静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

駿河丸の見学

2016年04月28日 14時41分30秒 | 研修・見学
隣の水産技術研究所の調査船、駿河丸を見学しました。
調査船ではありますが、構造的には漁船に近いので生徒の教材には適しています。

研究所では、数年前まで遠洋調査船の富士丸も所有していましたが、現在は焼津の本所の船は駿河丸だけです。
この船は平成7年に作られた4代目です。
134トンなので、300トンクラスのマグロ船などより、ちょっと小さめです。

かつては、マリアナ沖までウナギの産卵場調査に行きました。そこで発見された海底の山に「スルガ海山」の名前がつきました。
調査船が1隻になったことで、スケジュールがびっちり。なかなか、すべての研究要望に応えられないのが実情です。
学園の教員は、駿河丸の乗船経験もあるので生徒への説明はバッチリです...
が、今回は駿河丸の船員が、すみずみまで詳しく説明してくれました。


【富士丸】
初代の富士丸は明治39年に竣工されました。
なんと、日本で最初の動力漁船です。
富士丸が動力漁船による沖合、遠洋漁業を実証したことから、日本中で動力漁船が作られるようになりました。
日本で最初のマグロ油漬け缶詰は、静岡県水産技術研究所が作り、その名も「富士丸ブランド」として売り出されました。

最初のツナ缶のレプリカ。FUJIMARUと書かれています。


最後の富士丸は昭和63年3月に竣工した七代目で、平成21年に廃船になりました。富士丸の廃船で、遠洋域の調査ができなくなりました。

しかし、焼津は遠洋漁業の基地です。
研究所では最新の人工衛星情報を利用して、漁場予測などを研究しています。
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ロープワークのいろいろ

2016年04月27日 14時44分06秒 | 研修・見学
もやい結びを現場でやる実習をご紹介しましたが、学園では多くのロープワークを学びます。
まだ4月ですが、黒板に書いてあるように、いろいろな結び方をやっていますよ。
私も学園に赴任して、こんなに多くの結び方を覚えることにビックリです。


担当職員が生徒の前でやり方を説明します。
疑問点があれば、マンツーマンで教えます。

実習棟には各種結び方の見本が飾ってあります。
昼休みには実習棟にきて、自主的に練習する生徒も多いです。


ロープワーク以外の実習もありますが、基本的な結び方は卒業までの間に繰り返しやってもらいます。


「飽きる」ほど、と言うより「飽きても」やる感じです。
当学園は、生徒数を上回る求人をいただいていますが、このような基本的な技術をしっかり習熟していることを評価していただいていると思います。



【漁師は危険な職業か】
当学園の実習はロープワークに始まります。
これは、どんな漁業種類でも使う場面が多いこともありますが、ロープで様々な物を固定することは、安全に直結するからです。

荒れた海は危険ですが、現在の我々は気象衛星、レーダーなどにより天候の予想ができます。
海に対する正しい知識と技術、そして判断力があれば、必ずしも海の仕事が危険とは言えないと思います。
これは、陸でも空でも同じことで、海の上が特別ではありません。

当学園の生徒には、知識と技術と判断力の重要性を、しっかりと理解し、事故をおこさない漁師に育って欲しいと思います。
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もやい結び

2016年04月26日 13時21分34秒 | 実習
「もやう(舫う)」とは杭などに船をつなぐことです。
船を係留するために、ロープを結ぶときは文字どおり「もやい結び」を使います。
係留に使うわけですから、それこそ毎日使います。
日頃、屋内で練習していますが、今回は船のある現場での実習です。

もたもたしていると、船が流されてしまうので、素早く、正確にできることが重要です。
係留に使うロープは、練習に使っているものより太くて頑丈な物なので使い勝手が違います。しっかり覚えたつもりでも、手間取っている生徒もいました。



動画もアップしましたので、ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=SKQ3LdRzELo

【もやい結び】
簡単な結び方ですが、いろいろな場面に使えることから「結び目の王」と呼ばれているそうです。

この結び方の特徴です。
・力がかかっても結び目が動かず、輪の大きさがかわらない
・自然に解けにくいにもかかわらず、簡単に解くこともできる

このため、海に落ちた人を助けるときはもちろん、屋根の上にバケツを上げるときとか、テントを張るペグの取り付けなど、日常生活で使う場面がたくさんあります。
ロープでなくても、糸や紐などにも使えるので、覚えておくと大変便利な結び方です。

習得したい方は「もやい結び」で検索してください。
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巨大なエンジン

2016年04月25日 11時00分34秒 | 研修・見学
機関実習棟にある主機関を、これからの実習に向けて試運転しました。
せっかく動かすので、生徒に漁船のエンジンが動く様子を見てもらいました。
エンジン、巨大です。ピストンがバケツくらいあります。

この主機関はターボチャージャー搭載のジーゼルエンジンで600馬力です。
大きな漁船のエンジンはターボ付きが当たり前のようです。
同じジーゼルエンジンでも、自動車より一桁少ない回転数ですが、作動音が大きいのでメガホンを使って説明です。

この機関実習棟には、レーダーやオートパイロットなどのシュミレーション装置もあります。



【機関の学習】
自動車学校の教習でも、昔はエンジンなどの構造説明がありましたが、今はほとんどありません。今の自動車は、めったに故障しないし、壊れてもJAFなどが助けに来てくれます。
当然、海の上では簡単に修理を呼べません。
ですから、大きな船には専門の機関士がいて、航海中の機関を保全します。
大事な仕事ですが、役割は機械の保守だけではありません。

自動車ではエコカーが増えてきましたが、燃費が良くなる運転をすることが重要です。
大きな船では使う燃料も多いので、燃料の節約も大きな差になります。
優秀な機関士は上手にエンジンを調整するので、大きな経費削減になります。
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校外学習

2016年04月22日 11時20分40秒 | 研修・見学
今回は静岡市にある、県の施設を校外学習したことをご紹介します。

地震防災センターにはTSUNAMI(津波)シアター、起震装置などがあり実際に体験しながら防災の学習ができます。
この施設があるのも、東海地震に備える静岡県ならではです。

熊本、大分で地震による大きな被害が発生していることから、生徒諸君も熱心に見学していました。


水深が浅くなると波が高くなることが分かる装置もありました。
津波の時に、漁船を沖にだすことの意味が分かったと思います。


続いて、今年オープンした、ふじのくに地球環境史ミュージアムです。
ここは長い時間が確保できませんでしたが、展示室3「ふじのくにの海」で駿河湾や生息する生物について勉強です。
ここに展示している生物標本ですが、学園の隣にある水産技術研究所から多数を寄贈しています。



【駿河湾】
駿河湾は最深部で2500mの深さがあります。
海岸から急に深くなる地形を利用して、焼津漁港内では海洋深層水を取水しています。
駿河湾の特産と言えばサクラエビです。
でも、サクラエビ自体はそれほど珍しい生物ではなく、駿河湾以外にも見られます。
ただし、漁業が成り立つほどの生物量が存在するのは、日本では駿河湾だけになります。
サクラエビは時間帯によって生息水深を大きく移動するため、深い海が必要です。
そして、駿河湾は富士川などの大きな河川から養分を供給されます。
こんな条件がそろっているからこそ、駿河湾はサクラエビが多く生息する豊かな海になっています。
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