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2巡54位 SS Jaiquawn Jarrett

2011-05-04 20:38:00 | イーグルス
 2巡54位で指名したのはJaiquawn Jarrett(ジェイクワンと発音するようです)NY出身で高校時代はNY州のディフェンスMVPに輝き、NY-NJオールスター戦でキャプテンを務めています。同時に陸上の100と200メートルの選手でもあったそうです。
 NCAAディビジョンⅠで唯一奨学金のオファーが来たPhiladelphia中心部に有るTemple大に進学後、FS/WR/KRとして1年目から12試合に出場し6試合でFSとしてスターターで出ています。2年生でも両面で使われ12試合出場で6試合先発しています。3年生からはFSのスターターに定着し13試合全てでスターターに成り、チームのMVPに選ばれています。4年生はチームキャプテンに選ばれ、全試合FSのスターターとして出場しました。3年生と4年生の2回MAC(Mid-American Conference)のファーストチームに選ばれています。

1年生 12試合出場 61タックル 1INT
2年生 12試合出場 88タックル 3INT
3年生 13試合出場 76タックル 3INT
4年生 12試合出場 74タックル 2INT

 身長5-11に7/8、体重198ポンド、40ヤード4.65、ショートシャトル4.14、スリーコーン6.95、垂直飛び30インチ(76.2cm)、幅跳び9フィート5インチ(282cm)、ベンチプレス14回、ワンダリックテストは19点を記録しています。

 Temple大はカバー2システムを採用していると一部の記事に有るのですが、ハイライトを見ると4-4でFSとして最後方を1人で守っている時も多く、4-3の時もSSがスクリメージまで上がってTEに付く場面も見られました。
 4-4のFSだと完全に最後の砦ですから、積極的に飛び込むプレイよりもボールキャリアーを見つつスクリメージを破られた所から前に出るタックルと10ヤード程度のパスを取った瞬間にハードヒットするプレイが目立ちます。タックルは両腕で腰から足にしっかり回すタックルをしていますし、ハイライトなので割り引かなければなりませんが重いタックルをしているように見えます。パスカバーはゾーン主体で反応は悪くないですが、出足もトップスピードもそれなりですね・・・
 コンバインで1番好きなバックペダルから3回ターンするドリルでは腰が高く感じましたし、一瞬の加速のようなものを感じません。スピードよりも嗅覚で勝負するタイプでしょうか。

 長所を並べると、嗅覚が鋭く、ボールの有る場所、ボールが落ちてくる場所を読み取る能力が高い。鋭いタックルでオープンフィールドでも信頼出来る。練習熱心で試合中も声を出して鼓舞するタイプのリーダーに成れる。計測タイムよりもフィールド上で速く見える。
 短所は加速もトップスピードも普通、カバーエリアは狭く高いボールに弱さが有る。腰が堅く横に流れながら下がる時にスピードが落ちる。マンカバーは下手でカットを切られた時に付いていく足が無い。
 身体能力は2流で頭脳面でカバーするタイプのランストッパー/ゾーンカバーのSと言う事でしょう。カレッジではFSでしたが、プロでFSをやるスピードは無い為にSSでの起用が予想されています。STでも素晴らしい働きが出来るようですし、リーダーシップも素晴らしいと評価されています。

 気になるのは、前に出るタイプのランストップSSと評価する所が多い中、このサイズとパワーじゃプロでスクリメージ近くにセットする事は出来ない。と評価する声が有る事。実際ハイライトを見ても後ろから上がっていくプレイが多く、スクリメージ近くでTEのカバーやブロックを外してタックルするような場面はあまり見ないです。もちろん、やれば出来ると判断して指名したのでしょうけれど、4人目のLBとしてプレイする事が多いうちのSSでこの欠点が出るようだと致命的かもしれません。

 シニアボウルでは怪我を負っていたようで、練習を休んだ日も有ったみたいです。その為か良い評価はあまり見つけられませんでした。スピードがいまいち、リードブロックに呑まれた、そう言う表記があります。

 2巡で指名した事を考えればQuintin Mikellとの再契約はしない可能性が高くなりました。Nate AllenにKurt Colemanと若い3人+αでS陣を形成する事になるでしょう。Allenの膝は開幕に間に合うと見られていますから、即スターターになれなくてもSTから始める事も考えられます。しかし、1巡候補が落ちてきている中、3-4巡候補を54位で指名したのですから、能力を高く評価しているはずです。(今年のSはRahim Moore以外の2番手グループは3-4巡程度の評価しか得ていませんから、複数指名候補が居たならば2巡で取る必要は無かったはずです。Jarrettを狙っているチームが有ると判断しての上位指名でしょう)
 SSのランストップ能力を重視するシステムの割にカバーが出来ないと使わないと言う矛盾を解決する為にランストップ型のFSを使う事にしたのだと思います(MikellもColemanもFSからSSに変わっています)2巡指名のSですしスターター定着する事が1年目から要求されます、頭脳面に大きな問題は無いでしょう、マンカバー能力とパワーアップで開幕戦SSのスターターを務めている事を期待します。

