って行く。小さな奇跡を信じる、幼いあなたの心には、幾万もの花の咲いた跡がひしめいていた。私は、その花を掻き集めて、今度とばかりに、大声で泣くのであった。張り裂けそうな胸の痛みをどうか抑えてほしい。今度こそは、あなたを愛して見せると、心に誓っても、消えて行く炎はどうにもならないから。
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みやすけの散文詩 自動筆記術

2010年12月31日 | 散文詩
錆びれた指紋に、心は揺らいでいるのだ。それは、纏わり付く霊に由来する秘薬を求めるため、これ以上もない非情な計らいなど、もうとっくの昔に捨てた。こけしの頭は、何処までも伸びゆく天使の涙。その涙に隠れている、言葉に、狂乱している女よ。お前は、この世界で、何を求めている。求めても満たされない心は、おこがましいほどに泣き明かした、朝焼けに染まる一途な気持ちなのだ。それは、幾重にも、折り重なって出来た花弁。その花弁に孤独を感じているひまわりの花は、どうしようもない怒りに身を打たれ、悶え、苦しんでいるのだ。苦しみの意味とは何だろうか。意味は、無限に朽ち果てるための挙式に過ぎない。その挙式に参列する男達の執念は、女の物欲にも勝るものがある。その勝るものの情動とは何だろうか。その情動に籠められている様々な欲望。その欲望に眩まされるだけの女の悲しい性は、果てしない宇宙を想う旅人のようだ。男は、こうした過ちを、ただ見過ごしている。見過ごしているのは、どうしようもない何かと戦うためである。その戦いとは、執着を捨てた女の胎内の宿る子供である。その子供は穢れている。生命の循環から放り出された幼い命は、いつの時代にも怨念として、この世界の中で木霊している。木霊しているのは、纏わり付いた虚空の嵐を想わせるため。この虚空のならず者は、女の股にあらゆる屈辱を混ぜ合わせた、快楽の絆である。その絆は、一人身の老人に託された希望である。その希望は、所構わず投げ出された心臓に匹敵するほどの威力を持ち合わせている。

悲願したものを手に入れる為に、様々な諍いが繰り広げられた。それは、幾重にも繰り返されたモノローグ。その映写機に映る、悦びでさえも、幽かな受動に眩む女の性が込められている。女は己に忠実に、風に吹かれている。それは、確かなモノを見定める、力を欲するため。その欲望のおかげで、幽かな感情の流れでさえ、膨大な徒労と、疲弊に犯された夢を見るのである。その夢を見る為に、人は、行く度もの試練を分かち合った。その分かち合ったモノを達成するために、一度皮をむいた聖霊に挨拶をした。その挨拶は、夢幻に眩まれていて、その虚無に怪しまれた観想に、様々な汚点が接吻された。その接吻に、願いを込めて、旧著した子供に、夢を与え、その夢から更に秀でた才能を輩出する覚悟を手に入れた。その手に入れて、悲惨な目にあった少女の長い髪は、はてしなく続いていくモノを感じ取る唯一の願いになっていく。
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みやすけの散文詩 摂理

2010年09月11日 | 散文詩
 言葉を授けよ 執着心など捨てて 臆病な人間ほど、けたたましい音を立てて逃げ出すものだ。そして欲望でさえ今生に置いて赦される事の無い永遠の羞恥なのだとしたら、それはお前にとって血に飢えた猛獣よろしく、その渇きを癒す事は出来ないであろう。悪魔はその微笑みで、美女を誘惑し、その魂の奥の先まで、まるで骨にしゃぶりつくぶ男のように、その醜面を晒しながら息を喘がせているのだ。それは、一時の逃避にも見える。それぞれがただ等しいくらいに時の中で跪いているのなら、それに魂を乗っ取られてしまうがいい。この消印に、更なる後光の調べを感じたいのなら、その両手に垂れさがっている、真珠で出来た十字架を、この私の手の中で、粉々にする事だ。それが出来なければ、それこそお前にとって何が羞恥なのか、一目瞭然といった所だ。しかし、世の中は上手く出来過ぎている。そう思うのは、この私が、何も知らないという所為によるものか。それは、この天空に花開く一輪の星のように、それ自身が、何処か特異点じみた、ある種の幻想に、毎夜訪れる精霊に祝礼の接吻を施す悪戯なのかもしれない。お前は、一体何を望んで、この世界を闊歩しているのだ。諺に描かれている、こうした幻想は、いつの世にも、こなれた躍動でしかないのだから。いてして私は願おうじゃないか。この世界に賞讃の竜巻が起こるように、この世界に意図としない何か巨大な、それこそ、悪の大魔王のような、そんな幼稚な飯事に終始するような、そんな途方もない女の狂気、はたまたは、男が犯した世紀末の大惨事に置いて確立されている、豪奢な繕いの数々を、お前は、この眼で見ておいた方がいいだろう。この世とは破廉恥きわまる一現象である。それは絶えず犠牲者を伴いながら、その流された血で、次々に可憐なる生命を孵化していくのである。それが真理。それが神が授けた自然の摂理。だから私達は毎日を怯えて過ごしている。いつとも知れない死と、孤独を恐れるあまり、長は閉塞を起こし、太陽はこの生物を焼き焦がそうと、日に日にその熱を籠める次第である。
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みやすけの散文詩 無題

