静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

学期末大掃除

2018年07月31日 11時16分44秒 | 学園紹介

7月最後のブログは大掃除です。
普通なら、
「この暑いのに、掃除なんかやってられるか!」
って声がありそうですが、翌日は終業式。
夏休みを前に、生徒は元気に掃除をしてくれました。


8月にはオープンキャンパスもあるので、目につくところ、目につかないところ、全部キレイにしました。
航海実習棟はシューズのゴムが床にこびりついているので、プラスチック定規でひとつひとつ削り取ります。
なんか、効率的な方法ないですかね?

暑いので、上半身は裸でやる生徒も多数。


門の蝶番(ちょうつがい)は、グリスアップもしておきました。

オープンキャンパスも、残るは私の準備だけ!かな。
明日からのブログは一学期中の未使用写真を、私のつぶやきと共にご紹介します。

学園見学のお申し込み、入学のお問い合わせは電話、Eメールで。
電話 054-626-0219
Eメール gyogaku@pref.shizuoka.lg.jp

8月のオープンキャンパスの申し込みを受付中です!
詳しくはホームページをご覧ください。
www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-940

 園長のつぶやき
昨日に続き、運転免許の話しです。
学科試験だけで簡単に取得できるものがあります。
そう、原付免許です。
50cc未満のオートバイ(以下、原付)が運転できます。
制限速度は時速30kmです。

この原付バイクですが、小さいし、スピードも出ないので比較的安全と思っている方がいます。
だから、息子さんが
「バイクに乗りたい」
と言ったときに
「原付なら良いよ」
ってことになります。

実際には、話しはそんなに単純じゃないですよ。
原付免許が学科試験だけで簡単に取得できるのでお手軽です。
一方で、50cc以上のオートバイは自動二輪運転免許が必要です。
クルマと同じで、自動車学校に行き、学科、技能の講習を受けます。これに意味があります。

加えて原付の制限速度、時速30kmが必ずしも安全でないこと。
クルマの少ない道路ならともかく、通行量が多い道では原付はどんどん抜かれます。
抜かれやすいように左端を走りますが、それでも危ないです。
すぐ横を大型ダンプが抜いて行くんですよ。

他にもブレーキを含む車体の作りがチャチなど...
街中では原付より大きなバイクで、クルマと同じ速度で走る方が安全なことが多いです。

そして、原付に乗るにしたって自動二輪免許取得者の方が安全面で有利です。
それはオートバイの特性を良く理解しているし、運転する時の技能も高いからです。

前置きが長くなりました。
船の免許は20トン未満の「小型船舶操縦士免許」と20トン以上に必要な「海技士免許」があります。
沿岸漁業で使う船は、ほとんど20トン未満。小型船舶の免許は数日の講習で取得できます。
学園の生徒には
「自分は沿岸漁業だから、海技士はいらない」
と言って、勉強をしない人がいます。
確かに、海技士試験に合格するのは簡単じゃないですからね。
ですが、海で仕事をする以上、船についての高度な知識、技能がある方がより安全に操業できることは言うまでもありません。

学園には以前、「沿岸漁業コース」がありました。
今はもうありません。
沖合、遠洋の大型漁船に乗る技術があれば、沿岸漁業はカバーできると言うことです。
例えば、海技士になるために勉強する海事法規(かいじほうき=船を運航する時の法律)や気象...
沿岸で小型船を使う時にだって必ず役に立ちます。

優秀な漁師は魚をたくさん捕るだけでなく、安全に操業できる人のことですよ

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ロープワークの学期末試験

2018年07月30日 13時12分35秒 | 実習

週末は台風一過でした。
皆さんは、被害がありませんでしたか?

7月28日は見学の予定が入っていました。
最悪、帰ることができないことが予想されたので、日を変えるようにお勧めしました。
来園を楽しみにしていたと思いますが、ごめんなさい。
でも、結果的には良かったかな?

今日のブログは、ロープワークの学期末試験です。
ロープワークはもっとも船上で使う技術です。
学園では、約30種類の結び方を4月に行います。
で、その後も刺し継ぎなどをやる前に結び方を復習します。
だから、全員がすべて覚えているはず!
・・・まあ、そんな建前どおりには行きません。

結果は、だいたい覚えている人もいれば、だいたい忘れている人まで!
「しょんないTV」のロケでやった命綱結びも忘れている人多数。
指示された結び方ができたらロープをあげます。


正しくできたか、先生がひとりひとりチェックし、後で結果が廊下に張り出されました!

