静岡県立漁業高等学園は、創立50年。一流の漁師になる近道です。

漁師をめざして、がんばっている生徒たち。
30歳までの若者が全国から漁業の街、焼津に集っています。

乗船実習エピソード3

2016年12月28日 13時28分18秒 | 28乗船実習

ブログも今年の最終営業日?になりました。
学園ホームページのトップページをちょっとリニューアルしました。
左はじのメニュー
「卒業生は今・・・」「ブログ」
を分かりやすいように変更。。
漁師を目指す人には、このブログより参考になるかも?
ぜひご覧ください。

さて、3学期に生徒が戻るまでは、乗船実習の様子をご紹介します。
昨日の続きです。

11月29日。鹿児島での上陸研修を終え、鹿児島港を出港。
鹿児島湾奥部に位置する霧島市隼人町に向かいます。
薩摩隼人の隼人です。

ここでは海面養殖されている生き餌のイワシを積み込みます。
バケツリレーです。

積み込むと、甲板を掃除。

薩摩富士と呼ばれる開聞岳を後にして、いよいよ漁場に向かいます。退船訓練も行いました。

再び当直が始まり、レーダー距離による自船の位置の確認や、機関日誌などの実習です。

11月30日。
一本釣りを行う準備です。
まずは、海に落ちないための安全帯を装着確認。
学園の実習で自分で作ったバケ(疑似餌)を取り付けます。

前日に積み込んだイワシの管理も行います。

自習時間にはお勉強。

しかし、外洋にでたら再び船酔いに襲われました。

さて、ブログも明日からお休みをいただきます。
来年は1月4日にスタートです。
みなさん、良いお年をお迎えください。

学園生はしっかり勉強してね!

【疑似餌と生き餌】
釣り上げる漁業で餌はつきもの。
普通は小型の魚を丸ごと使うか、切り身を使います。
生ものなので使い捨て。出漁前に餌の魚を仕込まなくては行けません。
この点、疑似餌は多くのメリットがあります。
腐らないし、何回も使い回しが出来ます。
目が発達しているイカは疑似餌に良く反応するので、イカ釣りでは疑似餌が大活躍。
しかし、海の中は陸上ほど見通しが良くないので、多くの魚は臭いに反応します。
マグロはえ縄の疑似餌も、なかなか釣れないようです。
そして、一番反応がよいのが生き餌。
自然界で魚が切り身を食べていることはなく、生き餌は本来の食べ物。
カツオの一本釣りなんて、群れの上に大きな船を付けるので、生き餌がないとカツオが逃げます。
生き餌と疑似餌は、いわば両極端な存在ですが、それを組み合わせて使うのがカツオの一本釣り。
良く考えられた漁法です。
  
 園長のつぶやき
4月に私が新スタッフとして加わり、今年のブログも最終日を迎えました。
今年の学園は今までにないことがたくさんありました。
まず、2月には現在の定員になってから最も多い受験者が来ました。
8月の県民の日に恒例の中学生対象わかたか体験乗船を辞めて、
ロープワークなどの体験実習を含めたオープンキャンパスを初めて実施。
参加者が多くて大変でした。
秋には水産庁の研修生を受け入れたり、小川港さば祭りへの参加など、初めてのイベントもありました。
加えて、漁師の学校を作りたいという外国の方、あるいは水産関連の国会議員など多数のお客様がいらっしゃいました。

そして、学園の主役である生徒。
4月に入学した47期生も学園生活の3/4を消化しました。
脱落者もありましたが、残った生徒はみんな頑張っています。
海技士定期試験は、10月では学園初の4級機関合格者がありました。
漁師になって学園を巣立つ日も近くなってきました。

そして、来年の2月は48期生の入学試験があります。
どんな人が来るのか楽しみです。
試験ギリギリまで学園の見学はOKです。
休日希望の方もご相談にも乗りますよ。

それでは、来年も学園と漁業の魅力をお伝えするように頑張ります!