2010年07月29日 | 散文詩
 抑えられない気持ち。言葉がうねりを持って乱立しているのが見える。震える掌に滴る水の冷たさは、堪えられない衝動と、成り行き任せの情熱の木霊。明日が怖くて、涙を呑んだ不甲斐ない気持ちの焦り。忽然と姿を消した光の温かさ。冷酷な世界の風当りに舞踏する人間性の定め。これらが、一瞬の内に、私の脳内に走馬灯を起こし、足早に小さな乱舞を起して通り過ぎて行った。熾烈なのは、こうした心の動揺だけではないだろう。私の周りに現存する様々な事柄でさえ、私の情緒を不安定にするには丁度良かった。石の周りにできる小さな水に渦のように、そこから出られる事も無く、一生の間、もがき苦しみ、そしてただ沈黙している。こうした感情の乱れは、希望の趣へと、その舵を向けるのだろうか。気持ちが定まらない。興奮した心をいさめてくれる存在も無く、茫漠とした未来への風だけが、僅かな隙間から吹き込んでいた。
 眼を覚ますと、いつもの日常が広がっている。閑散としている部屋の内部に、私の今の実存が音を立てて犇いていた。手には汗が噴き出していて、そのネトネトとした嫌な感触は、この世で生きて行くには何か辛辣すぎるものを感じ取っていた。湿気が異様な臭気を帯びては、私の鼻腔を舐め回していた。意識を集中させる。唐突な片頭痛のどよめきだった。私の内部で、何かが音も立てないでもがいているのが判る。何か判別する事の出来ない異様な異物の流動が、手招きしているようだった。私はその無数の手を振り払った。熱を帯びたそれらの意志を掻い潜りながら、脚はわなわなと震えていた。どうにもならないどよめきであった。私の身体の内から、何かが崩れてくのを感じる。
 そして、私はその日の内に呑み込まれて行くのだろう。夕焼けにまどろむ悲壮な案山子の佇まいは、私の淋しさに、一通りの希望を見せつける。ろくぼうせいの導きに照らされた幾分強かな途に咲く花のように、鼓動の奥底でシンクロしている様々な憶測の欠片達。その背後にしらを切ってなびいている白いハンカチのような哀愁の調べ。雲がたなびいている。影が流浪の使者の魂を貪り食う。植物のように色鮮やかで、香しい色調の強い香りを嗅いでいると、この世界の中で唯一のシンフォニーを聴いているようだ。私は、早速、見るも絶えない、その髪の毛に逆立った白髪を見つめる。苦労が、流浪を呼ぶ本末転倒な事態の成り行きに、心が弾む。にやけた表情に、髭の痕が厭らしく輝きを放しているようにも見えるのは、朝の光の幻惑的な心境のなせる技なのだ。鳥の弾むような心地を醸し出すハミングを聴きながら。昨夜犯してしまった、自傷の傷跡に、軽く接吻を施す。血が怖れをなして、まるで、潮が引いて行くように血相は碧く爛れて行く。悴んだ時に温かみを求めるような、眼差しをこんな時、誰に向けるといいのだろうか。頼れる筈の家族の放埓な戯言でさえ、この世界の中では主流に流される大河の躍動に過ぎないのである。つまずいて転び、体液を地表へと染み渡らせる。大地は、こんなにも麗しいものなのに、いざ私の魂を受け渡そうとすれば、命の隷属の根性が、そんな狂った私を引きとめようとする。壮絶な景色を見渡そう。そこから何が見える。森が見える。火が見える。そして、人々の残骸が見える。険しい顔をした老婆は、その場で呆然自失と立ち尽くしながら、今でも、死した夫の還りを待っている。
浴槽に脚を浸した時、とある戦慄が走ったのを感じた。滾々と湧いてくる恐怖の素顔。選別していくのは、理性の従僕と、混乱した狂気の満ち引きである。水は、この私の身体を流れて行く時、高笑いをする。哄笑が聞こえ始めると、私は、水を汲むのを止めて、しばらくの間、頭の中でのた打ち回るのであった。聴こえない筈の様々な欲望のどよめきが、粗暴に繰り広げられていく、意識の狂乱を間近に感じて、私の身体は忽ち、無の海へと放り込まれて行く。何かが必要であった。何か輝くものが必要であった。松明のようにその途を照らし出してくれる、何かの導きが必要であった。私は探し回った。所構わず、あらゆる場所を探し待った。岩の下や、海の底。草むらに落ちている僅かな証拠を見つけるために、私は奮闘した。湯気が立ち上り、煙幕を張る。身体に張り付いて離れない、水の小癪な悪戯。
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みやすけの散文詩 夢

