静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

平成30年度(第49期生)をふり返って 8

2019年03月29日 09時17分13秒 | 学園行事

一学期最後の行事が「就職懇談会」です。
何かと言えば「漁業就業支援フェア」のミニ版です。
県内の各種漁業主の方が参加してくれて、それぞれの仕事を紹介してくれます。
  しかも、営業なし!
  ここで勧誘はしないお約束。
だから生徒も安心して、質問、相談ができます。



この時期には多くの生徒が就職先を固めてきます。
そして、二学期からは自分の就職に有利な「航海専攻」「機関専攻」に進みます。

Eメール gyogaku@pref.shizuoka.lg.jp
ホームページ www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-940
学園の見学、お待ちしてます。
詳しくはホームページをご覧ください。

 園長のつぶやき
今年も東京、大阪、福岡で漁業就業支援フェアを開催されます。
詳しくは漁師.jpをご覧ください。
東京、大阪会場には私も参加する予定です。

フェアに参加して思ったことがあります。
みなさん、漁業のことを何にも知らないで来るんです。
「知らないから、フェアに行くんでしょ!」
と言われそうです。そりゃそうだ。

でも、フェアは漁業会社が来場者をスカウトする場でもあるんですよ。
だから、特に若い人はあの手、この手で勧誘されます。

昨年のフェアで、小型まき網にスカウトされた高校生に会いました。
彼は満足そうでしたが
「君なら、もっと大きな船でトップになれる可能性がある。
 若いんだから、チャレンジしたら?」
とお話ししました。
何も知らずにフェアに来て、スカウトされるといい気持ちになってしまう。
それで良いのでしょうか?

学園では時間をかけて生徒の素質や伸びしろを判断します。
その上で、適した漁業を紹介します。
もちろん、遠洋の大型船を希望しても、沿岸漁業を進める場合だってあります。
一人一人の生徒にふさわしい漁業を職員が判断、アドバイスするんです。

この彼も、このまま小型まき網に就職するのも悪いことではありません。
でも、私からしたら「もったいない」と思うんですね。

ですから、せっかくフェアに行くなら漁業の知識をつけてからのほうが良いですよ。
例えば大浦佳代さんの「漁師になるには」を読むこと。最新刊です
https://www.amazon.co.jp/%E6%BC%81%E5%B8%AB%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%AB%E3%81%AF-%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%AB%E3%81%AFBOOKS-%E5%A4%A7%E6%B5%A6-%E4%BD%B3%E4%BB%A3/dp/4831515256
この一冊だけでも、読んでおけば雲泥(うんでい)の差。
自分に合う仕事に出会う可能性がグンとアップです。

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平成30年度(第49期生)をふり返って 7

2019年03月28日 09時25分47秒 | 実習

一学期末、暑くなってきた頃に待っているのが水に入る実習。
水泳と潜水です。

学園生でも泳げない人は毎年数名います。
だから泳げないことを理由に漁師をあきらめる必要はありません。
学園生の多くは、水泳実習で泳げるようになります。
でも、2キロの遠泳ではフロートの補助具を付ける場合もあります。



潜水は、ほとんどの生徒が初めての経験。
楽しい実習だと思います。
かと言って、現在の漁業でアクアラング潜水はほとんどありません。
しいて言えば、定置網で網の張り替え作業のときです。
楽しい実習ですが、一週間を使うのはちょっともったいない気がします。



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 園長のつぶやき漁業の中で泳ぐものがあります。
それは「海外まき網」。
ぐるっとカツオをまいた網に新人が飛び込み、泳いでロープを取りに行きます。
だから就職するときに泳げるかどうか聞かれます。

そして潜水ですが、漁業で潜るのはヘルメット潜水です。
  以前はスクリューにからんだロープや網を潜ってはずす作業がありました。
  今は危ないのでやらなくなりました。
学園で取得する資格は民間のCライセンスと呼ばれるもの。
レジャーで潜水するには、これがないと空気ボンベなどをレンタルできません。
ですが漁師を含めた業務用には不要。
仕事で潜水にするには、国家資格である潜水士免許が必要です。

学園で学ぶのは、漁師として必要なものを選んでいます。
しかし、就職先によっては、使わないものもあるし、足りないものあります。

漁業の世界も、学園の生徒も年々変化しています。
時代遅れにならないように、カリキュラムも考えなくては行けませんね。
実際に30年度も実習時間を増やしたんですよ!