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乗船実習エピソード2

2016年12月27日 13時17分04秒 | 28乗船実習

実習で特大カツオを釣っている様子をYouTubeにアップしました。
これが船酔いも消し飛ばすカツオ釣りです!
https://www.youtube.com/watch?v=5DthsroVRdg&t=1s

3学期に生徒が戻るまでは、乗船実習の様子をご紹介します。
昨日の続きです。

11月27日、鹿児島港に到着。
全員で入港作業を行います。
入港作業で積極的に動けるかどうかが一つのポイントです。

そして、上陸研修。
維新ふるさと館や城山展望台などを回りました。

城山の下にある、天文館という繁華街。
老舗のかき氷屋「天文館むじゃき」があります。
果物が入った大きなかき氷「白熊」で有名です。
だれかチャレンジしたのかなぁ?
この大きなかき氷の置物、30年前からありましたよ。

翌日の28日も上陸研修の続き。
碇泊中も点呼で一日がスタート。バックに写るのは桜島です。

その桜島や、鹿児島港水族館などに行きました。

みんな、良い思い出になることでしょう。

【競合する鹿児島県】
一次産業の分野では、静岡県と鹿児島県では多くの産物で競合しています。
主なものは、お茶、ウナギ養殖、カツオ節です。
特にカツオ節、薩摩半島の先にある枕崎、山川が二大産地。
カツオ節は焼津、枕崎、山川がそれぞれシェア1/4、残りが輸入品です。
カツオの主漁場である赤道近くからは焼津より枕崎などの方が近くなります。
カツオ船は漁場と水揚げ港のピストンなので、鹿児島県の方が日数も燃料の節約できます。
このため、焼津のカツオ節業者も枕崎、山川に工場を持つ場合が少なくありません。
地理的に不利な焼津ですが、業界も県も焼津独自のアドバンテージを持つべく知恵を絞っています。

 園長のつぶやき
このブログですが、一日当たり100~200人の方に訪問していただいています。
ページ閲覧数が、訪問者の5倍くらいなので、皆さん週一でご覧になっているんでしょうか?
数字上は毎週、千人以上の方にご覧いただいていることになります。
ちにみに昨日の結果です。
2016.12.26(月)  閲覧ページ 623 、訪問者 176 、順位 5,413 位 / 2,648,886ブログ
(ランキングはgooブログ内のもの)

閲覧者の数字が多いのか、少ないのか分からないんですけど、この人数だと生徒の保護者の方や卒業生だけではなさそう。
全国の漁師になりたい人には見て欲しいけど、見てくれてるのかなぁ。
...もしかして、このブログを見て学園に来るのを辞めている!?
そんな人もいるでしょうけど、誰がこんな限定ネタをご覧になるのか?
この謎を解くためにも(笑)、コメントを書いてもらうと嬉しいです。

私としては、一人でも意欲あふれる若者が学園を目指してくれるよう、日々ブログをしたためています。

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乗船実習エピソード1

2016年12月26日 11時35分01秒 | 28乗船実習

生徒たちは、先週の終業式後に帰省しました。
3学期に生徒が戻るまでは、乗船実習の様子をご紹介したいと思います。

11月25日の華やかな出航式。

直後、海の上から安全祈願のお参り。

そして船内で初の昼食。ここまでは順調でした。

午後に御前崎を過ぎると船が揺れだしました。
ここで船酔いが急増!15人中の9人です。
特に学園の「わかたか」で酔ったことがない生徒は、自分が船酔いしない自信がもろくも崩れ去り、大きなショックだったようです。実は、小舟に乗っている漁師でも、大型船で酔うのは良くあることです。

全然元気な人も居た訳ですが...

