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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 510 レオ番地獄耳

2017年12月20日 | 1985 年 



サイクル安打は逃したがナインから絶賛されているのが伊東選手の打撃。6月20日の阪急戦は両軍29安打が乱れ飛ぶ乱打戦だったが中でも伊東は4安打・5打点と大当たり。右前打・右中間二塁打・左越え本塁打を放ち、これで16日の日ハム戦から通算6打席連続安打。次打席は凡退し残された打席は第5打席のみ。「三塁打でサイクルだぞ」とナインに送り出されたが打球が飛び過ぎて3ラン本塁打。「三塁打は狙って打てるもんじゃないです」と頭をポリポリ。

伊東選手がサイクル安打を逃した同じ試合でナインから「暴走族だな」とからかわれた岡村選手。10対11と1点差に追い上げた8回表一死一・二塁の場面で石毛選手が放った中堅への飛球に二塁走者だった岡村はタッチアップで猛然と三塁へ突進した。熊野選手➡弓岡選手➡松永選手と中継された送球がそれて岡村は悠々セーフ。球が転々とするのを見た岡村は本塁へ向かうも三塁塁審の中村審判と交錯してスピードが落ち本塁寸前で憤死。結局、1点差で負けた為に「お前の暴走のせいだ」と冷やかされる羽目に。

6月22日の近鉄戦も勝利し開幕から破竹の10連勝となった東尾投手。だが東尾は5月半ば頃から右肩の違和感を訴えている。痛みはないものの登板後の張りがなかなか引かず「ほんと誤魔化しのピッチングで消化不良気味(東尾)」と。実は登板後の " アガリ " を利用して長野県諏訪市にある長生館まで足を運びマッサージ治療を受けている。「いつ負けるか、いつやられるか、そう思いながら投げている(東尾)」…東尾修・35歳。昭和50年にマークした自身の連勝記録の「8」を悠々とクリアしたベテランはエースの座を若手に譲る気はサラサラない。

西武では広岡監督以下、コーチ陣や選手の多くが西武球場近辺の所沢界隈に住んでいる。ところが中日から移籍して来た田尾選手は系列グループ企業の西武不動産が用意した所沢の住居を断り、東京・杉並区にある4LDKのマンションを購入した。本人曰く「球場の近くも良いかなと思ったんですが仕事を家に持ち込みたくないので試合後30~40分は車内で気分転換するのが今迄のスタイル。生活のリズムを崩したくないので離れた所に住むようにしました」と。でも家族の分も含めて高級車を複数台所有するカーマニアだけに「本当は所沢ナンバーが嫌だったんじゃないの?」との声もチラホラ。


首位堅守の影にチラついてきた投手王国の重大危機
開幕ダッシュに成功し独走態勢の西武特急に陰りが見え始めてきた。4月半ばに松沼弟が右肩痛で離脱。続いて抑えの森がキャンプでの調整ミスで本調子に戻らずミニキャンプで再調整を余儀なくされ、抑えの代役には19歳の渡辺を回すなど台所事情は外部から見ているよりも厳しい。10連勝中の東尾の踏ん張りで何とか首位を堅持しているが阪急や近鉄が迫って来ている。貯金が20近くあっても「残り試合を5割で行けば優勝?どこにそんな保証があると言うのか。勝負事は下駄を履くまで分からない。これからも2勝1敗ペースを守っていく(黒江作戦コーチ)」と首脳陣が慎重論を口にするのは投手陣の不安が解消されないからだ。

更にシーズン前から懸念されていた左腕不足は解消されていない。期待の工藤は今一つ波に乗れず、永射に至っては登板そのものが激減。挙げ句には巨人・角との交換トレードが報じられる始末。中継ぎも川村、黒原、高山ともに「試合に出してみないと調子が分からんし、信頼感はまだまだ(宮田投手コーチ)」である。梅雨時で雨天中止が多く今は東尾、松沼兄、郭、高橋直らでローテーションは組めるが梅雨が明けたら先発不足は明らか。二軍落ちした松沼弟に目途は立っておらず渡辺を先発に戻す必要が迫られているが、それには森の抑え復帰が必須条件。「よそ様が思うほど楽な状況じゃない。今の布陣では2勝1敗ペースは勿論、5割ペースすらキツイ。9連戦だとローテーションの谷間が2つ出来ますから」と宮田投手コーチは吐露する。

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