2010年07月03日 | 散文詩
夢想。悦びに飢えた思想は、その手で、妻の首を絞めるだろう。アルキルは、その足で、湖畔を歩きながら孤独を満喫していた。七面鳥が鳴いているのが聞こえる。朝靄の雨だれ。アルキルは、その未亡人の様な足取りで、湖底へと目指す。何もかもが虚構に想えた。七並べの最後に置くカードは何か。アルキルは考える。死は極上の源へと帰化する為の道しるべに過ぎない。想像力が木霊している。川のから流れてくる死体の匂いは、この湖をコワクのものへと変容させる。稲穂が揺れては、その命を地中へと滲ませる。散漫とした話術に長けた詩人の憂鬱、そして、その全てを許容したアルキルの哀しみは、この世ではもう必要のない命の灯を感じている。爪先が水の中へと入り込む。冷たさと切なさが交錯するのは、一重に虚しいからである。静寂と虚勢がこの心を包み込む。水の感触の心地良さとは裏腹に、洗礼される黄泉の国への期待と不安。しばらく経ってから息を整えた。涙は、その重みで今にも溢れそうになる。アルキルの司令塔が、癇癪を破裂させる。お前は弱い奴だと。この世界では生きてはいられない屍なのだと。アルキルは、息を整える。地層深く沈んで、呼吸もままならない微生物のように、アルキルの心には、窮屈な劣等感だけが、ひしめいている。そして、水は孤独の心をまやかしの泉へと引きずり込んだ。意識の鎮静と、その煌めきは、アルキルの生存していた記憶の流れを断ち切った。零れ落ちる水の冷たさときたら。その言葉を訊くように耳を傾けたアルキルは、真っ先に地獄へと突き落とされてしまった。落葉樹が、その葉を落とすときに感じる寂しさのように、アルキルの精神は、朧な命の尊厳でさえ、見離すのである。アルキルは泣いた。意味も無く。ただ無情に身を任せるように。アルキルは、湖底を見た。そこには、幾万もの魂の叫びと肉片の塊が、魚に啄まれている光景が拡がっていた。これこそ真実なのだろうか。今宵宴が繰り広げられると聞いたが、それで、私の心は慰められるのであろうか。深海魚はその眼光で獲物の息の根を止める。崩れ去った積み木が、その轍の中で霧雨に打たれている。心地良いものが崩壊していく快楽に引き換え、北斗七星に彩られた逸脱の感情は、迷信のほかに何が存在しているというのだろうか。アルキルは考える。アルキルは苦しむ。もがき、雷に打たれ、身も心も魂をも、ミキサーにかけられた果物のように泥炭とかし、その呪詛に固められた魂の叫びを包括するのである。純白は、汚れのない心なのだろうか。三味線の音色は、何処か虚空を眺めている少年を想起させる。音楽は絶え間ない主旋律の最中に、人々の脳を焼き払う。清純な言葉はいらない。そしてアルキルは黙想する。自分の為に。世界の為に。
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みやすけの散文詩 現状

2010年06月14日 | 散文詩
 歓びも絶望も一まとめにして、つつがなく生きて行く思考の矛先を詮索すれば、途方も無い道のりの向こう側に、けたたましい叫び声が聞こえてくる。ろくろを回すその掌には、何ものかを惑わす、こわくの眼差しが向けられている。竜巻に吹き飛ばされた死体の悲惨な様相は、この世界では言語の中枢の様に、その絢爛たる宿命のたなびきを感じずにはいられない。食道がんに侵されて、希望も絶望も汲みつくした人間に卑劣さ。轟然と立ちはだかるのは、云われも無い母親の漫然とした微笑みである。偽りの感情に流されては、その傷ついた指先を、血に濡れた川にそっと浸してみた。
 喉を通り過ぎる液体は、その滑らかな感触とは裏腹に、毒々しい何かの魂を秘めている。刹那に感じたのは、所謂、一種の快楽である。シチリア島の山の頂上には、今も偶像が立てられているのか。混沌とした乱数表に描かれた規則の呪縛に、惑わされる民衆の、餅に描いた様な希望と、切望。馬が自身の身を引き裂く事に躍起になっている様に、人間もまた、同じ種族を共にする、同胞を皆殺しにする。
 液体窒素の温度は、それ程冷たくはない。勇ましい男の背中に滴る汗に比べれば、それは、太陽の様に熱い温度のあるものの様だ。二次関数の曲線は、何処まで曲線なのか。真実に露呈した炎症を鎮めるために、立ちあがった少女のいたいけな心情と、根性。そこには、しとしとと滴り落ちる未来を見つめる瞳には、明日を想う何かの鼓動が眠っている。
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みやすけの散文詩 混乱