さて、翌日の26日。
室戸岬から、足摺岬の沖を進みます。
朝の天候はこんな感じ。

点呼で一日がスタート。

午前中は船酔いが続きました。

しかし、午後からは天候が回復。
船酔いも治まって、デッキ磨きを行いました。

夕食は全員食べることができたようです。

船酔いしている生徒も、頑張って当直を行いました。

ここで乗船実習後に書いた、ある生徒の作文を紹介します。
船酔いのことが綴られていますが、乗船実習の意義が、みごとに表現されていると思いました。

 私は実習船やいづと言えば、五百トンを超える大きな船なのでそれほど揺れず、船酔いも軽いだろうと考えていました。しかし、その考えは甘すぎることに乗船後すぐに気づかされました。
 やいづはものすごく揺れました。そして私の体調もみるみる悪化していきました。胃のムカつき、吐き気、食欲不振、体のだるさなどを常に感じていました。船酔いの症状で一番辛いのは、精神的にダメージを受けることでした。無気力、無希望など、精神的な死を迎える二歩手前くらいまでは行っていたかも知れません。その状態でも作業やワッチをしなくてはならず、本当に辛かったです。
 今回、私を船酔いから解放してくれたのは、先生方の暖かい言葉でもなければ、同期の気遣いでもありませんでした。カツオだったのです。カツオを釣っている瞬間だけは全く酔いませんでした。初めて釣ったときは感動して泣きそうになりました。カツオは重度の船酔いを忘れさせ、大きな感動をくれるすごい魚です。カツオが大漁だったときは、みんな疲れ切ってしまいましたが、満足感と連帯感を味わうことができました。
 乗船中にワッチ、出入港作業等、船に必要な作業を経験させていただきましたが、専攻科生や船員の方々の指導無しではできないことばかりでした。簡単なロープワークにも苦戦して、自分の実力のなさを思い知りました。
 実習が始まったばかりのころ、船酔いや、自分の仕事の出来なさのあまり、私は漁師不適格者ではないかと考えてしまいました。しかし、今回の乗船で船酔いの克服や周囲の方々の指導によって、出来なかったことが出来るようになる経験をしました。この経験は私の自信となりました。漁船に乗って苦難に打ち当たっても、やいづでのことを思い出して乗り越えていきます。

【船酔い】
乗り物酔いが発生する仕組みは、実際のところよく分かっていないそうです。
「揺れなどの加速度によって、耳にある三半規管が刺激されて起こる」
と言われていますが、パソコンで時化の海を見るだけで酔うこともあります。
釣りをしている大丈夫だけど、本を読むとアウトだとか。
クルマだと運転していると酔わないとか。
気持ちが大きく影響していることだけは、まちがいありません。
しかし、いずれ克服できることは「卒業生は今・・・」にも書かれているとおりです。
  
 園長のつぶやき
漁師を目指す人は、船酔いは覚悟してください。
脅しではないですよ。本当に覚悟が大事なんです。
大丈夫と思って油断すると、落差が大きくて死にたくなるのもオーバーではありません。
今まで「酔ったことがない」人でも、大型漁船では酔うこともあります。
酔わない人の方が珍しいので、誰もが乗り越える壁と思ってください。
そして、酔っていても仕事はあります。
生徒たちも船酔いの状態で当直などを行いました。
ここで頑張る姿を見せることで、回りの評価が上がります。
先輩や上司の好感を得るのです。
船酔いにしても、漁労作業にしても「楽勝だ」と思っていると、
ダメだったときの挫折感が大きくなります。
大変であることを覚悟すれば、困難も乗り越えられます。
逆に、幸運にも酔わなかった場合。安心しないで!
その分を頑張って動かないと、回りの好感を得られません。

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大掃除と終業式

2016年12月22日 13時27分12秒 | 学園行事

さて、2学期も大詰め。
あとは大掃除と終業式です。

昨日は11月中旬の気温で、快適に?掃除を行いました。

学期末のせいか、みんな上機嫌でした。

そして、今日は終業式と学期末の父母会がありました。

メインイベントは父母会後の面談です。
特に2学期末は就職先の話をするので重要なのです。
就職する仕事の内容と、各自の適性について説明をしました。

【カツオの一本釣りとまき網】
焼津に水揚げされるカツオは「一本釣り」と「まき網」があります。
遠洋以外にも、沖合でやる一本釣り、まき網もあります。
まき網の中で、遠洋で操業するのが海まきです。
いずれにしても、同じ漁場でカツオを獲ります。
で、この2つの漁業の違いです。
効率の良いのは、まき網。
餌の活きイワシもいらないし、カツオの群れを文字どおり一網打尽。
ただし、網を巻いて船に上げるまでに多くのカツオが死にます。
一方、一本釣りは活きたまま釣り上げられます。
船に上がった時点で鮮度が違います。
さらに、捕られたカツオは-20度に近い食塩水、ブラインに入れます。
このブラインもカツオが入ることで温度がどんどん上がります。
ブラインの温度上昇も一本釣りの方が穏やかで、ここでまた鮮度に差が出ます。
こんな理由で、一本釣りは高品質のカツオが水揚げできることになります。

 園長のつぶやき
今日は就職先の話です。
今年の47期生も、就職希望のアンケートを、入学してから毎月のように実施しました。
そして秋以降は求人票などの情報から、生徒本人が希望を固めてきたのです。
生徒が「○○丸」と船まで希望することもあれば、「カツオ一本釣り」のように漁業種類だけの希望もあります。
人によっては希望と適性が合致しないこともあり、教務スタッフがアドバイスを重ねます。
そして、乗船実習終了時に自分の希望を最終決定することになります。
同時、学園側では希望どおりに就職できそうかを調整していきます。
今日の個別面談では、この状況をご説明しました。