できない結び方は夏休み中に復習するように宿題です。
すぐに忘れてしまうのがロープワークの難しさ。
忘れるのは当たり前。
だから、繰り返しやる。
卒業までには、しっかり全部を覚えてもらいます。

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 園長のつぶやき
クルマの運転免許を取得する方法はいくつかあります。
一番安くすむのは運転免許試験場で試験を受ける方法。
「一発免許」などと呼ばれます。

でも、多くの人はお金のかかる指定自動車学校に行きます。
費用がかかっても、メリットが大きいことが分かっているからです。
それは、一定期間内にほぼ確実に免許が取れるから。
他にも良いところはあって、実はその方が大事かも知れません。
 性格などの分析があり、運転で特に注意することを教えてくれる
 正しい運転技術の指導がある
 事故につながる危険な行為を教えてくれる
 運転操作に習熟(しゅうじゅく)できる
などです。
取得した免許は一発免許も自動車学校も同じ。
でも、免許取得後に事故を起こさずに運転できるかどうかは差があるかも知れません。

漁師になることを考えると、同じ状況があります。
特に器用な人は、学園のような学校に来なくても漁師としてやっていけます。
ただ、自分が器用さのレベルは分からないはずです。
実際には、見よう見まねで、すぶに作業を覚えるほど器用な人は少数です。

安全面も同じです。
先週のブログでご紹介したように、学園では多くの時間を割いて海難防止、海上安全を教えます。
日頃の授業、実習でも安全と身を守ることを教えます。
加えて幹部漁船員になるための勉強、資格も取得するので一年間は決してムダではないはずです。

クルマの免許なら、自動車学校に行くことを選ぶのが普通です。
しかし、漁師になる場合はどうでしょう?
学園の知名度が低いこともありますが、
漁業修業支援フェアでの反応を見ると、例え学校があることを知っても面倒に思う人が多いようです。

現実は一発免許もなかなか合格せずに挫折する人も少なくありません。
漁師の場合、就職はできちゃうですが、1年後に残る人はわずかです。
クルマの免許と同じで、学園でしっかり勉強と練習をすれば、必ず漁師としてやっていけますよ!

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海難防止の講義

2018年07月27日 14時21分32秒 | 授業・講演

夏休みに入り、静かな学園となっています。
さて、まだご紹介していなかった先週のお話しです。

私の大学時代に歌った水産逍遥歌の一節
「波の彼方の南氷洋は
 男多恨の身の捨て所
 胸に秘めたる大願あれど
 生きて帰らん望みは持たじ

これを歌ったのは三十年以上前です。
でも、その時も違和感ありました。おかしいよ。
生きて帰らなければダメです。
昔の遠洋の海は、未知の世界であり、船の生活も今より過酷。
ここまで思い詰めなければ出漁できないこともあったんでしょうね。

現在は全然違います。
遠洋漁船の海難はほとんどありません。
大事なのは海が危険であることを認識した行動です!
・・・と私が言っても説得力がないので、清水海上保安部の方に来ていただいての講義です。

グループディスカッションにより安全を考えたり、最新のライフジャケットの使い方を教えていただきました。

漁師を含めて、ライフジャケットを着けない人は現在でもいます。
これが生死を分けますよ。
面倒がらずに必ず装着してくださいね。

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 園長のつぶやき
今日の午前中に見学がありました。
・・・かなり遠い県からです。
で、この人は水産高校を卒業して、すでに1年以上漁船に乗っています。
そう、もう漁師なんです
それでも、静岡県の大型漁船に乗りたいと言うことで来てくれました。
若い人が、現状に満足せずに上を目指すのはすばらしいです。
帰るまでに、ちょっと時間があったので焼津漁港内を案内しました。
海まき船がお気に入りのようで、目を輝かせて見ていました。
来年、入学してくれたらうれしいなぁ。
今年も水産高校から2名が入学しています。
年々、良い人材が増えているのを感じています。

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定置網漁業の体験

2018年07月26日 10時36分52秒 | 研修・見学

夏休みに入り、静かな学園となっています。
さて、まだご紹介していなかった先週のお話しです。

一学期中は多くの漁業のことを勉強します。
そして二学期の終わりには、自分がどんな漁業に就くかを決めることになります。
今回は焼津にある定置網漁業を見学です。
見学させてくれたのは有限会社長谷川漁業践団さんです。

当日は午前2時に起床。
徒歩で小川市場(焼津漁港内)に移動、3時に本船と補助船に分かれて乗船し3時に出港です。
夏とは言え、真っ暗です。

十数分で網に到着。
港から近いのが定置網の魅力の一つです。

一隻で揚網する場合が多いですが、ここでは二隻でやります。


あいにく、大漁という状況ではなかったですがアジ、サバ、イワシを中心にたくさんの種類が入網していました。

5時には港に戻り、小川市場に水揚げ。
魚の仕分けなど、生徒もお手伝いさせていただきました。


生徒にとっては、初めて見る漁業の現場。
漁師のムダのない動きに、感心していました。


6時過ぎに作業が終了。
7時には生徒も学園に戻りました。
この日は、授業も午前中だけで終わりにしました。

【沿岸漁業とライフスタイル】
沿岸漁業の多くは日帰りで、午前中に仕事が終わります。
定置網の場合、水揚げの後に網の手入れがあったりしますが、それでも昼には終わりです。
釣り漁業では「あさばづめ」と言って、日の出前後の時間を狙います。
季節によって日の出の時間が変わりますが、漁場まで1~2時間、走る時間を考慮して出港し午前中に水揚げです。
だから沿岸漁業の漁師と会合をする時は、だいたい午後3時スタートです。
つまり、午後は仕事がなく自分の時間を作ることができます。
サーフィンなどのマリンスポーツをしたり、副業をしたり。
沿岸漁業の魅力の一つです。