1巡23位 OG/OT  Danny Watkins

2011-05-04 01:23:00 | イーグルス
 1巡23位で指名したDanny Watkinsはカナダの比較的西海岸に近いKeiowna出身で、ラグビーとアイスホッケーをプレイしていました。非常勤の消防士として5年働いた後にAaron Rogersも在籍した事の有るCaliforniaのButte短大に消防学を学ぶ為に進学しアメリカンフットボールと出会います。ラグビー経験のおかげかアメリカンフットボール1年目から(短大の弱小ですが)カンファレンスのファーストチームに選ばれ、Baylor大に転入します。カレッジでは2009年のドラフトで1巡2位指名されたJason Smithの後継者としてLTに入り、2年間全ての試合にスターターで出場しています。最終年度はBig-12のセカンドチームに選ばれました。高校卒業後消防士を経て短大大学と進んだ為に26歳のルーキーで11月には27歳になります。
 去年CFLのドラフトで1巡4位指名されましたが契約せずカレッジでプレイを続けました。NCAAルールから考えると代理人を雇えないでしょうし、交渉すらせずに断ったのでしょう。

 身長6-3と3/8で体重310ポンド、腕の長さ34インチ、40ヤード5.40、ショートシャトル4.62、スリーコーン7.61、垂直飛び26インチ(66cm)、幅跳び7フィート8インチ(230cm)、ベンチプレス29回を記録し、ワンダリックテストは40点のようです。

 ハイライトとコンバインでのドリルを見た感じ、外から来るパスラッシャーに対してのバックペダルがスムーズとは言い難いです。一旦捕まえると粘り強くブロックを続けて役割が終ってもプレイが終わるまで動きを止めないで相手に絡み続けています。

 各種ドラフトサイトの評価をまとめると、長所はバランスの良さでステップを踏んでいる時、相手を組み付いた後の体重移動のスムーズさが素晴らしいと評価されています。
 非公式ですが、今回のドラフトで1番の握力を計測したようです。また、上半身全体の力も素晴らしく、パスラッシュに対する一発目のパンチが非常に強力と見られています。
 DLを処理した後にLBを取りに行くフットワークの軽さとスタミナを持ち、ダウンフィールドまでボールキャリアーを追いかける真面目なプレイを1試合続ける事が出来る体力・精神力を持っているとも評価されます。
 
 欠点としては膝の曲がりが悪い事でバックペダルのぎこちなさはこれが原因でしょう。後ろに下がるよりも前に出る事に持ち味が有ると見ます。
 フットボール経験が4年だけと短く、レベルの高いリーグに2年しか居なかった為にマークする相手を見失ったり、ブリッツの際に誰を捕まえれば良いのか分かっていない場面が見られるそうです。
 腕が短いと評されているのですが、これはLTで使う場合の評価でしょう。6-3もLTとしてはやや小さいです。OGとして使うには身長も腕の長さも大きな問題にはならないはずです。ただし、身体測定ではなく実戦で腕が短く見えるとすると技術面に問題があるのかもしれません。技術的にまだ洗練されていないとも評価されています。

 シニアボウルではLG.RGとして練習に臨み、ドラフト候補生のDT/DEを圧倒し続けたと非常に高く評価されました(DL側の評価で必ずしも負けたと書かれていないのですけれど)特にランブロックで足を回し続ける事が出来ると評価されています。

 26歳の年齢に付いては怪我が無ければOLは30過ぎても問題ないポジションと言うAndy Reidの判断は間違っては居ないでしょう。高校時代のラグビーやアイスホッケーから消防士時代を経て4年間しかプレイしていない事で膝や腰へのダメージが蓄積されていない分普通に子供の頃からプレイしてきた26歳とは違うと見ているようです。
 6-3のサイズでNFLではOGにコンバートが必要と見られたのが同じ1巡下位で次々と指名されたOLの中で評価が少し低かった原因だとすれば、OGで使うのですから問題は無いと見ることも出来ます。もちろん、LTは無理でもRTでプレイ出来るかどうかで希少価値と言う点の評価は変わってくるでしょう。また、LTはエリートのポジションだがそれ以外のOLは下位指名から育てる事が出来る、とするチームや評論家も多く(実際下位でOLを指名し続けるチームですし)1巡にOGを使うのは無駄と見る向きも有るようです。ただ、どんなポジションに上位指名権を使おうと、プロボウルレベルにまでなれば全く問題は有りません。あとはWatkinsがそう言う選手になるだけです。
 
 
 OGの1巡指名をどう評価するのか、膝の内視鏡手術をしたWinston Justiceと胃の手術をしても痩せないMax Jean-Gillesどちらが大きな問題と見ているのかで変わってくるでしょう。
 OG、特にランブロックだけのRGはFAで安価に取れるポジションの代わりにDTを叩き潰せる一流のOGはなかなか存在しません。そう言う意味でWatkinsの指名の成否は普通のスターター程度では失敗になります、ぶーぶーが抜けて以来ランブロックが全く冴えませんし、パスプロテクト面の向上以上にランで相手に警戒される存在になるブロッカーが居る、それだけでオフェンスのバリエーションを増やしフルブリッツのような極端な潰し方をさせない効果を生む事を期待します。