ほとんどは本人の希望の業種になるのですが、問題は希望と適性が合致しない場合です。
漁師は就職するより、仕事を続ける方が難しい業種です。
学園では、せっかく漁師になって、すぐ辞めることがないように生徒に合う仕事を紹介します。
ただし、生徒が納得するかどうかです。最後は本人の意志です。

ただし、石の上にも3年で、海技士に必要な乗船履歴を満たせば、転職が難しくないのも漁業の世界。
海技士資格持ちで、さらに漁業経験があれば、仕事はいくらでもあります。
ですから、最初の3年を辞めずにできるかが重要になる訳です。

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乗船実習下船式

2016年12月21日 10時13分38秒 | 28乗船実習

長かった乗船実習もこの下船式ですべてのスケジュールが終了です。

下船式を前に、お世話になった実習船の片付けと掃除を行いました。
船の中から外まで、専攻科生と協力してきれいにしました。

下船式は乗船しきと同様に実習船やいづの船内で行いました。
水産高校の校長先生始め、船長、機関長、先生方が講評と、漁業就業に向けての激励の言葉をくださいました。

最後に、生徒代表が謝辞を述べました。

遠洋のカツオ漁としては、短い航海でしたが、みんな初めての経験。
貴重な経験をもらった実習船や、乗組員の皆さんともお別れです。
水産高校の先生方を始め、乗組員の方、専攻科生の皆様、ありがとうございました。

下船式の後、機関長から
「今の学園生は、まじめに漁師になりたい人が集まっていますね」
と言っていただきました。
古くから学園生のことをご存じの方が、今年の生徒をこのように評価してくださいました。

乗船実習中のブログは、限られた写真しかご紹介できませんでした。
引率の教務スタッフが撮影してきた写真がたくさんあります。
生徒の冬休み期間中にご紹介したいと思います。

【実習船やいづの航海】
焼津水産高校のホームページでも紹介されていますが、実習船やいづは年間6回の長期航海があります。

http://www.edu.pref.shizuoka.jp/yaizusuisan-h/home.nsf/SearchMainView/%E5%AE%9F%E7%BF%92%E8%88%B9%E3%82%84%E3%81%84%E3%81%A5%C2%A7%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E3%81%AE%E9%81%8B%E8%A1%8C%E8%A8%88%E7%94%BB?OpenDocument&Category=%E5%AE%9F%E7%BF%92%E8%88%B9%E3%82%84%E3%81%84%E3%81%A5&SubCategory=%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E3%81%AE%E9%81%8B%E8%A1%8C%E8%A8%88%E7%94%BB

第5次航海に学園生が乗船します。
実習船を使うのは専攻科生が中心ですが、本科生の短期航海や体験入学での運航も組まれています。
そして、5月の航海の前には、盛大な壮行会が行われます。
当学園は教育委員会傘下ではなく、県の経済産業部に属します。
このため、以前は同じ経済産業部の水産技術研究所の遠洋調査船「富士丸」で乗船実習を行っていました。
しかし、平成21年に富士丸が廃船となり、水産高校の実習船で行うことになりました。
7代続いた富士丸は、日本初の動力漁船に始まり、遠洋漁業を開拓してきました。
富士丸がなくなったのは残念ですが、今の学園生は専攻科生と切磋琢磨する関係になっています。

 園長のつぶやき
昨日のつぶやきに書きましたが、学力的に合格が心配な人が、特別に入学を求めてくる場合があります。
申し訳ないですが、学園にそのような制度はありません。

..例えばです。
昨日、ご紹介したように
「学園を単願受験する」
人を優先的に入学させたとします。受験者が多ければ、代わりに不合格になる人が発生します。
では、優先して入学させた生徒が、不合格になった人の分まで頑張ってくれるでしょうか。
さらに、就職しても辞めないで漁師を続けてくれるでしょうか。
少なくとも、そのような決意が現在あるでしょうか。

こんなことを言う理由。
学園は人材が不足している漁業界に、静岡県の漁業の未来を担える若者を供給する責務があるからです。
一般の高校とは違うのです。

学園の入学は、漁師の世界と同じで学歴で差別しません。30歳まで機会均等です。
漁師になりたい人に、平等に門戸を開いています。

このことを理解して、本当に漁師を目指す人が学園の入学試験を受けてください。
意欲のある人、待っていますよ!

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