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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

#149 プロ入り拒否した甲子園球児

2010年12月22日 | 1980 年 




現在ではドラフトで指名された選手はプロへ行くのが当たり前で拒否する事はケシカランとの
風潮がありますが、どうなんですかねぇ。「指名する・しないはプロ側の自由」「プロ入りする・
しないはアマチュア選手側の自由」なのがドラフトのはずです。指名して「やった」感が球団や
その球団のファンに見えるのが気に入りません。この年のドラフトでは2人の1位指名選手が
プロ入りを拒否しました。日ハム1位・高山投手(秋田商)、阪急1位・川村投手(松商学園) で
共に甲子園大会で注目された逸材です。今でもそうですが、プロ入りを拒否すると密約とか
本人の我が儘と批判されるのが常ですが、この時も当初はそうでした。



「突然の指名でビックリ。日ハムは僕自身に一度も接触が無かったし、たぶん行かないと思います (高山)」
「西武以外にプロ入りは考えていません。社会人からも誘われているし、大阪まで行く気にはなれません (川村)」

両球団に指名が決まった直後に2人ともにプロ拒否宣言、口調は強く落胆の色は隠せなかった。高山はドラフト翌日に学校まで
挨拶に来た丸尾・三沢スカウトにも「会いたくない」とサッサと下校してしまった。自分の希望が通らなかった落胆は理解できるが
こうした態度は失礼極まる。断るにしても一度は会って自らの口から伝えるのが社会の常識である。そもそもプロ拒否は高山の
本心なのだろうか?高山周辺の事情を地元記者はこう言う「父親はプロ入りさせたい意向を持っていた。高山本人も長男として
一家の将来設計もありプロで早く活躍したい気持ちだった。でも恩師の三浦さん(秋田商監督)は、プリンスに行かせたい意向が
強かった。高山は板ばさみだったのでは・・」

一方、川村は当初は「阪急の方とは会いません」と言っていたが藤井編成部長・矢野スカウトが挨拶に訪れると一転、交渉に
応じて「これから何度でも話し合いたい」と態度を軟化、阪急入りの可能性が出てきた。18歳の若さとは、こういうものなのだ
一度自分の胸の中で膨らんだ夢や憧れをサッと切り替えられるほどの術を持ち合わせてはいない。そんな若者に大人の都合を
押し付けてはいけないのだ。




一時は軟化したように思えた川村も結局は高山同様にプロ入りを拒否し、2人揃ってプリンス
ホテルへ進みました。しばらくバッシング報道が続きましたが12月29日号に高山のプロ入り
拒否までの内幕が掲載され風向きが変わりました。


「プロから誘いがあるのを知ったのは、春のセンバツが終わってから」 プロから注目される嬉しさは高山は勿論、大館市に住む
両親にもあった。だがセンバツ大会後に高山の右足に痛みが走る。温泉治療や電気マッサージなどを試すも一向に治癒しない。
痛み止めの注射を打って出場した夏の甲子園大会が終わった頃、進路を大学にとったのも足の故障が原因だった。「充分に足を
直す時間がある所で」がその理由であった。では、なぜ西武ならOKだったのか?痛みの原因は右足親指付け根の種子骨が爪に
当たる事で発するものであったのだが 「ドラフト前の挨拶で西武だけが対処方法を考えてくれたんです。他の球団は体の成長が
止まれば自然に痛みは無くなるって言うだけで・・」 ドラフト後の交渉の席で日ハム側は何の根拠も無く「来年の後半には1軍で
投げられますよ」と言ったそうで、その発言で不信感が募り入団拒否の結論に至ったとの事。

秋田商・三浦監督がプロ入りに反対し、プリンス入りを強硬に薦めたとの報道もキッパリと否定した。地元で巷間ウワサされていた
「監督とプリンスの出来レース」について高山は「プリンスを選んだのは自分の意思です。練習施設などを両親と一緒に見学して
ココなら大丈夫だと思ったんです。それに監督さんが薦めたのはプリンスではなく河合楽器でした。監督さんと河合楽器の監督の
高林さんは知り合いで、高林監督は怪我持ちの選手管理が上手いという事で薦められたのです」と噂を否定した。



自分の贔屓球団を拒否する選手を批判したくなる気持ちも分からなくはないですけど、今では好きな
贔屓球団が無くなった私から言わせてもらうと「行きたい所へ行かせてあげればいいじゃん」 と思い
ますけどね。アカの他人の人生について何故あぁも熱くなるのかプロ野球ファンとは不思議な人種です。
見ず知らずの選手がどこの球団に行こうが、活躍しようが・しまいが自分の人生には全く関係ないのに

仮に完全ウェーバー制にしたとしても囲い込みは無くならないでしょうね。意外なのは広島東洋カープが
ウェーバー制に反対の立場だという事。オーナー曰く、「ウェーバー制はFAとリンクしている。FA資格の
取得期間が短縮されるのはウチとしては困る」・・・独立採算制で資金が豊富とは言えない広島にとって
新たなビジネスチャンスだと思いますけど。ウェーバーで良い選手を安く獲り、FAもしくはポスティングで
高く売り飛ばす。現状ではプロ野球は企業の売名&金儲けの手段に過ぎません。 「プロ野球は地域の
文化的公共財だ」などと言っている輩がいますがそんな綺麗ごとの訳ない。だったら赤字球団は地元の
自治体に赤字の補填に税金を投入してくれるよう要請してみたらどうです?本当に公共財ならば住民は
喜んで税負担に賛成してくれますよ。

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1 コメント

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Unknown (mit)
2016-09-03 23:41:00
>見ず知らずの選手がどこの球団に行こうが、活躍しようが・しまいが自分の人生には全く関係ないのに

それを言っちゃあ見ず知らずの選手がどう活躍しようが
自分の人生には関係なくプロ野球は
見る価値もなく存在する理由が全く無いのだが
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