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7月の見学会は28日と29日です。
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 園長のつぶやき
沿岸漁業では、自分の時間を多く持てるのが魅力。
でも、自由な時間がたくさんあっても、ほとんどの人は持て余します。
たくさんあれば、幸せという訳でもないのです。
学園の寮生活で、自由時間は17:00から20:30です。
この間に夕食もあるし、入浴、洗濯もしなくてはなりません。
そこで、限られた時間をどうするか?考えることになります。
これが本当に大事です。

お小遣いでも無限にもらえるなら、使い道を考えたりしませんよね?
限度があるから、本当に欲しいものを考えます。
「お小遣いが少ない!」
と不満なあなた!少ないのは意味があるんですよ!

お金は就職すれば、たくさんもらえるかも知れません。
漁業種類によっては、初任給で私の倍以上になることもあります。
(お金がたくさんあっても、無駄に使ってしまうんですけどね...)
でも、時間はみんな同じ。
寿命は人によって違うでしょうけど、20歳代の10年間は、誰でも同じ10年です。
時間を有効に使うことは、お金の使い方より大事です。

時間に制限があるから、自分のやりたいことが見えてきます。

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かつお節のお話し

2018年07月25日 10時43分03秒 | 授業・講演

夏休みに入り、静かな学園となっています。
さて、まだご紹介していなかった先週のお話しです。

ちょっと、中断していた水産技術研究所の講師による授業です。
今回はかつお節。
場所は学園ではなく、新しくできた研究所です。
なぜ研究所かというと、研究所には実際にかつお節を作る装置があるからです。

まずは講義でかつお節の作り方を勉強。

そして、「本枯れ節」と言うカチカチのかつお節を生徒に削らせてくれました。
できたての削り節の香りと味を堪能(たんのう)しました。


つぎに展示室の奥にある加工場に移動。
焙煎(ばいせん)する手火山などの装置を説明してくれました。


ついでに新しい展示室を見学して終了です。
この展示室、とても楽しくできています。
お勧めですよ!


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 園長のつぶやき
昨日の続き、学園と宮崎県高等水産研修所(以下、高水研)の違いです。
1年で漁師を育てるのは学園と同じです。
具体的な違いを見ていきます。

1 卒業後の就職先
宮崎県の主要漁業である近海一本釣りカツオ船(100トン前後)と近海のマグロはえ縄(19トン)などに就職します。
学園の就職先は遠洋(300~500トン以上)、近海の大型漁船(100トン前後)が中心です。

2 海技士の勉強
大きい船では海技士免許も上級のものが必要になります。
ですから学園は海技士の勉強は周年行い、筆記試験も10月、2月、3月に受験します。
多くは4級に合格し、がんばって3級合格する人もいます。
高水研では12月に5級を受験します。

3 入学者
高水研は1年の本科(定員20)と半年の専攻科(定員10)があります。
本科の入学対象は中学卒業者です。専攻科は高校生以上でも入学できます。
学園は近年、入学対象を高卒者以上にシフトしています。
中学卒業者も入ってきますが、半数以上は高卒です。
また、高水研は入学時に航海、機関のコースを選びます。
学園も昔は同じでしたが、現在は二学期から航海、機関に分かれます。

4 実習
高水研は宮崎県の水産試験場の調査船「みやざき丸(199トン)」で2週間ほどの実習をします。
カツオの一本釣りなどの漁労作業と甲板作業を実習します。
甲板作業も大型船の方が高度なものを求められます。
学園の遠洋航海実習は水産高校の専攻科生と一緒です。
使う船は水産高校の実習船「やいづ(559トン)」です。
一ヶ月の航海で、グアム島近くでカツオの一本釣りを行います。
専攻科生は本科3年を卒業し、2年間で三級海技士取得をめざす人たちです。
遠洋実習では彼らと同等の働きをしなくてはなりません。
甲板作業も自分から動かないと見ているだけで終わってしまいます。
加えて、機関と航海の当直も専攻科生と一緒に行います。

...分かりにくいですね。
ざっくり言うと、学園の方がやることが多いて、内容も厳しいです。
授業も高水研は50分で6コマ、学園は45分が8コマだし。
でも、誤解しないでください。
我々も生徒を見ながらやっています。
学園が厳しいから、つらいからと言う理由で退学する人はいません。

もちろん、宮崎県と静岡県で県民性が違うので、合う、合わないがあるかも知れません。
漁師になるために、どちらの学校に入学するか。
それは「どんな漁師になりたいか」で決めるのが良いと思います。

最後に実習船の名称。
高水研は「わかたけ」、学園は「わかたか」
ここまで似ているのは偶然(ぐうぜん)??

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