2010年06月09日 | 散文詩
 ふとした物音に身を構えている。滴る水滴が渇いたのどを潤すとき、その扉は開かれる。縮減目標に達しなかった道楽者のしゃれこうべは、無数のカラスについばまれている。戦々恐々と身体中を震わせながら、宇宙の歌声を聴いている。そば立てる耳に風は無数に飛来する塵を投げかけた。混沌とした迷路を歩くうちに、見つけた言葉の過ちは、そこらじゅうに転がっている真理の模倣品によって、その権利を護られている。曙光の煌めきが、新芽を発生させる。生命は、己の隷属関係に終止符を打とうとしている。生きとし生けるものの涙と汗の血潮は、今、大地に根を張る植物に取って変わられる。

 叫び声を上げながら、必死に逃げ惑う一人の男の背中。眩しい位の太陽の光が、その男の心を串刺しにする。溢れ出る血の匂いが、何か香ばしく、ささやかな命拾いを約束している。大国の運命に絡め取られ、尊厳死に値する称号を与えられ、跪いたその先に鎮座していたのは、遥か昔に滅び去った筈の神の姿があった。虚栄心は、己の信念に醜悪な希望を垣間見せ。その酔い痴れた魔法の呪文を唱えながら、幾年も経過していく粗暴な年月の嗤い声は、この世界では常習的な犯罪の黙示録となっていく。植物状態に置かれたのは、ただその男だけではない、少女の眼差しに生えた、カビ菌の猛威は、もうすぐそこに押し寄せている。それは、女子共を餌食にする、欲望に塗れたイデオロギーの波である。身を着飾り。徒労した表情に映るのは、ある筈のない美の象徴であろう。それが、まさしく、この世界では、一般則に則した代数方程式による、整数演算でしかないのなら、その冠を次の人に渡して、この世界は一端終焉に伏す。知れ渡っている複数の慰めの言葉に、心は隷属する。心地良いサウンドに、眼は枯れ果て、感覚器は次第に衰えながら、悲痛に叫ぶ声だけは、次第に大きくなっていくばかりである。寒々しい空の果て。見え隠れする啓蒙主義の成れの果て。そうした呪術が、横行していた19世紀半ばに、新たな命が芽生えた。
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みやすけの散文詩 乱舞

2010年06月08日 | 散文詩
冴え渡る肉体美がこの苦境に乱舞している。その辛酸を舐めるのはどのような心理状態の時だろうか。心打つ名文句に涙を誘発させられ、その殺し文句の中で煮えたぎっている、時の辛辣な、怯えとも取れる孤高の叫び声は、この静寂に木霊する、神秘な女体に過ぎないのである。流砂は、あらゆる人間を飲みほしては、その消化された肉体を、更なる葉緑素へと変容させていくのだ。人間が犯した罪の重さは、散々蹴散らした意味の呪縛の中で、恍惚と輝く真理への飛翔となるだろう。痴呆が進行した老人の見る夢の有様は、その金剛の輝いている、匠の印の存在感によって、更なる誘惑への架け橋になるのだろう。
石垣を登るのは、いつの時代にも偉大な功績を残した人物の涙である。選り取り見取りな女をこの眼で視姦する愉しみは、奴隷にしかわからない、愉悦があるのである。
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みやすけの想い 憂鬱の日がな

2009年10月12日 | 散文詩
 精神は滞る事を知らず、不遜に、腐乱に、乱舞に狂い猛り、獰猛な猛禽が僕の心を貪り喰いながら、どこか目は虚ろな一点を見つめて、かえり咲いた桜の花は空しく音を立てて散り散りに散っていく。
心には重苦しい靄が、立ち込める不安に窮屈に絡め取られて、周りはおぞましいほどに乱立する花の戯れに、僕は更なる土地を求めて、彷徨い、そして枯れていく。

 誰が僕を見つめてくれるというのだろうか?

 誰が僕の事をやさしく愛撫し、諌めてくれるというのだろうか?

 辛辣さ極まる霧雨の中、僕は途方に暮れて、消えゆく炎に目を曇らせては、落ちくぼんでく、木漏れ日が懐かしい。温かな抱擁が恋しい。

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猛禽→もうきん

たまにはこういうのも書きたくなります
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