動脈硬化に関する記事を紹介します(QLife Pro)。動脈硬化症は生活習慣病の終末像で心筋梗塞、脳梗塞の原因となることはよく知られています。ところが生活習慣病治療薬だけでは心血管イベント抑制効果に限界(天井効果)があるそうです。この残存リスクを解消するため動脈硬化症の成因に基づく新たな治療アプローチが求められているそうです。近年、動脈硬化症の成因として“炎症”説が支持されるようになっています。同症を呈する動脈壁、特に内皮細胞直下の内膜にリンパ球、マクロファージなどの炎症性細胞が多く認められ、炎症性マーカーのC反応性タンパクと同症の関連も報告されています。しかし、肝心の炎症をもたらすメカニズムは不明でした。特殊なタンパク合成技術を使い、約2000種類の合成タンパク質と患者のプール血清を反応させて、ヒトγグロブリンIgGを検出(アッセイ法)。解析の結果19種類のタンパク質を同定、さらにTh2 サイトカインである IL5に着目。閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患PAD)、冠状動脈硬化症(CAD)患者の抗分泌型IL5抗体価は健常成人と比較すると高値、また患者血中の自己抗体はIL5の働きを抑制する可能性が示されたというのです。さらに、動脈硬化症の自己抗体は代表的な自己免疫疾患である慢性関節性リウマチのそれと比べて全く異なっていたそうです。動脈硬化症が特異的な自己抗体をもつ自己免疫疾患であり、同症の炎症には自己抗体を介する自己免疫的機序が関与するということになるそうです。アッセイ法の応用でハイリスク患者の自己抗体プロフィルがわかれば治療の個別化につながり、抗IL5抗体を新規バイオマーカーとすれば成因とリスクを同時に評価できると期待されるそうです。
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