Haa - tschi  本家 『週べ』 同様 毎週水曜日 更新

納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 602 新戦力 / 阪急・日ハム・南海

2019年09月25日 | 1985 年 



勇者復活のカギを握る超大型右腕レスリー投手獲得
阪急にはどうしても変わらなければならない課題がある。それは今季壊滅してしまった投手陣である。特にストッパー不在の悲哀を嫌というほど味わった阪急に頼もしい投手が加わる。ブラッド・レスリー投手だ。198cm・101kg の超大型投手で、重い速球とカーブを武器に1982年と今年に3Aでセーブ王になっている。わざわざ自ら渡米してテストに立ち会った上田監督は「体は柔らかいし良いフォームをしている。期待通りに抑え役の役目は充分に果たしてくれるだろう」と投手陣再編のカギとして並々ならぬ期待を寄せている。ズバリ、来季の阪急の浮沈はこの助っ人の右腕の出来に大きくかかっている。

今季はパ・リーグでトップの得点力を誇りながらBクラスに低迷した。チーム防御率4位(4.98)がそのまま順位に反映した形だ。ただし先発陣はその役割を十分に果たした。佐藤投手21勝、山田投手18勝、今井投手12勝と3人で51勝もしながら弱投の汚名に甘んじなければならなかったのは、ひとえに抑えや中継ぎのリリーフ陣の踏ん張りが利かなかった為だ。チーム完投数が「59」とパ・リーグで断トツだったのも完投しなければ勝てない、とリリーフ陣が頼りにならなかった裏返しでもある。「頼りになるストッパーがいればなぁ…」と嘆く上田監督の姿を何度見た事か。苦肉の策として山沖投手を先発と抑えの両刀遣いをしたが、中途半端な起用で前年の成績(11勝8敗15S)を下回ってしまった(7勝14敗6S)。

レスリー投手の加入で山沖を先発に専念させられる事は大きい。次期エースとして山沖を独り立ちさせる事は阪急の将来にも関わってくる。佐藤と山沖を先発ローテーションの軸にすれば山田、今井の両ベテランに充分な登板間隔を与えて登板させる事が出来る。白井投手など台頭してきた若手投手を先発に組み込めばローテーションの谷間を埋められる。ところでドラフト1位指名の石井投手(日大)は目下のところ計算外だが「彼が大学2年生の頃の状態に戻れば充分戦力になる」と藤井編成部長は言う。いずれにしろこれまで不在だった抑えに新外人を迎える事が出来たのが今オフ最大の戦力強化となった。レスリー投手が期待通りの活躍をすればV奪回も見えてくる。



打線はパワーを補強。守りは鉄壁、投手は豊富。コリャ優勝だ !!
大砲不在で打線に今ひとつ迫力を欠いた日ハム。先のドラフト会議では残念ながら清原獲得はならなかったが広瀬哲朗内野手(24歳・本田技研)、田中幸雄内野手(17歳・都城高)、沖泰司内野手(24歳・スリーボンド)ら課題の内野手を指名することに成功した。更に新助っ人はブリュワー選手に続き大リーグ通算64本塁打のパット・パットナム選手(31歳・ロイヤルズ3A)の獲得も内定した。1位指名の広瀬に関しては「当然、適性を判断してからになるけどショート起用を考えているよ。何しろ社会人ナンバーワン野手なんだから開幕からレギュラーで使う気でいる」と高田監督の期待は大きい。

そもそも清原の存在が無ければ1位指名入札は広瀬だった。駒大時代から走・攻・守三拍子揃った好選手で1年生からリーグ戦にフル出場し、ベストナインにも四度選ばれた。また3・4年生の時は白井選手(現日ハム)と鉄壁の二遊間を組んでいた関係もあり日ハムの評価は大学時代から高かった。本田技研に入社後は打撃も向上し通算打率.446・20本塁打と結果を残した。この広瀬の加入で日ハムの野手の布陣にも変化が起きそうだ。故障がちの高代選手が控えに回る可能性も出てくる。しかし高代の渋い打撃と手堅い守備も捨て難く、二塁へのコンバートも。そうなると白井との定位置争いが勃発する。これに沖を加えた4人の二遊間争いはレベルが高い。

唯一無風状態なのが古屋選手がいる三塁と新外人・パットナムの一塁。また外野陣で不動なのが中堅の島田誠選手。シュアな打撃と5年連続ダイヤモンドグラブ賞の賢固な守りはチームに欠かせない。右翼は新外人のブリュワーで決まり。左翼は順当なら二村選手だが秋季キャンプで急成長し高田監督から「来年こそは一軍定着してもらわなければ困る」とまで言われたプロ8年目となる早川選手がどこまで二村に追いつき追い越す事が出来るか注目だ。投手陣ではドラフト2位指名の渡辺弘投手(22歳・九州産業大)の評価が高い。最速143km の速球とカーブ、スライダーの制球力が抜群で即戦力と期待されている。来季の日ハムの戦力図は新戦力の加入で大きく変わりそうだ。



右上手投げ投手陣に左腕と下手投げの加入でバランス取れるか
杉浦監督は「今年のドラフトは90点がつけられる」と言い切った。左腕投手2人、右下手投げ1人、捕手1人に外野手2人という補強に大満足。加えてトレードでロッテから右の変則タイプの田村投手を獲得。これらの新戦力加入で来季は8年連続Bクラスからの脱却はなるだろうか?南海投手陣の顔ぶれを見ると山内和・山内孝・加藤・藤本修・井上・矢野とズラリと右の上手投げが並ぶ。これに藤田学や大久保が入っても同じだ。期待された左腕の竹口や中条は力不足だった。そこで先のドラフト会議で指名した1位の西川投手(法大)、2位の中村投手(拓銀)はいずれも左腕で、更に5位指名の坂田投手(九産大)は右の下手投げ。

「ウチは右のオーソドックスな投手ばかり。これでバランスのとれた投手陣になる」と杉浦監督も満足げだ。来季の投手陣は競争意識が高まるだろう。両山内や加藤・藤本修・井上ら5人は間違いなく一軍だろうが、残る一軍投手枠5~6を巡って激しいバトルは必至だ。田口・中条・青井・竹口と秋季キャンプで著しい成長を見せた大久保・畠山・矢野、そこに新人の西川・中村・田村を加えた10人で争う。今季は先発どころか中継ぎやワンポイントですら使える左腕がいなかっただけに杉浦監督は「サウスポーが2人は欲しい」と。その点で西川は東京六大学リーグで鍛えられたマウンド度胸の持ち主だけに期待は大きい。

8年連続のBクラスを返上するには課題は多いが、とりあえず投手陣に関しては右投げ一辺倒からは脱却できそうだ。ただし野手陣は依然として課題は残したままだ。例えば捕手陣。香川選手をサードへコンバートする案が首脳陣にあるようだが、香川が抜ける捕手の補強はドラフトで高校生(上宮高・西山選手)1人獲得しただけ。もしも正捕手の吉田選手が怪我をしたら忽ち危機を迎える事になる。また野手に一発長打の魅力を持つ選手が少ないのも寂しい。秋季キャンプの紅白戦で本塁打を放ったのは香川と藤本博選手の2人だけ。相変わらずベテランの門田選手頼りとは情けない。長打が無いならスイッチヒッターに転向した湯上谷選手や足のある佐々木選手の活躍に期待するしかないようだ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« # 601 新戦力 / 西武・ロッテ... | トップ | # 603 師弟対談 ➊ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

1985 年 」カテゴリの最新記事