ハンチントン病は常染色体優性遺伝する遺伝性の神経変性疾患で、舞踏運動などの不随意運動、精神症状、行動異常、認知障害などを臨床像の特徴としています。症状は徐々に進行する進行型の疾患です。舞踏運動は、身体が自分の意志とは無関係に勝手に動いてしまう運動の一つで、箸を使ったり、字を書くなどの細かい運動が困難になり、歩行が不安定になり、発音が正確にできなくなり会話が困難になるなどが代表的な症状です。これらの症状は大脳の特定部分(大脳基底核や大脳皮質)が萎縮してしまうことによると考えられています。ハンチントン病患者の神経細胞では第4染色体に局在している遺伝子IT15(ハンチンチン)が通常より長いのですが、なぜこうした遺伝子異常が発生するかは明らかではなかったそうです。ハンチントン病の発症率は、コーカソイド(白人)では人口10万人当たり4~8人ですが、日本人では人口10万人当たり約0.5人と白人の発症率の1/10程度です。このハンチントン病患者の異常遺伝子により作られるたんぱく質が、DNAを修復する酵素と結びついて働きを妨害していることが明らかになったそうです(YOMIURI ONLINE)。通常は生後約100日で死んでしまうハンチントン病のマウスの脳に対して、この酵素を作る遺伝子の働きを強めてやると、寿命は130~140日に延びたそうです。これまで治療法はなかったのですが、この酵素を補ったり、あるいはたんぱく質の働きを阻害する物質を見つけることで、少なくとも症状の進行を抑制できるということです。
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