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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 504 G番地獄耳

2017年11月08日 | 1985 年 



肝っ玉と大きなカーブが売りのルーキー左腕・宮本和知投手。6月14日に晴れて一軍昇格を果たした後は抑え・中継ぎとフル回転。相手強打者を " へ" とも思わない強心臓の持ち主だが実は大きな悩みを抱えている。「ウチの母ちゃんは大洋漁業にお世話になっている」・・故郷の下関は言わずと知れた漁業の街で大洋漁業は大洋の親会社。「自分が大洋を抑えちゃったら母ちゃんの立場が悪くなるんじゃないか」と真剣に悩んでいるのだ。実際には未だ大洋戦には登板しておらず周りは心配し過ぎと呆れ顔。トボけたキャラクターで今やチームのムードメーカーになりつつある。

スランプに陥っているクロマティ選手に強力な助っ人が現れた。6月24日、よみうりランドの室内練習場で打撃練習に汗を流していたクロマティ。今一つ納得出来ず塞ぎ込んでいると、そこに息子のクリストファー君(8歳)が登場した。クリストファー君は小さな体でノックバットを手にしてテニスボールを器用に打ち大喜びしていた。ランニングをしながらクリストファー君をチラチラ見ていたクロマティだったが息子の好打ぶりに「さすが俺の息子。いいスイングをしている」とそれまでの浮かない顔から一転して笑顔に。息子の笑顔がクロマティに元気を取り戻させた。8月半ばにはアメリカに帰国するクリストファー君。パパの猛打復活が息子への一番のお土産だ。

監督とは実に因果な商売で夜も眠れず胃がキリキリ痛むなんて日常茶飯事。王監督にとって今季一番つらい日となったのは間違いなく6月20日だろう。横浜での大洋戦は2対2の同点で迎えた延長10回裏に槙原投手がホワイトにサヨナラ本塁打を浴び敗戦。実はこの日の試合前に義母の葬儀に参列し決意も新たに横浜に乗り込んだのだが痛恨のサヨナラ負けで悔しさ2倍。勝てば官軍…の厳しい世界に身を置く指揮官の目は赤く充血していた。監督業は本当に厳しいものだと世間に知らしめた一日となった。

球界の御多分に漏れず巨人の選手も多くがベンツなど高級外車に乗っている。今年の3月にベンツ500SELからフェラーリに乗り換えたのが原選手。ところが最近になって再び買い換えた。今度は黄色のベンツ。「スポーツタイプのベンツが欲しくて。今の車はそれが届くまでの代用車。実はフェラーリも代用車だったんだ(原)」と何とも庶民には夢のような話。原が欲しがるスポーツタイプのベンツに乗っているのが先輩の篠塚選手。夏にはオープンカーに変身する車体を見て「あれが欲しい(原)」となった訳。しかし納車まで何か月も待たなければならないとか。フェラーリやベンツが代用車とはさすがブルジョア。


縦の変化球と速球を武器にする本格派に弱点をさらけ出す打線
長いペナントレースを制するには苦手とするチームや投手を作らない事が鉄則だが、今季の巨人はオールスター戦を前にした時点で3人も苦手投手を作ってしまった。阪神・ゲイル、横浜大洋・遠藤、中日・小松である。先ずは阪神のゲイル。これまで対戦した3試合のうち2試合が完封負け。2試合とも自軍の江川や斎藤は阪神打線を2点に抑えたが、2㍍近い長身から投げ下ろす直球に手を焼き得点できなかった。大洋の遠藤は今季に限らず数年来の天敵だ。5月11日には3安打完封負け。6月1日、20日ともに完投を許した。王監督をして「遠藤には三度目。勝負する前から呑まれている感じで打てる気がしない。何とか対策を考えないといかんのだが…」と怒りを通り越し半ば諦めの境地に。

小松も以前からの天敵の一人。4月24日に完投勝利を許したのに続き6月7日には今季最少安打となる2安打で完封負け。前日の6日には前述のゲイルに完封負けしているので6年ぶりとなる2試合連続完封負けの屈辱を味わった。7日の中日戦も加藤が2失点と好投したが報われなかった。末次打撃コーチは「3人とも本格派で速球を軸に縦の変化を上手く使っている。ゲイルの角度のある直球、遠藤はフォーク、小松は快速球と打てないのはウチだけじゃないけどね」と。後半戦を乗り切るには同じ轍を踏まないよう相手を徹底的に研究する事が必須。それには「各自が狙い球を絞って打席に立つ以外ない…(末次コーチ)」といささか心もとない。

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