静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

学園の授業(座学)

2016年07月29日 14時35分03秒 | 学園紹介

「漁師は体力さえあれば良い」と言うのは過去の話です。
漁師を目指していても、勉強は大事ですよ。

学園では毎日8時限が設定されていて、だいたい1~5時限は座学。6~8時限が実習です。
座学は教室で行う講義です。

内容は大きく分けて二つ。
一つは水産、漁業全般の基礎的な、漁師には必須のもの。
一つは海技士資格を取るために必要なものです。
2学期以降は、航海と機関にクラス分けするので、より専門的になります。
具体的にはこんな内容です。

 航海術   海図、海流、航法、航海計器
 運用術   船体構造、操船技術、航海当直
 海洋気象  天気や気圧、風、波浪等
 海事法規  船舶の運航に係る諸法令
 航海術算法 方位、速度、距離等の計算方法
 内燃機関  エンジン、プロペラ、ボイラー等の構造と運転
 補助機械  ポンプ、冷凍機、各種計器
 舶用電気  電気・磁気の知識、電気設備、発電機
 執務一般  機関当直、船内作業
 機関術算法 運動、熱、圧力等の単位と計算方法
 水産技術  漁海況情報、資源管理、加工、流通
 沿岸漁業  沿岸漁船、漁具漁法、経営

すべて漁船員、漁師になるためには必要なことばかりです。
中学で連立方程式、高校で微分積分をやり
「何の役に立つんだ?生活で使うのか?」
と疑問を持った人もいると思います。
学園の勉強は違います。使うことばかりです。

ですから、やりがいがあります。
しっかり勉強すれば、それだけ自分の力になる内容ばかりです。
しかも、生徒側が本気になれば決して難しい内容ではありません。
学園進学をお考えの皆さん、科目は多いですが恐るるに足らずです!

【これからの漁業】
漁師は魚を捕れば良い、と言う時代は終わったと思います。
魚の価格は、何十年も変わっていません。
逆に海の資源は減っています。
沿岸漁業でも、遠洋漁業でも意欲のある人は、捕った魚に付加価値をつけて売ることに取り組んでいます。
一方で、そのような努力をせず「漁業の世界だけ、魚の値段を自分でつけられないのはおかしい」と不満を言う人がいます。
不満を言うだけでは、状況は変わりません。
生徒に「自分から動く人になれ」と言っています。
学園にいるときも、漁師になっても、自らの力で状況を変えていく人材を育てたいと思います。

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漁業高等学園との出会い

2016年07月28日 16時01分32秒 | 学園紹介

私のことではなく、生徒の皆さんがどうして、この学園に来たのかの話です。

今年の第47期生に、この学校を知った経緯を聞きました。
なにせ、知名度の低い学校ですから。

こんな感じです。
 ・漁業就業フェアのブースで話を聞いた
 ・ネットで漁師になる学校を検索してヒットした
 ・進路指導の先生が、偶然知っていて紹介された
変わっているのは
 ・水産高校のオープンキャンパスで紹介された
この生徒は、普通科の高校を卒業してから学園に入学しました。あるいは、
 ・福祉関連の仕事していて、漁船の衛生管理セミナーで卒業生に出会った
などです。

なにか縁があって学園を知り、静岡県で漁師になる...
私は、運命的なものを感じます。

この夏休み期間中にオープンキャンパスや説明会にいらっしゃる方には、そんな気持ちを抱きながら対応させていただいています。

 

写真は今年の入学式後に旗の折り方をやっているところです。休み中で生徒がいないので蔵出し写真です。

【漁師の喜び】
卒業生に限らず、うれしかったことを聞くと大漁の話をしてくれる漁師が多いです。
稼ぎも増えますが、魚をたくさん捕るのは漁師の本性です。
大漁は醍醐味ですね。
漁をしているときの漁師は楽しそうです。

他には、毎日新鮮な刺身が食えるとか。
漁師は魚と言うより、刺身が好きです。
変な話ですが、慰安旅行で山奥に行っても、刺身がないと文句を言ったり...
カレーと一緒に刺身を食べたり...

それと釣り。
釣りが好きで、学園に入学してくる生徒は多いです。
例えばカツオ船に乗って、漁のない空き時間に魚を釣る人を釣るそうです。
まさに「仕事が釣り、趣味が釣り、暇つぶしが釣り」って感じです。

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寮生活

2016年07月27日 08時46分46秒 | 学園紹介

皆さん、ご存じのとおり当学園の大きな特徴が全寮制と言うことです。
水産高校も、海技短大も寮はありますが希望者のみです。

学園の卒業生はロープワークなどが即戦力になることに加え、1年間の寮生活を送ったことが求人側に高く評価されています。
私の経験した寮生活に比べれば、全然厳しい感じはないですが、それでも現在の若者には不自由が多い生活です。
携帯電話の使用時間も制限しますし、外出も6時まで。風呂も順番に部屋別に入ります。

一番の不自由は「自分を守って世話をしてくる親がいないこと」だと思います。
我々は特定の生徒を特別扱いしませんし、自分勝手な行動をすれば見方はいないのです。
そんな環境で、協調性を養い、仲間を大事にする気持ちを育てて欲しいと思います。
漁船で長期航海するのには、一番大事な要素です。

