今大会を通じてのスカウトの総評は概ね「技術はあるが基礎体力に欠ける」のが相場らしい。目玉は秋田経法大付・松本豊投手。181㌢ 71㌔の大型本格派投手でスナップと肘が滅法強い。野手を含めてNo,1評価と言うのが各球団スカウトの一致した意見で 「良いと言い切れるのは彼しかいない (西武・浦田スカウト)」もちろん球威は高校生の水準を超えるものだが、他にもフィールディングや牽制などもプロの投手に劣らないセンスの持ち主と評価されている。ただ気になるのはカーブの切れ味が春より鈍っている事。「あのタイプの投手は一度きりで判断できない(広島・木庭スカウト)」と擁護する一方で「腕だけで投げている。もっと下半身を使えば球威もまだ増す筈(阪神・渡辺スカウト)」と評価を下げた球団もある。さらに松本には社会人野球入りの情報もあり各球団も指名を決めかねている状態だ。
興南・竹下浩二投手の評価も上がったり下がったり。2年生で注目を浴びたものの、春・夏と甲子園に来るたびに評判倒れの投球に終わった。「太り過ぎてキレが悪くなった」「打たれ出すと歯止めが利かなくなるのは精神面が弱いから」など散々。南海・石川スカウトは「中央に来るとダメなのは心臓が弱いからだろう。良い捕手がリードしてやれば使える可能性は有る」と捨てきれない様子。
名電高・工藤公康投手については「指名するかもしれないので悪い事は言えんが上背が足りんよ」や「左腕だしあのカーブはプロでも通用するかもしれんが左打者用のワンポイントタイプかな」と今ひとつ。投手以外では「いないなぁ」と溜め息が漏れてくる。「報徳学園の金村義明投手は打者としての評価は高いが投手としての将来性は無い。でもそれを言ってヘソを曲げられたら大変」と悩みは多い。