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平成30年度(第49期生)をふり返って 6

2019年03月27日 13時16分34秒 | 授業・講演

外部講師を呼ぶなかで、一番多いのが水産技術研究所です。
学園の隣にあった研究所も、昨年はちょっと約1キロ離れた場所に移動しました。
とは言っても、研究所とは職員が行き来しているので親密です。
学園の職員は前職が研究所なんですよ。

1,2学期は週一で研究所に授業をしてもらっています。
話しはいろいろ。
 カツオやサバなどの魚の話し。
 あるいは缶詰めやカツオ節などの加工品。
 6次産業化のサポートや資源管理など。

話を聞く以上に大事なのは、毎週変わる講師に対して、学園生が質問をすること。
変な質問をしても、バカにされることはありません。
でも、質問するには勇気は必要です。
初めて会う人に自分から発言をする良い練習の機会にもなっています。

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 園長のつぶやき
小さい学校にはメリットもあればデメリットもあります。
実はメリットがたくさんあるんですよ。
私が痛感するのは融通(ゆうづう)がきくこと。
例えば研究所の職員を呼ぶときも、講師の都合で授業時間を変更することもあります。
あるいは外部からの視察に合わせて実習を行うなど。
「卒業生が来てくれたから、話を聞こう!」
というのも、良くあります。

大きな学校では、一つを変更すると、玉突きで変更が出てきます。
学園ではそれがありません。
小さい学校の苦労もありますが、良いことのほうが多いんじゃないかな?

4月から少し大きくなる学園ですが、それでも定員が30人。
高校なんかとは規模が全然違います。
でも、小さいなりの良さを活用しますよ。

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平成30年度(第49期生)をふり返って 5

2019年03月26日 11時35分58秒 | 学園行事

一学期の大事な実習に溶接があります。
私も学園に来たときに
「なんで溶接?」
と思ったんですが、船の上で実際に溶接するんですね。
思えば私が生まれた小さな漁村でも、小さな溶接作業場がありましたっけ。

学園生はガス溶接を電気溶接を実習します。
講義はちょっと難しいですが、寝ないで聞くのが大変。
でも、実技はみんな楽しくやっています。


実習をするのは静岡市にある静岡県清水職業訓練校、通称「清水テクノカレッジ」です。
学園もそうですが、県立の職業訓練校はいろいろあります。
しかも、授業料がなかったり、格安。
でも、人気はなく入学しやすい。
お勧めです!


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 園長のつぶやき
仕事に就くには一歩踏み出す勇気が必要です。
例え頭脳が優秀でも、仕事に就く勇気がなければ大学出のニートになります。

一方で、早くから踏み出した人。
中学や高校で、勉強はダメだったかも知れません。
高校卒なら大卒より4年早く仕事に就きます。
この4年は大事です。
漁師もそうですが、技(わざ)が求めらる仕事は特に。
若いときほど習得が早いからです。

今はほぼすべての人が高校に進学し、さらにその多くが大学に進学します。
もちろん、大学で得る知識は大事です。
でも大事な4年間を大学で学ぶことが最善かどうかは人によります。

周りが大学に行くから自分も...となりがちです。
大学に行くなら、仕事に就く勇気はいりませんからね。

でも、上に書いたようにお金のかからない職業訓練校もたくさんあるんですよ。
それは世の中が現場で活躍する技術者を必要としているからです。
漁師も現場で働く技術者です。

「漁師なんか、なんの訓練もいらない」
と思っている人も多いかも知れません。
漁師の仕事を安易に思っている人が、一流の漁師になれるでしょうか?

職業訓練校は大学に行けない人が行くところではありません。
その道で一流を目指す人が行く場所です。

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平成30年度(第49期生)をふり返って 4

2019年03月25日 13時10分37秒 | 学園行事

学園ではひんぱんに校外授業を行います。
主に施設見学や校外での研修です。

最近、行っているヤマハ発動機さんでのエンジン組立。
ゴーカートという小型レーシング車のエンジンが教材です。
出来上がっているエンジンを分解し、元通りに組み立てます。
ヤマハのエンジニアが付きっきりで指導してくれます。
機械を扱う楽しさと、本職のエンジニアの話が聞ける大事な研修です。


そして魚市場。
市場は海で捕った魚が漁師から消費者に渡る入り口です。
今の生徒は、市場も見たことがない人がほとんどなので貴重な見学です。
写真は近海カツオやさまざまな沿岸漁業の魚が水揚げされます。
ついでに漁協職員の話も聞かせてもらうのも勉強になります。


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 園長のつぶやき
なかなか魅力の伝わらない仕事。
その一つが遠洋マグロはえ縄漁業です。
日本人が一番好きな魚はマグロです。
なかでもおいしさで言えばクロマグロ(本マグロ)とミナミマグロ(インドマグロ)です。

クロマグロの漁師は、テレビ番組の「大間のまぐろ」で知られるようになりました。
大間でマグロを追うのは冬の一時。
それに対して、遠洋マグロは寒い海に出掛け、一年中マグロを捕ります。
大間との違いはもう一つ。
遠洋マグロは大きな船で、チームワークで魚を捕ります。

一人でマグロを追うのもカッコイイですが、チームワークでも個人の力量が問われます。
漁師をまとめるエース級の漁師は、それはすごい人です。

この辺が、なかなか人に伝わらないのが残念です。
4月からは、マグロ漁師の魅力についてお伝えすることもがんばりますね!

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