静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

乗船実習エピソード6

2017年01月06日 13時28分23秒 | 28乗船実習

引き続き乗船実習の様子をご紹介します。

12月7日。
前日に続き、天候が良くカツオが釣れます。
一日で6.1トンを釣り上げました。
特に午後は特大カツオ主体で何度か操業して、生徒も興奮。

12月8日。
天候の良い日が続きます。サメに付く群れを発見、スタンバイOK!

残念、カツオはほとんど釣れません。
小さいマグロ(キハダ、メバチ)が59尾釣れました。
それからシイラ。

12月9日。
朝にサメ付きの大型カツオを漁獲。

餌も残りわずかになり、天候も悪化したため翌12月10日は沖縄に進路をとりました。
乗船実習は約1ヶ月ですが、実際にカツオを釣るチャンスは1週間くらいしかありません。
とても、とても、本物の漁師が釣り上げるようには行きません。
それでも、この経験が重要です。(続きはつぶやきに...)
47期生も数名が遠洋カツオ一本釣りへの就職を目指しています。

【サメ付き】
カツオは流木やヒゲクジラ(プランクトンを食べる種類)、ジンベエザメに群がります。
しかし、海鳥を発見して、その場所に近寄って初めてサメなどがいることが分かります。
流木はともかく、クジラにつくのは大型の捕食魚から身を守るためと言われています。
そして、群れにはカツオだけでなくマグロ類が混在することも珍しくありません。
クジラじゃなく、流木でも群がるくらいですから、マグロが一緒に泳いでいても気にしないのでしょうね。

 園長のつぶやき
こんな話を目にしました。
留学経験やボランティア活動など、多くの経験を積んだ大学生。
就職の面接で
 「留学した経験から言うと...」
 「ボランティアで○○と言う成果があった」
と自信を持って面接官に話します。
しかし、面接官は必ずしもその経験を評価をしません。

と言うのも、
留学は「金を払って得た経験」、
ボランティアは「無償(タダ)のサービスで得た経験」です。
でも、会社が求めるのは
「顧客から代金をいただける仕事が出来る人」
です。
留学もボランティアも貴重な経験です。
だからと言って、「次元が違うところで成果を誇られても...」と面接官は思うそうです。

さて、漁師の場合です。
趣味で釣りをする人はたくさんいます。
漁師は減っているのに、レジャーフィッシングは大人気です。
そして、趣味の延長で漁師になりたいと思う人も居ます。
そのこと自体は、悪いことではありません。

しかし、趣味の釣りではベテランで、技術も名人級とします。
魚を獲ることに絶対的な自信がある。
..だとしても、優秀な漁師になれるかは別問題。
漁業の現場では、何事にも柔軟に対応出来る人が求められます。

例えば、この乗船実習。船酔いなどで辛いことも経験します。
さりとて、乗船実習も「やらせてもらっている」もの。
カツオ一本釣りも、この程度の経験では、プロとして通用しません。

一方で、乗船実習は決してムダではありません。
乗船実習では、実際の漁業現場のシステム(餌の管理、凍結魚のシフトなど)や、カツオを釣り上げる喜びを経験します。
そして、多くの生徒が「思ったように動けなかった」と思うのです。

つまり、自分を知り、漁業の現場を知り、プロの漁師になる心構えを養う実習なのです。
そのため、単に乗船実習をこなすだけでは全然ダメ。
船酔いで辛くても積極的に自分から行動することが重要になります。

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