とは言っても、実際には、みんな楽しくやっています。
学園入学希望の方、心配ありません。

親とは違うと言っても、舎監をお願いしているお二人は卒業生の出航を必ず見送りに行っています。
親ではありませんが、親同様に応援しています。

【私の寮生活】
私も中学や大学で寮生活でした。
中学の寮に入った頃のことは良く覚えています。
山の上にある学校で、寮は学校に隣接。
起床後はかけ声を出して上半身裸で走ります。
毎朝の掃除があり、水曜と日曜の夜は大掃除です。
学校が終わり、寮で夕食を取ると、ほとんど勉強時間。
寮にテレビはありません。
食べ物の持ち込みが出来なくて、毎晩空腹でした。
それでも、家を離れての寮生活は楽しかった。
友人、仲間と暮らすのは楽しいものです。

寮の仲間とは、同じ学校に行くのですが、学校の友人とは別物です。
どちらが仲が良いと言うことではありませんが、寮生同士は幼なじみのような感じです。

この学園は全寮制なので、より親密な関係を築いていくと思います。

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卒業生の来園

2016年07月26日 08時30分04秒 | 卒業生の活躍

終業式の日の午後、昨年度の卒業生(第46期生)が学園に来ました。
詳しくは近日中にホームページの「卒業生は今」にアップします。

彼は県外の中学を卒業後、テレビで学園のことを知り入学してきました。
コミュニケーションは得意な方ではなく、教務職員は漁船に乗った後、先輩船員とうまくやれるか気がかりでした。
今は遠洋カツオ一本釣り船の機関員で初航海を終えたところです。
しかし、職員の心配は杞憂に終わり、船の先輩には可愛がってもらい仕事が楽しいそうです。
在学中、10月に海技士4級の筆記試験に合格していますが、その後の試験は受けなかったそうです。
これについては「4級も取っておけば良かった」と残念がっていました。

今年から学園にきた私には、彼の在学中の様子はわかりません。
でも、こうやって卒業生が学園に顔を出してくれ、元気に漁師として活躍しているのを聞くのはうれしいです。

【学園に進学を考えている中学生の方へ】
最近減少傾向ですが、中学卒業後に学園に入学する生徒がいます。
やはり、高校卒業生に比べると肉体的にも精神的にも未成熟であり、現在の学園では高校生を中心に生徒募集行っています。
一方、漁業の世界は学歴より実力です。
資格を取り、意欲と能力と協調性のある人が幹部になっていきます。

15歳で自分の職業を決めるのは大変なことだと思います。
「漁師になる」という自分の気持ちが固まり、1年間の寮生活を含め、勉強や実習に頑張れる人は来てください。
3歳年上の生徒の中でもやっていけます。
漁師になっても大丈夫です。

逆に「行きたい高校がないから」「高校で勉強したくないから」という理由で学園に来ても後悔しますよ。
保護者の方とよく話し合った上、学園への進学を決めてください。

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学園説明会を行いました

2016年07月25日 10時31分56秒 | 日記

夏休みに入り、学園も静か...でもないです。
昨日は学園の運動場で地域のゲートボール大会がありました。
今朝は今朝で、今週行われる中学生のボート大会の津波避難場所に学園が指定されていて、たくさんの中学生が現地確認に来ました。
この中に、来年学園に来る人がいるかも?

さて、23、24日は土日の学園説明会を行いました。
県内から3組、県内2組のご家族でした。

プロジェクターで学園生活、保護者の役割などを説明して、施設をくまなくご案内しました。
私一人で対応したので、あまり写真が撮れませんでした。すいません。
来ていただいた方の了解を取って機関実習棟の見学を撮りました。
大きなエンジンに驚かれていたようです。

進学を考える人は、やはり入学試験に通るかどうかを気にします。
当然です。
とは言っても、今年は受験者が多く31人いましたが、それでも学園に入学すること自体は、難しくないと思います。
今の学力はともかく、学園に入学してから頑張って勉強や実習に取り組める人は是非来てくださいとお話しさせてもらいました。

漁師になる気持ちが強いほど、学園生活も楽しく過ごせると思います。
逆に入学してから、漁師になる気持ちが揺らぐようなら、続かないでしょう。
良く考えて学園に入学するか決めて欲しいとお話ししました。

8月20、21日にも学園説明会を行います。
平日になりますが、8月18日のオープンキャンパスは職員みんなで対応します。
漁師を志望する方、ぜひ漁業高等学園を見て、自分の進路を決めてください。

【学園で取得できる海技士資格】
海技士試験には筆記、口述の学科試験と、身体検査に合格することと、乗船履歴が必要になります。
国が認める機関を卒業すると乗船履歴が在学中の実習で認められます。また学科試験も免除になります。
つまり、卒業するときに海技士資格が得られます。
例えば水産高校を航海系コースを卒業し、2年間の航海専攻科を卒業すると3級の航海海技士資格が取れます。
また、一般高校を卒業後、静岡市清水区にある海技短大で2年間学ぶと4級海技士が取れます。
学園の場合は、このような優遇措置がありません。
そこで、在学中に筆記試験を受け、就職後に3年間の乗船履歴を取り、口述試験を受ける形になります。
海技士資格を取るだけなら、国の認める水産高校、国立の海技士養成校のほうが簡単です。

しかし!ですよ。
学園の生徒も、昨年は2名が3級の筆記試験に合格しています。
つまり、水産高校の3年と専攻科2年の5年かかるところを、筆記だけとは言え1年で取っているんです。
いくら優秀でも、船員になって2,3年で船長になるなんてありません。
机の上の勉強は1年で終わらせ、後は実戦経験を積むことが出来る訳です。
さて、将来の船長、機関長、あるいは漁労長を目指す人にとって近道はどれですか?
自分のために頑張れる人に、この学園の門は開いていますよ。

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